湊かなえのレビュー一覧
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浜崎朔也は小さい頃、父の国際協力事業団の都合で南の島で過ごし、海を愛していた。母は体が弱く治療のために朔也と弟の元樹は父に先んじてS県松ヶ崎市という、白珠湾を有する母の実家に戻った。祖母は漁港で食堂を営んでいた。
朔也は潮見翔という漁師の息子と同級生で家族ぐるみで仲良くなり、また、中学では剣道部先輩の杉浦航生さん、凪真さん、航生さんの妹の汐音ちゃん(元樹の同級生)、ヨットハーバーで知り合った俳優の息子、水元亮司、高校で仲良くなった民宿〈すはら〉の息子洲原壮一、大学で出会った島田淳、その後の研究過程で知り合った帰国子女の海野健斗というそれぞれに優れた能力を有した友人ができ、海を守る騎士として心を繋ぐ。また、朔也は旅行代理店で経験を積んだ後、白珠湾でダイビングツアーなどをメインにした会社を起こす。珊瑚の女王は汐音(騎士や女王という発想は父が母を取った昔のショートフィルムから着想を得ている)。
事件は汐音が新しい機材を使用したダイビング中に死亡したことで、それが事故なのか?事件なのか?誰かが嘘をついているのか?というところが、9人の人物像や人柄、朔也との回想などから浮かび上がっていきます。私はブロマンスという言葉を初めて知りました。これは(兄弟のような)強い絆で結ばれた男性同士の関係を表すそうですが、確かに魅力的な男性たちが信頼と友情で固く繋がっている様子は心に残りました。そして、ボタンのかけ違いで起こる色々な悲劇たち。
思ってたほど読み心地は悪くなかったです。謎が解けていく感じも面白く読み進められました。一番幸せになってほしい人たちの結末が序盤にわかっていて、そこがなんともやるせないです。
エログロはほぼないので、読みたがれば小学生でも大丈夫です。基本は中学校以上。 -
Posted by ブクログ
3ヶ月ぶり文庫を手に取りました
エピソード不足になってた
未来というタイトルの作品にしては、序盤から終盤まで未来がなかなか見えてこない展開。主人公は 未来からの手紙 に導かれるようにして何とか未来に踏み出そうとする
著者は、悪意と狂気を濃厚に的確なタイミングでページをめくる読者に処方してきます
私が現実にこの悪意と狂気を受け止められる訳がない。と痛感させてくる
最後の最後で少し救われるだろうか。このまま悲劇的結末を迎えてしまうのではないかと、心配になった
登場した子どもたちみんな幸せになれーーっと願い続けた
この本は私がどれだけ幸せ者なのか。ぼーっと生きてんじゃありませんよー。と見つめ直させる。
そんな本。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「湊かなえといえばイヤミス」とか、帯の「究極のブロマンス」とかの煽りに流されず、まっさらな気持ちで読んでほしい。
白珠湾を守ろうとする9人の男たちと1人の女性。みんな善良で、一生懸命に同じ夢を追いかけている。
ブロマンスというよりも、ワンチームという感じ。濃すぎず、爽やか。
その夢が一つ実現しそうだった中で起きた悲劇。それは誰か一人の悪意ではなく、それぞれが抱える小さな過失(ともいえないもの)が重なって起きた事故だった。
湊かなえ先生の作品の大半は、伝えたいテーマがはっきりしている。今回も色々と考えさせられた。
まず、相手を思いやるあまり、本人に確かめもせず勝手に庇ったり、気持ちを決めつけたりしてしまうことで、その人を傷つける可能性があるということ。「守る」ことと「信じる」ことの違い。
そして、人間は誰でも間違えるということ。間違いを隠したままでは、ずっと罪を抱えて生きることになる。自分の過失を認め、反省し、二度と繰り返さないようにすることが大切なのだ。
また、不幸は必ずしも誰か一人の罪によって起こるわけではないということ。善良な人たちがそれぞれ小さなピースを持っていて、それが過失とも知らないまま、偶然噛み合って起きることもある。
作中で「兄弟」や「兄妹」ではなく「きょうだい」と表記されているのも印象的。血のつながった朔也と元樹、航生と汐音だけでなく、翔やほかの仲間たちも、きょうだいのような存在だからだろう。
最後、みんなが自分の過失と向き合って再び手を取り合い、夢に向かって進んでいく結末は、さわやかで心地よかった。
何か大きな事件が起きて、人間の汚さが浮き彫りになって、というような作品ではないが、視点が変わるたびに少しずつ事件の全貌が見えてくる構成は湊かなえ作品らしくて良かった。
テーマもわかりやすくて読後感もよい。先入観をなくして読めば、幅広い人が楽しめる作品だと思う。
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結末は賛否あるのだろうが、個人的には肯定する。人間は理屈だけで割り切れない生き物なのさ。最後の行動は、一人の親として人間くさくて好きだ。
