湊かなえのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「人生が上手くいかないと感じる時だけ母親のせいにして、苦しんでいるフリをして、ダメな原因はすべて自分の外にあるのだと、無意識のうちに自分に思い込ませようとしている」
短編集
湊かなえの書く短編集は長編よりもなぜかずっと好きで、この短編集も同様にどの作品も好きだった。
主人公?というかストーリーテラーの色んな人や出来事に対する主観や偏見のようなずれで事実と異なる認知が生まれてしまう様が丁寧に描写されていてどれも楽しめた。
最後の2編は連作もので、世間から見たら聖母のような母親とその母を自殺に追いやった毒親ならぬ毒娘のストーリー
個人的にこの母は外面は完璧だけど、自分の娘を自分の構想したレールの上をなんとしても歩ませようとして、ちょっとでもそこから外れようとするの全力で叱責や暴力をふるうこともある毒親といえると思う。
けど、娘の友人が言うように、自分の人生が思うようにいかなかった時にその原因を自分の親にあるとみなし、確かにかけてくれた愛情を無視するケースもあると思うので、例え、子供が毒親だと言っても一概にそうみなすことも危険だとも思った。
-
Posted by ブクログ
たった一つの殺人事件をきっかけに、関わった人たちの人生が少しずつ、そして確実に狂い始める。
「なぜこの事件は起きたのか」
「負の連鎖はどこから始まっていたのか」
その答えは、最後のページまでたどり着いて初めて見えてきます。
読み進めるほどに胸が苦しくなり、「しんどい」と感じる場面もありましたが、それでもページをめくる手が止まりませんでした。
タイトルの意味を改めて考えさせられる、読み応えのある一冊です。
ちなみに「贖罪(しょくざい)」とは、善行を積んだり、償いを行ったりすることで、自らの罪や過失を償うこと。
この意味を知ると、タイトルの重みがより深く心に響きました。 -
Posted by ブクログ
どろどろして苦々しくて、その中にふと仕込まれている温かさと、愛。
毒なのか、愛なのか。
それぞれの視点から事実をいくら読み解いても、真実はわからないものですね。
登場人物たちは皆、本当のことを言っている(言いたくないもの、忘れい事実はあえて言わない人もいる)ように思います。けれど、違う人の言葉で、違う形が浮かび上がる。
短編のミステリーなんて、そんなに深みが出ないのではないかとこれまで敬遠していましたが、さすがは湊かなえさん。どれもこれも味が濃い、それでいて、くどさはなく、腹の奥底に響くような苦みすらある。けれどもう一度味わいたくなるのが毒。