湊かなえのレビュー一覧
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ネタバレ先日「52ヘルツのクジラたち」を読んで、負の連鎖の恐ろしさと、これが現実にあり得る話なのだということのリアルさを感じ、どうにももう少しいろんな角度からこういう負の連鎖の起きどころというか、実態というかを知ってみたいという気持ちになっていたところ、書店で「毒親」的なポップに引かれて手に取った。湊かなえの胸糞展開を久々に読みたいなー、みたいな気持ちもあった。
人間の悪の部分を描くことのうまさ。それも、いわゆる悪役、という平べったいものではなくて、その人を形造った人、さらにその人を造った過去の出来事、というようにどうしようもなく連鎖し膨らみ上がってしまう悪が達筆に描かれている。さらに手紙、ドリーム -
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宗教2世の子供達…。
知らずにズブズブと沼にはまるように抜け出すことができなくなってしまう。
私は無宗教ですが宗教全てが悪いものだとは思いたくない。それを信じて救われるならそれはそれで良いでしょう。
でも、子供や家族を巻き込んではいけないと思う。
この話しの子達は知らずに巻き込まれて利用されている。
やっと巡り会えた同じ境遇の愛する人と一緒に生きることができない。
こんな悲しいことがあるなんて。
二人で過ごした時間はとても少ない。
でも、お互いを思い合って生きていた。
幸せの半分の多い方を相手に。
不幸の半分の多い方は自分に…。
こんなに愛し合っていたのにね。
このような苦しみを持つ人々 -
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ネタバレ宗教二世が起こした政治家殺人事件。
某元首相の事件を彷彿させるが、「宗教二世」という点と「政治家」という点以外に共通点は見出せない。
殺人犯となった永瀬暁、彼は嘘つきである!!
かもしれない・・・
と思いながら読んでほしい、初めて読む方には(笑)
手記が7章に分けて書かれている。
読み始めは勝手なイメージがあり、7章にたどり着くころには永瀬暁は全く違う印象となった。
そして・・・私は目次で7章&終章でこの物語が終わる、とばかり思っていた。
4章まで読んだところで、このまま7章まで行っても本の半分の厚さまでしか行かないことに気が付き、この本の設定を知った。
私が「暁星」だと思ってい -
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むちゃくちゃ良かった。
人生の中の1冊にしたいぐらい。
あらすじを読んで、面白そうだな〜とは思ってたけど、帯や色んな人の紹介文を見て「愛の物語」っていうのが????と思って読み始めた。
いやこのあらすじから愛の物語なります???みたいな。
本当に愛の話だった、それも色んな形の愛だった。
もっと幸せになれたのでは、と思う。
もっと違う運命があれば…とか。
このような話なのに、読後感が悪くないのはなぜなのか。(私はそうだったというだけかも)
あと、文章の持つ力についても考えてしまう。
私は本に救われたことがある人間なので、そういうところも刺さった一冊でした。 -
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同じ出来事でも、誰の視点で見るかで意味が変わる。
その残酷さを静かに突きつけてくる一冊。
母に認められることに執着する母と
その母に愛されるために自分を削る娘。
「私は母の分身なんだから、違う感情を持つなんて許されない」
その前提が少しずつすべてを歪ませていく。
お互いへの思いは見事に食い違っていて、母目線は
「私は愛情を注ぎ、娘を大切に育ててきました」
「私がどれだけ娘に愛情を注いでいたか」
と語るのに対し。娘視点では
「母から殺したいほど憎まれる」
「胸を切り裂かれそうな言葉を投げつけられる」と描かれる。
心配をかけまいと涙をこらえる娘の顔は
母には“愛想のない仏頂面”に映る。
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湊かなえは世界が5D位に見えているのではないかと毎度思わさせられる作品。
同じ出来事を、仕草、表情を、人にによっては全く違う解釈があって、それぞれの立場から話を聞くと全く別の出来事が起こっていたかのように思わさせる、不思議な二重構造みたいなのをつくる天才。
作者の頭の中が見てみたい。
人は自分が経験したこと以上のものを生み出すことは出来ないと、私は思っているので湊かなえがこんなにも人の解釈や立場、感情の引き出しがあることにいつも驚かされる。
作者本人ならどの立場の解釈なのか?と思うし、
全く別の解釈をする人がいることを理解することは簡単だけれど、さらにどんな解釈をするのかまではなかなか想像 -
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ノンフィクションの手記とフィクションが交差する二部構成が印象的な作品。現実と物語が重なることで、ひとつの出来事の見え方が大きく変わっていく構成に引き込まれた。
湊かなえ先生らしい張り巡らされた伏線と、読後に残る重たい余韻もさすがだと思う。
「ただ星を守りたかっただけ」
読後にこの言葉が重くのしかかる。
宗教二世の家族を軸に、“救われたい”という気持ちが連鎖するように不幸を生んでいく流れはやるせなく、多くの人が感じているように苦しさの残る物語だった。
読み終えたあと、心に残る“明星”の光は、希望というよりも、消えきらない祈りのように静かに残る。