湊かなえのレビュー一覧
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大昔に読んだ事があり、ストーリーは忘却の彼方に置き去りにはなっていたのだけど、エイズや娘、という断片的な記憶だけ保持していた。忘却の彼方に向かって断片を拾い集めながら読んでいるような感じ。
十数年ぶりに読み返してみると、担任の異様さが際立って感じた。なんでこんなに不気味なのだろうか。それは、この担任が人間らしい精神と、人間離れした精神を併せ持っているからだと思う。
自分の娘を愛おしく思うのは自然、復讐に固執する風は常軌を逸している。
普段、規範に沿った人間らしい1面した見てこなかった担任の裏にこんな顔があるかもしれない。多感な時期に読んだ私、なんだか色々忘れているけど、この時私は自分のク -
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【2025年146冊目】
山中から見つかった6人分の死体には、着色されたような痕跡が遺されていた。遺体の発見から数日後、一人の蝶学者が出頭。自らの息子も含めた6人の男の子たちに手をかけ、まるで標本のごとくにそれぞれを見立てたのだという。猟奇殺人として騒ぎ立てる世間。だがその裏には隠された真実があった――。
「人間標本」なんていうパンチの強いタイトルを知ってから、文庫本化されるのを楽しみにしていました。人はおぞましい物を忌避しながらも、同時に惹かれてしまう生き物なのかもしれません。それでも、文字で描写される標本の作成過程と、その完成図はあまり頭の中で描かないようにしながら読みました。時に想像 -
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蝶の標本作りに魅了された少年が、生物学者となり、「最も美しい瞬間」を閉じ込めたいという執着を、人間へと向けてしまう。手記形式で進む物語は、彼の理屈や価値観が静かに、しかし確実に狂気へと踏み外していく過程を追体験させます。
手記という形式で描かれる狂気は、生々しい暴力ではなく、理性的だからこそ怖い。
親の期待に応えたい子どもの心、子を愛するがゆえの親の願い─その捻れと行き違いが積み重なった先に生まれる悲劇。湊かなえさんらしい“イヤミス”が、重くのしかかります。読後感の爽快さはありませんが、だからこそ胸に残る一作です。
なお公式サイトには、蝶をはじめ、物語に深く関わる“とある”画像も掲載されてい -
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ネタバレ飛び飛びで読んでしまって、叙述トリックがいまいち入ってこなかった、悔しい…。
解説読んでそういうことか!!てなった、自分でちゃんと気付けたらもっと面白かったなぁ。
りっちゃんは絶対律子だけども自分のいとこが飛び降り自殺した話聞きながらよくたこ焼き焼けるな…?て思っちゃったよ…。
母と娘の手記のすれ違うところがあって面白かったな。母の手記を読みながら「娘の手記ではどうえがかれるんだろう、、」てワクワク(ワクワクするような話ではないが)しながら読めた。
田所実家がまじで地獄すぎて、九州のいけんとこ詰め込んだみたいなとこやった。
娘(清佳)の気持ちになると苦しいなぁ、享と幸せになってくれよな。
あと -
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ネタバレおもしろかった。何か教訓めいたものを得たというよりは、ただただ面白いミステリだった。最後の一文には驚かされた。人を色で例えると、広沢は、相手に合わせて相手の色に染まることができると言う理由で、透明だと言うのは上手く言ったものだなと思った。作中で、優しくて、聖人であるような描かれ方をしていた広沢に、烏滸がましいが自分は似ていると思った。理由の一つ目は、相手に合わせて自分を変え、相手の色に染まるところ。そして二つ目は、そんな自分は自分を持っておらず空っぽだと悩んでいるところ。三つ目は、いじめや争いが起きた時、加害者側を糾弾したり裁いたりすることには興味がなく、ただ単に傷つく人がいる状況が嫌で、早く