湊かなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ9/4
とても重々しくて生々しくて、読む進める度に心に圧力が加わってしんどくなるようだった。実家に帰省している時に見つけて拝借した。
章子、良太、文乃、樋口家の人間、佐伯家の人間、早坂、ありさ、ちえりさん。それぞれがそれぞれ目に見えないような問題や慣習により植え付けられた価値観、人間としての醜さなどを抱えており、もちろん私の視点から見たらこの人が"悪い"とか、この人は"良い"みたいな思いを抱いたけど、それは私の生まれた環境や時代、私の個人の感じ方の問題であって人によって変わりうるものだと思う。文乃さんがどのような気持ちで人生を過ごしてきたのか、良太と再会 -
Posted by ブクログ
とても読み進めるのが辛い小説でしたが、最後には読んで良かったと心から思えました。
「未来」
私たちは生まれてからずっと常に「未来」を考えて生きていると思います。それは何十年後とかの遠い漠然とした未来ではなく、「あれが欲しい」や「誰々とこれをしたい」などよりはっきりとした明るい「未来」です。
ですが、「未来」を考えることができるのは、日々の生活が満ち足りているからであることを、この小説を読んで実感しました。
いじめ、性被害、暴力、金銭トラブルなど…
この小説に出てくる人物はみんな毎日を生き抜くのに必死で、「未来」など考える余裕はありません。しかし、そう言った時に必ず自分を助けてくれる人がいる -
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて、手に取りました。
はじめて小説というものを読みましたが、ボリュームとしては非常に読みやすかったと思います。以前、『母という呪縛 娘という牢獄』を読んでから、''あるべき母の姿とは''という問いが頭の中を駆け巡っていました。
そのような思いから読み始めたため、最初は娘が自殺未遂したという事実にただ感情移入していました。
しかし、中盤になると私自身の幼少期と清佳が重なり、当時の母の傷みが綿密に描かれているようで読み進めるだけで、張り裂けそうな気持ちになりました。
母も1人の人間であるということ、家を去ってから気づくものです。その点、清佳は -
Posted by ブクログ
ネタバレとても引き込まれる作品で、気がついたら全て読み終えていました。
最初はエミリを救えなかった、そして犯人を捕まえることができなかった事への贖罪かと思っていました。
ただ読み進めるうちに、この贖罪はただ事件に巻き込まれただけの子供たちを追い詰めたと感じているエミリの母の贖罪なのだと気が付きました。
事件に対して各々が自分たちなりの向き合い方をして、その上で最後に本当にすべき事に気がつく、ただそれはとても当たり前の事。
ただの性犯罪による殺人事件のように始まったこの事件の全容が徐々に明かされていく展開にとても引き込まれました。
この事件は全員が被害者なのかもしれない、罪を背負わされた4人の子供、子供