以前から読もう読もうと思って中々手にとらなかった作品だったが、ようやく手に取った。本屋大賞を受賞したり、映画化されていたりとある程度の面白さは折り紙付き。そして十分見合う面白さはあった。
『告白』という題名から各章名の「聖職者」や「殉教者」など、宗教的な名称を用いて自己の行為や心情を告白している作りとなっており、一つの事件を各人物から多角的に捉えて昇華されている。
各人物の特色の違いや心情の変化も微細に描かれて、こういった人物はこういった思考を元にこういった行動を取るのだな、とある種感心すらした。
これがデビュー作?冗談言っちゃあいけねーよぉ -
Posted by ブクログ
大前提として、私は湊かなえが好きだ。それを踏まえて書く。
今回の作品に限らずの感想にはなるが、湊かなえにはもっと読者を信頼して欲しい。
私が初めて湊かなえの作品を読んだのは10代前半で、その時の「告白」の後頭部をガツンと殴られた感覚は忘れられない。そこから湊かなえのファンとなり、新作が出るたびに文庫化を待たずして買い漁ったものだ。10代半ば頃になると、どの作品も「告白」ほど好きになれず、しかし面白いと感じないわけではなかった。
そんな中、なぜ告白を超えないのか、最近なって自分の中の答えに辿り着いた。それは、湊かなえが読者を信頼していない、もっといえば現代の受けている(本屋大賞などを受賞している)有名作家にも、読者を信頼していない作家が増えた。
告白を読んだ時、私はまだ10代前半で、ただ知識や経験に乏しく、ワクワクできただけなのかもしれない。しかし、私が思うに、湊かなえはプロットを鍵付きの金庫にしまっておいて、もっと読者を信頼したら、後頭部を殴れると思う。
この作品も途中途中で「もしかしたら次の展開はこうかも」「この人は本当はこうかもしれない」と予測がつき(あえてハラハラさせるために予測できそうなヒントを散りばめているのだろうが)、かつその予測が当たってしまう。
読者のイマジネーションをもっと信頼して、ヒントを散りばめる時、もっと狂うかもっとヒントを少なくした方がいいと個人的には思う。
それは湊かなえに限らず、ではある。
イマジネーションをサポートしきるのが現代の流行りだと言われたらそれはそうなのかもしれない。しかし物事・人間に多面性があるように、作品にも多面性を持たせる=ある程度読者に解釈の仕方を任せていいのではないだろうか。
この作品自体ももちろん面白かった。だから私は湊かなえを買い続けている。しかし、読者を信頼した湊かなえの文章を読んでみたいと思う。そしてまた、湊かなえに後頭部を殴られたい。 -
Posted by ブクログ
タワーマンションで会社員の野口夫妻が殺害された。
そこに関わるNの人たちの真実。
ドラマがとても素敵だったので、もう小説は読まなくてもいいか、と思っていたけれど、ある意味全然違っていた。
ドラマでは私の理解力がないのか、単にNのために罪を被るというのが、タイトルからネタバレしていたので、事件に関してあまり驚きがなかったが、小説で改めて読んでみると、そこに至るまでのあらゆる事が、誤解やすれ違いから起こっている事がよくわかり、新たな発見と面白さを感じられた。
ただドラマとは全然違う部分もあり、よくこの小説をあんな素敵なドラマにできたなぁと、変更されているところはかなり改良されている。
成瀬くんは小説ではもう少しがっしりした男の人のようなイメージ。
小説では急に時間が行き来したり、話し手が代わっていくので、わかりづらいところもある。
さざなみの火事や病気の話や、野口妻についても、小説では曖昧になっているが、ドラマではかなりはっきり描かれていて、小説→ドラマで見ると満足度120%!!
イヤミス度もあまりなく、好きな作品です。 -
Posted by ブクログ
王様のブランチやあの本、読みました?で紹介され、話題作となれば手を伸ばしてしまう私。
生まれ故郷の海、白珠湾を愛する母と、国際協力事業団で海を守る仕事に就く父を見て育った浜崎朔也。海洋学部で学び旅行代理店を経て、ウェルネス・ツーリズムの会社『海の王国』を興した。夢がようやく形になりかけた矢先、悲劇が起きる…
珊瑚の女王を殺したのは、誰なんだ?
9人の海の騎士、朔也と仲間たちが順に、それぞれの視点からある出来事について語り、物語が展開していく。1人1人が想いや秘密を抱えていて、皆が怪しく思え、否が応でも引き込まれていく。中盤から徐々に真実が明らかになっていくところからは一気読みだった。
湊さんは、9人の海の騎士から『推し』を作って欲しいと言っていたけれど、個人的な推しは水沼のおじいちゃんの加賀亮太郎。
「ぼくは病に負けて死ぬんじゃない。今度は、海より広い、天に向かって出航するんだ。どんな旅が待っているんだろう。楽しみだな。」
かっこいいのよ。
あ、でも翔の親父さんの塩見勝馬も捨てがたいか。笑