あらすじ
手紙だからつける嘘。手紙だから許せる罪。手紙だからできる告白。過去の残酷な事件の真相が、手紙のやりとりで明かされる。衝撃の結末と温かい感動が待つ、書簡形式の連作ミステリ。
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手紙のやり取りで話が進む短編集、かと思いきや全て繋がっているストーリー。
そことそこが繋がるの?!っていう驚き。
湊かなえさんらしい、毒を孕んだ表現にうっすら嫌な気持ちにさせられるのが面白い。
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世の中には数学みたいに一つの答えが出る方が珍しい。だいたいグレーだ。
手紙というレトロなやりとりで、人は騙され、内省し、過去の自分を知る。
思い込みたい方を思いこんで人は生きていくのは幸せだし、その思い込みは強さだ。
手紙のやりとりでの吐露の恐ろしさと、最後には愛を感じる感動の作品。
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高校教師の敦史は小学校時代の恩師にかつての教え子の近況を教えて欲しいと頼まれ6人に会いに行く。6人と先生は不幸な事故で繋がっていたが…。手紙のやりとりでだんだん真相がわかるミステリー3編とエピローグ的な一編。過去は乗り越えることで始めて過去になるんだなぁ
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「十年後の卒業文集」、「二十年後の宿題」、「十五年後の補習」どの話も手紙を用いてゆっくりと過去の事件について真相が明かされていく話であった。
【手紙だからできる表現がある。
辞書をひく。真意が伝わるようにと。】
メールや電話は非常に便利で自分の感情をいち早く相手に伝えられるといった利点があるが、簡単に伝えられてしまうからこそ言葉足らずで相手へ誤解を招いてしまう場合がある。
一方で手紙は、誤字や言葉遣い、読みやすさ、そして相手を思いやる気持ちが必要とされる。
自分自身も手紙を送るときには、まず便箋やペンを選び、時に言葉を調べ、相手のことを考えながら書く。
そうやってもらった手紙は十年以上経ったものでも大切にしていて、たまに読み返したりしている。
メール、SNS、AIによる文章作成便利な世の中になったが、手書きの手紙を送る時間は大切な時間であって、決して失われなければいいなと思う。
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すごく読みやすい、のに、惹きつけられる物語。
手紙のやり取りの中で、少しずつ明かされていく真実。
それぞれの思惑が少しずつ露わになっていく感じがぞくっとした。
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手紙風のギミックを楽しむための作品かと思いながら読んでいると、作風に慣れてきた頃の「十五年後の補習」でやられた。
秘密や闇を抱えながら、お互いを思い合ってきた2人がとても綺麗で美しかった。どうか幸せであれ。
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人と人を行き交う書簡で紡ぐ三つの連作と+α。高校時代をともにした者たちの「十年後の卒業文集」、恩師と生徒の「二十年後の宿題」、同級生であり恋人であるふたりの「十五年後の補習」、そして「一年後の連絡網」、各々の物語を描く。三者三様、手紙の特性を生かした作品。手書きの文字と文章だけで人物を判断すること、事実の解釈は人それぞれで思い違いや錯誤があること、会話ではないゆえに感情の虚偽も吐露もなし得ること。
どの作品も俊逸なのだが、やはり「一年後の連絡網」で脈絡なく触れられる数行に、往復書簡を通じた結果が描かれ、便りを伝える連絡網として本作品ではもっとも好きな書簡である。
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冒頭から短いスパンで匂い立つ違和感に、わくわくというか、ゾクゾク。
湊かなえさんらしい、どストレートな嫌ミス本ではないけど、短編集のような形で手紙のかたちを取っていても、彼女の書く色になっていた。
手紙というものが好きなので、手紙とは…というテーマも魅せてくれた気がします。
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今の時代にわざわざ手紙を書くという点が好印象なのと、親愛なる〇〇へであったり、〇〇より愛をこめてのような、遊び心も結構あって、手紙ならではのおちゃらけが懐かしい。
話自体も読みやすく、十年後の卒業文集では落ちが予想出来ていたとしてもふふっとなるし、二十年後の宿題は著者らしい事件があった上でそこを落ちとしてもっていくのかという面白さと、十五年後の補習からの一年後の連絡網という〆では応援したくなる。
