湊かなえのレビュー一覧

  • 絶唱(新潮文庫)
    阪神淡路大震災に関わる傷を抱えた人々の物語。舞台は美しい海を持つフレンドリーアイランド、トンガ。登場人物が少しずつ交錯する連作。読後はあたたかな気持ちになった。
  • 豆の上で眠る(新潮文庫)
    最後のゆいこちゃんの、「本ものって、なんですか」という問いかけに、彼女の違和感や自身の身動きの取れなさが詰まっていたと思います。

    豆の上で眠るような違和感、というのを読んでいるうちにゆいこちゃんと同じように感じるようになっていて、真相を知りたいけどパンドラの箱を開けるような感覚でした。
    さすが湊か...続きを読む
  • 残照の頂 続・山女日記
    登山への想い、山への想いは人それぞれだ、と思い直せました。

    レベルや自分の体力、気力色々なことを考えながら、そして、飄々と登っていく数々の背中を見ながらモヤモヤし、やっぱり私は足りないな、もっと頑張らなきゃって登る山。地上の生活に疲弊してリフレッシュの為に登る山で地上と同じ思考回路になる自分。

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  • ユートピア
    小学生の彩也子が、同じ小学生の女の子である久美香に向けて詩を作成して、その詩がコンクールに入賞、新聞に掲載される。
    星川すみれは、詩の中に登場する翼のストラップを販売しており、もっと有名にしようと自信のウェブサイトへ掲載したり、雑誌インタビューに応じたりした。
    ストラップはたちまち話題になる一方、ネ...続きを読む
  • 山女日記
    山登りしながら考える、散歩しながら考える。内面と情景が見事に組み合わさって大きく深呼吸した感じになりました。
  • 花の鎖
    それぞれの女性の生き方が別々の章で描かれる。
    一人一人の女性が章ごとに独立して描かれ、そこにもしっかりと読み応えを持たせ、どこでこの別々に生きる女性達が交錯するのか、ミステリ要素も織り込んだこの作品は最後まで楽しめた。

    「花」という優しく柔らかい言葉と「鎖」という少し物々しく硬質な言葉の組み合わせ...続きを読む
  • 残照の頂 続・山女日記
    山女日記の続編。
    前作を読んだときはハートウォーミングな作品だなと思った程度だったものの、ドラマ化されたものを見て、映像で山の美しさや、人が山に登り山と向き合う、山で命を預け合う仲間というイメージを具体的に持つことができた。
    だからかな、今作の「山での関係が地上では続けられない」というのが、登山をし...続きを読む
  • ユートピア
    現状に満足するのは、難しい。もっと良い環境があるはず、理想を考えたらきりはないし、ユートピアは実在しない。現状を受け入れ、今の環境に感謝して楽しめば、そこがユートピアとなるのだ。 子どもの詩の純粋さに感動した反面、大人の心の声に人付き合いの難しさを思った。どうなるのだろうと先を急いで読んだ。 最後の...続きを読む
  • ユートピア
    登場人物ごとの視点でどんどん物語を進める湊かなえらしい書き方によって登場人物たちが噛み合ってない感じや心情が事細かに描写されていてリアリティが増す。
    しかも、最後の3行ですべてひっくり返してくるから最後まで読んでいて飽きることが全くない。
  • 山女日記
    母性を読んですごい怖くて苦手だった湊かなえさん作品…この作品で湊かなえさんなファンになりました!これはとても素敵な作品…すごく楽しかった久しぶり一気読みしました
  • ユートピア
    1度では全て理解出来ていない感覚。

    3人の女性視点でお話が進んでいくため
    途中は混乱する。

    読み進めれば進めるほどハマっていき
    この人間関係のリアルさが個人的には好みだった。
  • 高校入試
    登場人物がたくさん登場したが、とてもうまく纏まっていて、かなり読みやすかった。
    入試のゆくえ、ネットの掲示板の展開、はやく業務を終えたい先生の思惑、といった、いくつもの要素が、次へ次へとページをめくる手を促します。
  • ユートピア
    湊かなえにしてはイヤミス度数が低めな気がした。途中で、読むのツラ…ともならず、サラッと読めた。
    最初から最後まで読者をザワつかせた「おまえ芝田か」事件は結局何にも解決せずに終わった。このモヤっと感は作者が狙うところだろう。
    登場する3人の女性、それぞれ優先したいことが違って、思惑があって、女って怖い...続きを読む
  • 絶唱(新潮文庫)
    フレンドリー。トンガに行きたくなっちゃうね。
    「約束」だけ読んだ記憶がある。なんだったかな。
    連作ならではの面白さにも引き込まれました。
  • ポイズンドーター・ホーリーマザー
    湊かなえさんの本はなんと初めて読んだ。面白い。
    本のタイトルにもなっている「ポイズンドーター」「ホーリーマザー」は、自分が娘なのか母なのかどっちつかずの今の私にぴったりの作品だった。
  • 絶唱(新潮文庫)
    4人の女性達の経験した阪神淡路大震災と過去からの再生を描いている連作短編集。
    それぞれがたどり着いた南洋の島で物語が動き出す。

    特に印象的だったのが表題にもなっている『絶唱』でした。
    震災を経験した方が、こんなに複雑な思いを抱えていたなんて…。

    こうした思いが、湊かなえさんの物語を書く出発点であ...続きを読む
  • 高校入試
    いろいろ人物の視点から物語は進んでいくが、登場人物が中々覚えられず、没入することができなかった。高校受験の問題点を題材としており、そこはとても興味深い。
  • ユートピア
    絶対に面白いだろうな〜と期待して読める作品ってすごく安心する。
    無性にミステリーが読みたい気分だったので本屋に買いに走り、サクッと読み終えた。

    そうそうこの味。ミステリーとしての出来はもちろん、登場人物たちの主観の不気味さというか、みんな見たいようにしか世界を見ない感じ。
    微妙な会話とか言動とかの...続きを読む
  • サファイア
    湊かなえさん作品の中でも「イヤミス」感が少なめだと思うので、初心者さんにも読みやすいのでは…!
    でもその中でも彼女の魅力とも言える「人間の闇/醜さ」みたいなところはやはりしっかり描かれていて、人間とはどういう生き物なのか考えさせられるなと思います。
  • ユートピア
    止まらない面白さだった。
    「告白」を読んだ時を思い出した。引き込まれ具合が同じだった。
    私は田舎出身で、10年位東京に住んだ。そしてその後3年ほど田舎に住み、去年東京に越してきた。
    そういったわけで、移住とか、都会の人と田舎の人とか、そういった雰囲気や空気感がリアルに想像できた。都会の人がイメージす...続きを読む