湊かなえのレビュー一覧
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終始まとわりつく違和感そのものを物語の装置として成立させた作品だ。読者は結衣子と同じく、真実に辿り着けない不安定な場所、まさに「豆の上」で眠らされ続ける。
失踪した姉・万佑子は本当に戻ってきたのか。それとも別人なのか。子どもの頃の直感は成長とともに薄れるどころか、大学生になった今もなお確信へと変わり、結衣子の日常そのものを侵食していく。
帰省や些細な出来事がすべてトリガーとなり、過去は現在を容赦なく支配する。
感情を言葉にできないまま涙として排出する結衣子の姿は、無自覚なストレスと共に生きる人間のリアルを突きつける。希望と絶望が交互に現れる彼女の時間は、万佑子が「もし生きていたら」という -
Posted by ブクログ
AIによると、「イヤミスとは、悪意に満ちた人物や救いのない結末などによって、嫌な気持ちになるミステリー(推理小説)作品」だという。
そういう意味では、この作品はイヤミスじゃないし、ドロドロ感もない。
境遇の似ている二人は性格が正反対に近いのに、あるいはそれ故に惹かれ合い、強い絆で、強いリボンで結ばれている。
ミステリー展開は予想通りだったが、人と人のつながりは爽やか(爽やかすぎる?)だった。
陽子と夫の正紀の、
「陽子がいったいどんな悪いことをした」
「だって…」
に象徴されている。
湊かなえさんは、
「ひとつの事件を点ではなく、線や面でとらえたい」と話している。
事件だけじゃない。当たり前だ -
Posted by ブクログ
女性同士の連帯のことをシスターフッドと呼ぶけれど、そこに母と娘も入るらしいということを最近知った。確かに、男性優位の社会(家庭)では、女性の家族は連帯せざるを得ないと思う。でも、健全な連帯(?)にはお互いの自立、自律が欠かせない気もする。そういう意味では、母と娘は家庭という狭い社会の中だと連帯ではなく依存に陥りやすいのかもしれないな、と感じた。
すごく雑に感想をひとことで言うと、みんなお母さん好きすぎるだろ、に尽きる。もはや人間扱いされてない。それゆえに人としての人権もない。
最終章がハッピーエンドに思えるけど、ほんとうにそう思っていいのか?と思わされるほど途中はなかなか複雑怪奇な心理劇であり