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手紙のやりとりの中で過去の事件を明らかにしていくミステリー。実はこうだったと語られる内容が、事実はひとつなのに人によってとらえ方が違うのだということを教えられました。
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標題の通りに、手紙のやりとりで進行していく。
心の傷となり、引きずって人生をいきてきた過去の事件の真相が次第と明らかになっていく、連作ミステリー。
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タイトルのとおり、手紙のやりとりで続く短編集です。それぞれ別の物語ですが、ひとつひとつ繋がっているところもあり、面白かったです。
「十年後の卒業文集」
・・・放送部6人の物語。ラストに驚きです。
「二十年後の宿題」
・・・恩師と教え子の物語。切ないけど、優しい話でした。
「十五年後の補習」
・・・海外青年協力隊に参加した彼と日本で待つ彼女の物語。過去の事件を紐解いていく感じです。
「一年後の連絡網」
・・・物語のその後が描かれています。
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手紙のやり取りだけで進む短編集。
手紙という顔の見えない状態での会話だからこそ言える言葉に打ち明けられる秘密。
同じことを体験したのに、立場や環境が違うとそれぞれ違う見え方になる。
その見え方が複雑に絡まり一つになるのがとても面白かった。
今でこそ聞こうと思えばすぐに返事を貰えるが、すぐに返事が来ない手紙だからこそ込められた想いをより強く感じた。
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3つともちょっとした繋がりのある話で、あ!これあの人じゃん!とか思いながら読んで楽しかった
ちなみに最後の2人はどなた?登場したっけ?
私も巻き爪だから日本にいるうちに手術しようかなー
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湊かなえ作品にしては読後感が爽やかでびっくり。
どのお話も手紙をやり取りしている登場人物たちが、それぞれ持っている罪悪感みたいなものを手紙を通して少しずつ解していくお話でした。
みんな、幸せになってほしいなぁ。
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初湊かなえ作品
読み進めていくとぐっと引き込まれる瞬間が来る
ミステリーならではの感覚が気持ちいい
一気にそういうことかと繋がる感じがたまらない
自分だったらどうかするかと考えさせられる部分が多く感情移入して読めた
短編集だから読みやすくていい
Posted by ブクログ
手紙を書く時に人は、相手を思って言葉を選び伝えようとする。
メールのやり取りでは起こり得ない、思いが伝わるまでの時間の長さ、距離感が物語をより奥深いものにしていると感じました。
とても良いお話が詰まっています。
Posted by ブクログ
昔を懐かしむほっこり話かと思いきや、どの話にも「死」や「思い出したくない過去」などの暗いイメージが現れてきて、徐々に冷たさを帯びてくる感じ、好きです。坂本裕二の「往復書簡 初恋と不倫」にも似たような感じ?個人的には「十五年後の補習」が1番好き。純一と万里子の関係がグッときます…過去に犯した人に言えない罪を抱えながらも関わっている男女の関係がたまらんのです…。
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手紙形式で語られる真実。「十年後の卒業文集」では、千秋の行方と事故の真相を悦子が暴こうと、文面を疑い、過去の思い出を掘り返して本人確認しようとするところが怖い。千秋が悦子に化けていたなんて、久しぶりに会うと人の特徴なんて忘れてしまうものなのだろうか。整形で他の人になれると思うと、自分が見てきた、関わってきたあの子は誰だったのだろう…と自分自身の目を疑ってしまう。「二十年後の宿題」は竹沢先生の旦那さんが死亡した事故の真相について大場くんとやり取りするが、大場くんと仲良くしていたのは事故の原因を作った人物とされていた利恵だった。偶然にしてもできすぎてしまっているが、出会いたいと思った人と出会えるようにはなっているのかもしれない。利恵も事故を背負い、結婚できないでいた。誰かの死が足枷になり、人生の節目節目で決断できないなんて嫌だ。「十五年後の補習」は、お互い秘密を抱えたまま文通をする夫婦。万里子の記憶が戻った時、本当のことが明らかになる。一樹が万里子を襲うことを予想していて2人きりにした康孝。純一が万里子を愛し、最後まで守り抜く覚悟がないと罪を被れず、彼の手紙の、愛は最後の一文の「きみを愛している。」に集約されている。
