湊かなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
湊かなえさん著「白ゆき姫殺人事件」
いつか読もうと何年か前から本棚でずっと眠っていた作品、なおなおさんに薦められてやっと読む手を伸ばせた。ありがとうございます。
作品は著者の十八番、多人数の独白形式で多角的に真実に迫っていくミステリー。
今回の作品、物語自体には特に叙述的なミスリード等があるわけでもない。
しかし平行して描かれていく「資料」の頁、ツイッター形式のSNS「マンマロー」という投稿サイト、これを読み込むのに頭を相当使う。
ハンドルネームから登場人物を割り出せるが、誰が何をツイートしたのかでその意図やその人の人格の表裏が見え隠れする。
凄く複雑で、かつ現代的な感覚が斬新に思えた。
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Posted by ブクログ
美人社員がどうして殺されてしまったのか。その関係者への取材という形で物語が非常にスピーディーに進んでいく。
-自分の記憶で作られる過去と、他人の記憶で作られる過去。正しいのはどちらなのでしょう。-(抜粋)
些細な出来事や噂話から、人物像が作り上げられてしまう。それはSNSが発達した現代ではより加速していると思われる。
私はこのようにありもしないことをでっち上げ、それを楽しむような人はもちろんだが、そのような人たちから被害者を守ろうとする人々も、結局同じ土俵に上がってしまえば、被害者を傷つけていることに変わりないことをこの物語から感じた。
たとえそれが善意だとしても、他人から提供される自分 -
Posted by ブクログ
湊かなえさん「贖罪」
久し振りのイヤミスの女王、湊かなえ作品。こちらもめぐおさんに貸して頂いた。
ありがとうございます。
今回の作品は5篇からなる連作短編集。
一人の少女の殺人死が物語の中心にあり、その殺人の直前まで居合わせた当時同級生だった4人の独白から真相が描かれていく物語。人物像の生々しさが物語を更に暗く重たくさせている。
面白い構成だなと感じさせられるのが、少女の死をきっかけに当時の同級生達みなが別々な理由で殺人に手を染めてしまうという因果。
一見なんの因果関係もないように見えるのだが、タイトルの「贖罪」という言葉を考慮して考えてみれば、死のループを経緯した連関性を感じてしまう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ女たちの胸の奥に渦巻くどす黒い感情を見事に描いてくれて気持ちいい。
普段自分も感じているこの嫌〜な気持ちを文章にしてくれているのを読むことで、なぜか浄化されたような気持ちになる。
なのでイヤミスを読むと逆に私はスッキリします。笑
妬みとか、人からこう見られたいとか、そういう欲望から解放されたら、人間もっと楽になれるよな。
私も「かっこいい人」「すごい人」でいたいと思ってしまっていたので、光稀やすみれの気持ちがわかる…。
素敵な人ぶっちゃうというか、いいかっこしちゃうというか。
時にそれがマウントになっていたり。
結局周りの目を気にせずに自由に生きていくのが1番幸せだけど、コミュニティの中でそ -
Posted by ブクログ
実はドラマをNetflixで観たので、原作も読みたくなった。(あらすじに映画キャスティング)
15年前に起きた「笹塚町一家殺害事件」を題材に、新人脚本家(吉岡里帆)と映画監督(北川景子)が事件の真相に迫っていく物語。
ドラマを先に観ているから全て知った上で小説を読むという形になるが、ドラマはダイジェストだったというくらい、小説の描写は人物の感情などが細部まで掘り下げている感じがした。(こんなシーン無かったなあと思うこともかなりあった)
北川景子の演じた映画監督の香が、何故昔の事件を掘り起こし映画にしようと思ったのか、吉岡里帆演じる脚本家の真尋の姉の死を何故隠したのか…この話を書くにあたり