湊かなえのレビュー一覧
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冒頭で事件の概要が語られ、その後、複数の章にわたって関係者それぞれの視点から事件が解き明かされていく。
一般的な人物像だと思っていた主人公の杉下が、一連の出来事を画策していていたという事実には驚かされた。
マイナス側の人間として描かれる杉下、西崎、成瀬の語り、そして文学に関する記述が、酷く胸に刺さった。
杉下と成瀬の学生時代の関係は、閉鎖された島というコミュニティの中で、直接的な言葉を交わすことなく、互いの痛みを理解し合える存在として描かれており、非常に美しい。
『汝、星のごとく / 凪良ゆう』にも通じるものを感じた。
現実では忌み嫌われ、同情の対象になる行為であっても、文学の世界では -
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湊かなえ節というか、彼女らしい内容。「毒親」という言葉がブームのようになり、関連書籍もたくさん出版された。大半は子どもの立場から書かれた書籍だ。母の立場からは読んだ中では「毒母ですが、なにか」(山口恵以子著)ぐらいだろうか。殺人犯にすら普通は良い面と悪い面の両方がある。親にも子どもにもいろんな面があり他人からの見え方も違う。著者は元々スッキリした善悪は書いてくれない作家である。その切り口は親子だけでなく友人知人にもおよび、どの人物も客観性を欠いた人間に見える。それが世の真実なのだろう。読者が登場人物たちに同情をよせることを拒否するような内容を面白いと思うかどうかが評価の分かれ目だろうか。
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ネタバレこれまで見たことのない物語の始まり方だった。
先生が喋り始めて、それが止まること無く、圧倒的な物量で流されていった。
私は生徒とともに混乱したり、好奇心が抑えきれなくなったりして臨場感が凄まじかった。
筆者の力量をひしひしと感じる滑り出しだった。
委員長からクラスのその後についても現場がありありと想像できた。
人間の意地悪い部分を書くのが上手だった。
傍観者であるから異常に感じるが、異様な雰囲気をもつ空間では理性が役に立たないのかもしれない。
犯人二人から語られるものは「ありきたり」な思い上がった中学生たちだった。
だからこそ、この二人が裁かれていることに愉悦感を感じた。これがクラスの人間たち -
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アンデルセンの『エンドウ豆の上に寝たお姫さま』がベースになる。
王子は、妃になる姫探しをしていた。そして、やってきた姫に、ベッドの上に一粒のエンドウ豆をおき、その上に敷布団を20枚敷いて、さらに柔らかいかけ毛布団を20枚かけて眠らせた。眠ったお姫様は、起きて体に違和感があったという。よほどよい育ちの姫様だと思い王子は、妃とした。
ほんのわずかな違和感が重要だという提示である。
小学1年生だった主人公の結衣子の憧れだった3年生の美しい姉・万佑子が失踪する。懸命の捜索も虚しく、家族は深い絶望に包まれる。母は、万佑子を探しに、最後に万佑子を見かけたスーパーの近くで、立ち続ける。結衣子の友達 -
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松村北斗さんおすすめの本その2
今まで読んだことがないタイプの進み方で大変興味深かった。人の手紙を覗き見るような、少し背徳感すら感じる不思議な本。
読み進めるうちに事件の概要が明らかになってきて、伏線が少しずつ回収されていく。ジャンルに分類するとなるとミステリーなのかな?
最初は事件を一緒に紐解こうとしてしまっていたけれど、よく考えたらこれは手紙ベースでやり取りが進み、手紙で真実が少しずつ明かされていくのだから読者が先に謎解きできるわけなかった。
そんなことは頭ではわかっているのに、それでも脳内での素人推理が勝手に始まってしまうくらいには没頭して読めた。陳腐な言葉だけれどとても面白かった。 -
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中学生、約10年ほど前に読んでよく理解できなかったのだけれど、今再読してみたらとってもおもしろかった。物語は姉が失踪するところから始まる。数年後帰還するが主人公はその姉が今までの姉と別人なのではないかと感じるところから始まる。なぜ昔はよく理解できなかったのかと考えてみる。ちょうど読書スランプの時に読んだからかもしれないし、過去と現実か明確な区別なく繰り返されるため頭が混乱したからかもしれない。今でも、これは回想なのか、現在のことなのかと戸惑うことが何度かあった。途中中弛みしつつ一気読みした。失踪して戻ってきた姉が別人なんてことがあるのか?それではなぜ今までのこと、結衣子と本人にしか分からないこ