湊かなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「イヤミス」だけじゃなく様々な魅力が詰まった短編集。解説も必読!
本の紹介
綺麗な宝石に秘められた 深い謎と人々の切なる想い。 人間の内なる闇と祈りを描き切る、珠玉の物語。
あなたの「恩」は、一度も忘れたことがなかっ たーー
「二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲し いな」わたしは恋人に
人生初のおねだりをした・・・・・・(「サファイア」より)。
林田万砂子(五十歳・主婦)は子ども用歯磨き粉の「ムーンラビットイチゴ味」がいかに素晴らしいかを、わたしに得々と話し始 めたが・・・・・・(「真珠」より)。
人間の摩詞不思議で切ない出逢いと別れを、己 の罪悪と愛と夢を描いた傑作短篇集。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ湊かなえさんらしい作品だなと思いました。
人それぞれ視点が違い、視点が合わないからこそ悲劇が起きてしまう。どこかで一度でも理解しようとする人がいれば防ぐことができたのではないかと感じました。
太っている人に対して何も考えずに痩せろというのはやり過ぎだと感じますが、100キロオーバーで膝も故障しているとなるとそう言いたくなるのもわかります。
色々考えさせられる作品でした。
美容整形のイメージとして、ただ患者が気にしているところを治す(整形)するだけだと思っていましたが、間違っていたみたいです。
最後の友利先生の解説もとても良いものでした。 -
Posted by ブクログ
久しぶりの湊かなえさんでしたが…やっっっぱり大好きーーー!と思えました。するする読めてテンポがいいのに、独特の雰囲気をずっと感じられて大満足。さらに短編集なので異なる環境のお話をたくさん読めて超お得。
各話に必ず「えっ?!」って驚かされるポイントが用意されてて、そのどれもが予想を超えるので「くるか…?くるか…?!」とハラハラドキドキしっぱなし。この感覚が本当に大好き。
不穏な仕掛けもあれば優しい仕掛けもあって、そのバランスが最高でした。
特に「ダイヤモンド」が最初っからずっと不穏で1番好きでした。他の話と比べて展開を予想しやすい話かと思ったら、斜め上の結末で湊さんさすかだーーー!モノローグ -
Posted by ブクログ
意識外から物語は繋がっていき、読み終えたらそれ以外では物足りないとうな結末を迎える。
著者の作品は、複雑に絡み合い紐解かれていく、伏線回収のような、凄まじい想像力と技術を感じる。いうほど安っぽく聞こえ、そんなはずがない、まさかがまさかになっていく。
本書では「救い」を幾つも感じた。
それぞれが暗闇を抱え生き続け、それは私たちにも言える当然であり、深さに違いがあれど、辛さは共通で持っている。
天才に囲まれる中で、努力が何も生まなかったり、天才ゆえに期待によって自由を奪われてしまったり、苦しんでいない人間などいない。
太陽のように落ちては上りを繰り返し、落日のように落ちている間だって、誰か -
Posted by ブクログ
人と人を行き交う書簡で紡ぐ三つの連作と+α。高校時代をともにした者たちの「十年後の卒業文集」、恩師と生徒の「二十年後の宿題」、同級生であり恋人であるふたりの「十五年後の補習」、そして「一年後の連絡網」、各々の物語を描く。三者三様、手紙の特性を生かした作品。手書きの文字と文章だけで人物を判断すること、事実の解釈は人それぞれで思い違いや錯誤があること、会話ではないゆえに感情の虚偽も吐露もなし得ること。
どの作品も俊逸なのだが、やはり「一年後の連絡網」で脈絡なく触れられる数行に、往復書簡を通じた結果が描かれ、便りを伝える連絡網として本作品ではもっとも好きな書簡である。 -
Posted by ブクログ
全体的に不穏な空気に包まれてて、好きな雰囲気だった。
どの話も、主観的な主張と、客観的な見え方の対比でひえーってなるタイプの話。
「ベストフレンド」
「ポイズンドーター」
「ホーリーマザー」
が特に印象に残った。
「ベストフレンド」は結末が予想外だったのもあるけど、脚本家のお仕事を少し覗けたようでおもしろかった。
今読んでいる、湊かなえの「落日」も脚本家が出てくるからより印象的。
ラスト2話では、
「ポイズンドーター」を読んで抱いた印象が
「ホーリーマザー」を読んでいくうちにどんどん揺さぶられていって、読後は頭にモヤモヤが広がってうまくまとまらなくなった…
同じ「支配」のように見えても