湊かなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
介護の現場に入るということは、生活を手伝うだけじゃない。
その家の「当たり前」や、家族のルール、そして語られない過去に、否応なく触れてしまうことでもある。
湊かなえ『C線上のアリア』は、介護を軸に、ある家庭の内側にある“見えないもの”が少しずつ輪郭を持ちはじめる物語だった。外から見れば普通に見える家でも、扉の向こうにはその家だけの文化があって、他人が簡単に踏み込めない境界線がある。
けれど、介護が必要になったとき、その境界線は「守りたいもの」であると同時に、「足枷」にもなっていく。
読んでいて強く残ったのは、介護が「尊厳」と直結しているということ。相手をどう扱うか、どう距離を取るか、その積 -
Posted by ブクログ
あいかわらず、この作者さんは「子どもから見える母親」の描写がとても上手い
なんで親って変な偏見をさも自分が正しいように子どもに押し付けるんだろうか、この作品の本筋とは逸れるけども
あとがきにも書いてあったように、読み終わったあとも背中に違和感があるような…喉がムズムズするような…言葉にできないもどかしさや歯がゆさが残るラストです
結末はシンプルだったけど、じゃあ主人公の思い出やいままで積み重ねた人生はなんだったんだろう?本ものって?家族って?こどもって、大人がこんなに変えて良いもの?
私が姉だからかもしれないけど、最後は「姉」に感情移入しました -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後はもっと最悪を想像していたけど、ちょっと救いがあってよかった。
下記引用
認知症でなくても、平穏な日々の記憶は消えていく。砂を篩にかけるようなものかもしれない。若いうちは篩の目は細かいが、年齢を重ねるごとに粗くなっていく。落ちて行く砂の量も増え、最後には、石ころのような数日間が残る。それらは幸せだった日ばかりではない。むしろ、胸がつぶれるような思いをした日の方が、ほぐされることなく、硬い石となって残ってしまうのではないか。
常日頃から思っていることだけど、わたしは歳をとることが怖い。子どもの頃を思い出してみて、若い頃を思い出してみてって簡単に言うけど、その時の新鮮な感覚は必ず忘れてしまう -
Posted by ブクログ
主人公の劣等感とイヤミスのマッチがすごい。
ラスト2ページからの、続けても地獄、やめても地獄という再生不可能な崩壊感が強烈。
終始主人公の視点で描かれてる分、どこまで掘るの?ってくらい心理面の深掘りがえげつない。
最初はそこまで歪んだ印象でなくて、彼女とも対等に接してるのになという掴み。
でも徐々にその理由もわかってくる。
大学時代の旅行の回想は、広沢の出来事よりも主人公の心理とか立ち振る舞いのほうが痛々しかった。
初対面でこんな性格悪いことズカズカ言わないでしょとか、
釣り合ってないカップル見てクスクス笑うなんて、街中の人たちってそこまで他人のこと見てないでしょとか、
ツッコミどころはあ -
Posted by ブクログ
5編の連作短編集.15年前女児殺人事件で直前まで一緒に遊んでいた女の子4人と殺害された女児の母親の独白でそれぞれの章が進んでいきました
これぞ湊さんのイヤミス!という作品でした!
各視点でパズルのピースがはまるように、事件の状況や犯人が明らかになっていき、読んでいて楽しかったです
4人の子どもたちの「贖罪」についての語りは読んでいて苦しかったです。各章で起こる悲劇はほんとに後味が悪い(もちろんいい意味です!)
誰にも共感はできませんでしたが、第5章の被害者の母親の語りは身勝手さと麻子さん自身がそれに気がづいていないことから、怒りと呆れを感じました。
終章で私の言いたかったことを言葉にし