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湊かなえの『往復書簡』は、手紙のやり取りを通して過去の事件の真相が明らかになる短編集。「十年後の卒業文集」「二十年後の宿題」「十五年後の補習」の三編で構成され、それぞれ異なる登場人物が、封印していた記憶や、知られざる事実と向き合っていく。人間関係の闇や葛藤、そして微かな希望が描かれる。
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一か月ぶりの湊作品でしたが、なかなか面白かったです。
どれも湊テイストが濃厚な短篇集だったと思います。
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トップを飾る「十年後の卒業文集」は、高校時代の部活の仲間の結婚式に端を発する。
海外在住で一時帰国中につき日本のケータイがないという「悦ちゃん」が、過去に部活仲間内であった事件を手紙を通じて暴露してゆく、というもの。手紙の往復が続くにつれ、徐々に譲らない自我がむくむくと表れて、女の罵り合いになりそうなところがイイですね笑 湊さんらしい。最後にツイストがあり、え?そうなるの?と読者をうっちゃるのも湊流、ですよね。
「二十年後の宿題」は私が本作で一番気に入った作品。
小学校教諭が引退後に、かつて見ていた教え子の行く末を案じ、別の教え子(その子もたまたま教師)を頼りに、気になるかつての教え子6人に手紙を渡して近況を聞いてきて欲しい、と頼む。この現教師の教え子が一人また一人とかつての教え子に会い、その状況を先生に手紙で報告するのですが、これまたインタビューというか面会が進むにつれて、かつて起きた事件が異なる角度から明らかになります。
これもまた、最後にツイストがあります。が、むしろハッピーエンドな終わり方ですね。ベタですが好きな終わり方。
そして最後の「十五年後の補習」は、単身赴任の夫を待つ妻の手紙から始まる。一見スウィートな雰囲気で始まるも、そもそもこのカップルは中学生の時からの馴染みで、とある事件をきっかけにこの妻は当時の記憶を一部失っていることが明らかに。当初は海外での状況を綴る夫に対し、甘い言葉で返す妻であったが、徐々に話は過去の忘れていた記憶になり。。。
この妙にイヤーな感じが湊さんらしいかな、と思います。
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本作に収録されている中篇すべてに共通しますが、物語の進捗と事実の小出し感がイイですね。事実が見えてくるまでのウズウズ感がたまりません。特に私は勘がいい方ではないので、じらされるように遅々と物語が展開するたびに、えーどうなるのー?と軽く悶えモード?でありました。
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ということで一か月半ぶりの湊作品でした。
相変わらずエンタメ性の高い作風でした。一日あればサクっと読めてしまいます。ミステリー系が好きな方にはおすすめ出来るかもしれません。
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久しぶりの湊かなえさん作品。
これは短編集という括りなのか、、?
伏線を常に疑いながら読んでしまったけれど、湊かなえさんのミステリーとしては比較的暗すぎないストーリーになっているなと思った。
Posted by ブクログ
手紙形式でちょっと読みづらかった。3つ目の短編は真実だと思っていたものが二転三転して、最後に畳み掛ける感じで湊かなえらしい話だった。
一つの同じ事象を経験していても、その人の性格や前後の会話などで感じ方も変わるし、日にちが経つにつれて自分に都合の良いように記憶も変わっていて、そこから少しずつすれ違っていく様子が描かれていて、当たり前だけど面と向かって話し合うって大事だなあと。
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3編の短編集。
①友人関係のもつれ②教師が昔の教え子たちを気にかけると同時にミステリーが展開されていく話③幼なじみでもある恋人との秘密が明らかになる
読者が手紙を除くという新しい視点で読むことができた。読みなれていないため、最初はとまどったが、独特の読後感があった。個人的には3つ目の作品が1番面白かった。
Posted by ブクログ
湊かなえらしいな、という感想。
登場人物の文通を通して過去の事件の真実に辿り着くスタイル。
中高生の時に初めて湊かなえの作品に触れ、衝撃を覚えた記憶がある。本を整理しており、約10年ぶりに読み返してみた。物語の記憶は全くなかったが、大体どの章も結末が予想できてしまい、、、当時ほどの面白さを感じれなくなってしまったが、こういうジャンルは嫌いではない。