湊かなえのレビュー一覧
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この物語は田舎の港町で、3人の女性がさまざまな経験や子どもたちを通して個々の心情や他者との関係の変化をかいている。
この物語を語る上で「翼」という言葉は欠かすことができない。この言葉の意味は彩也子の書いた作文で述べられている。人はみんな片翼であり誰かと繋がることで一緒にどこまでも遠くへ行ける。この物語ではこの言葉が良い意味でも悪い意味でも表れている。
田舎と人の繋がりとなると悪い意味で捉える人も多いだろう。当然私も同意見だ。そしてこの物語でも同様に噂や陰口なんかがたびたび表れて不快感があるシーンも多々あった。だがこの本を読んでそれは田舎だからという理由ではないのだろうと思った。それは「都会では -
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──最後にみんなに聞いてもらいたい話があります。
2008年度週刊文春ミステリーベスト10第1位。2009年度本屋大賞受賞。2014年ミステリーベスト10(ウォールストリートジャーナル)英訳版でノミネート。2015年アレックス賞と数々の受賞歴に加え、2010年には映画化。
湊かなえ氏渾身のデビュー作にして、2024年段階で累計発行部数377万部の大ベストセラー。
作品概要だけでも、かなりの箔ですよね。
この物語がデビュー作なんだなーと思うと、『イヤミスの女王』と言われる所以がありありと表現されているのを実感。
そして、僕は文庫版で読んだのですが、文庫版といえば巻末の『あとがき』が -
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人の劣等感、それぞれの懺悔の仕方、復讐の念、それを超える恋の感情、いろんな一筋縄ではいかない人間の心を書きたくて、主人公に沢山寄り道をさせながら、少しずつ伏線を張りながら真実に辿り着かせた。そこを省いて真実だけ知りたい人には長く間延びして見えるかもしれないけど、思いやりや正義だけが必ず正しくないことを最後に突きつけるためには、その正義を丁寧に書く必要があったのだと思う。
最初の文をもう一度読むとさらに衝撃。彼自身気付いてなかったとは言え、自分の持つ違和感と罪悪感の出どころを探し求めた深瀬が心から納得できてしまうラストになってるのが面白い。 -
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ネタバレいじりは相手にとって得があるものをよぶ。それが無ければそれはいじめになる。
皆がみんな同じ基準を持つ必要は無い。
いろんな欠片、ピースが上手くハマってひとつのパズルができるように、かけている所があるからこそピッタリとハマる。
一人の女の子が亡くなった。美容外科似通っていたようだ、そこの先生が自分が原因なのではないか、と有羽ちゃんの死んだ原因を突き止めるためいろいろな人のところを訪れる。昔の同級生や、有羽ちゃんのお母さん、担任など、、。まるで読者が先生の立場になったかのように物語はすすむ。外見で人を判断する醜さが伝わった。太った体型で馬鹿にされ嫌な思いをした横綱さんが、痩せた体型と言うだけで有