湊かなえのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読み終わって「少女」のタイトルをみると、純粋故の恐ろしさを感じる。関係なさそうに思えた人物たちが実はつながっていて、おじさん達を追い込んでいく。。。
少女が主だと、どうしても「性」の話に行きがちだけど、今回はそこまでではなく、より少女らしい動きだった。それがより一層、純粋さを強調しているように感じた。
子どもは想像力が豊かなようで乏しいんだなと感じた。乏しいからこそ、やりたいと思ったらすぐに行動に移せるし、様々な事件を起こしてしまう。「死」に好奇心をもち、それが他人に振りかかるのを求めてしまうのも、想像力の乏しさ故なのかも。
純粋さは想像力の豊かさとも、乏しさとも共存できるみたい。子どもみたいな犯罪者は、純粋だけど想像力が乏しいまま成長してしまってるのかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新進気鋭の映画監督である"香"と、うだつの上がらない脚本家見習いの"真尋"が「笹塚町一家殺人事件」の真相にせまる湊かなえの『落日』。
本作において最も魅力的だったのは、登場人物たちが持つ「知りたい」という価値観の対比と、その関わり合いを通じて価値観が変容していく様である。
香はかつて、父の死や母からの拒絶に対する自己防衛から「知りたい」という欲求にバリアを張っていた。
しかし、同級生が「最後の晩餐」を調べる姿を見たことをきっかけに、父が最後に見た映画を知りたいと強く願うようになり、「知ることが救いになる」という生き方に変容していく。
一方、真尋は姉の死から目を背け、「真相を知っても事実は変わらない、知りたいと思うのはエゴだ」と語った。
香と衝突する中で自分の逃避に直面し、ついに姉のことを「知りたい」と向き合ったことで、事件の真相へと辿りついてゆく。
本作は「知る」という行為が多角的に描かれている。
知ることは生きる支えであり、前に進む力であり、救いであると同時に、エゴでもあるという。
かのアリストテレスが「すべての人間は、生まれつき知ることを欲する」と述べたように、知ることは人間を人間たらしめる根源的な欲求であることは間違いないだろう。
しかし、そこに「エゴ」というどす黒い側面を孕んでいるということを突きつけられたことは、目からウロコだった。
最後に、タイトルについて考えたい。
『落日』とは、太陽の沈みゆく様を意味する。
事件の真相が真尋の脚本によって暴かれるラストは、
まさに本作にとっての日没、つまり物語の激しい終焉そのものであったように感じる。
随所に散りばめられた伏線が、文字を追うごとに回収されていく様は、まるで走馬灯を見ているかのようだった。
このタイトルは事件の闇の終焉と、登場人物のそれぞれの葛藤の終着点を指し、その様を疾走感あふれる伏線回収により表現したのではないかと推し量る。
心躍る読書体験で、忘れられない一冊となった。 -
Posted by ブクログ
普段は小説を読まないが、友人に勧められ読むことに。
本当に面白い作品で、するつもりは毛頭なかったのにぶっ通しで読み続け、数時間で読破してしまいました…
作中、随所で
同じストーリーのはず…なのに、視点が変わる度に感じ方が変わるなぁ…
一人一人の登場人物が鬱陶しいはずなのに、視点が変わると同情の気持ちが湧くなぁ…
という感情を抱いていた。
ラストの小島さと子の一言…
「長年暮らしてきたところでも、一周まわって(観覧車から)降りたときには、同じ景色が少し変わって見えるんじゃないかしら。」
このセリフを読んだ時に、湊先生がそれらを意図していたことを確信した。
本当に心躍る読書体験でした! -
Posted by ブクログ
ネタバレ宗教2世として育った主人公・暁の復讐の物語。
ではなく、“幸せの半分こは相手に多い方を、不幸の半分こは相手に少ないほうを。”
優しすぎる愛の物語でした。
大臣殺害の犯人・暁の手記「暁闇」と
その現場に居あわせた女性作家の小説「金星」
2つの物語からなるこの本。
金星を読み終わったとき、暁闇から消された真実が分かる。何気なく読んだ暁闇の文章の意味が変わってくる。
なるほど、この小説のタイトルは「暁星」でなければいけなかった。
370ページの本だけど、この本の本当のラストは
171ページから。
苦しくて切なくて泣きたいのに、受けた衝撃と真実に圧倒されて涙は出ず、胸がいっぱいになりながら読み終えました。
あえてネタバレを絡めて印象的なシーンをあげます。
すずらんの器に水を入れた状態で死んでいた照世のシーンが1番辛かった。きっと照世にとっても星香にとってもデパートですずらんの器を買い、喫茶店で甘味を食べたあの時が1番幸せだったのではないかと思いました。母と娘の関係は崩れてしまったけど、母の元に残った思い出の品。宗教は人生の支えになることはあると思う。だけど人生を壊すものにもなるのだと。
誰かに話したいけど上手く話せない。
素晴らしい本を読んだ時に私がいつも直面する悩みです。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「人生が上手くいかないと感じる時だけ母親のせいにして、苦しんでいるフリをして、ダメな原因はすべて自分の外にあるのだと、無意識のうちに自分に思い込ませようとしている」
短編集
湊かなえの書く短編集は長編よりもなぜかずっと好きで、この短編集も同様にどの作品も好きだった。
主人公?というかストーリーテラーの色んな人や出来事に対する主観や偏見のようなずれで事実と異なる認知が生まれてしまう様が丁寧に描写されていてどれも楽しめた。
最後の2編は連作もので、世間から見たら聖母のような母親とその母を自殺に追いやった毒親ならぬ毒娘のストーリー
個人的にこの母は外面は完璧だけど、自分の娘を自分の構想したレールの上をなんとしても歩ませようとして、ちょっとでもそこから外れようとするの全力で叱責や暴力をふるうこともある毒親といえると思う。
けど、娘の友人が言うように、自分の人生が思うようにいかなかった時にその原因を自分の親にあるとみなし、確かにかけてくれた愛情を無視するケースもあると思うので、例え、子供が毒親だと言っても一概にそうみなすことも危険だとも思った。