湊かなえのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「イヤミスの女王」の異名を冠せられている著者だが、これまでも『山女日記』や『境遇』『花の鎖』など、幅広い作品がある。さらに本作は、王道の青春小説といってもよく、異名は返上といきたいところ。
交通事故により陸上競技を断念した主人公圭祐が、脚本家を目指す正也から声の良さを買われて放送部へ入部。
彼は次第にその活動にのめり込み、やがて全国高校放送コンテスト出場を目指す。
各放送部員たちのキャラもそれぞれ個性豊かに描き分けられ、放送部の活動はこういうものかと読者に表出される。
コンテストの場面もその場にいるかのような描写に、彼らを応援する気持ちがいや増す。
続編があるようなので、それも手に取ってみたい -
Posted by ブクログ
終始まとわりつく違和感そのものを物語の装置として成立させた作品だ。読者は結衣子と同じく、真実に辿り着けない不安定な場所、まさに「豆の上」で眠らされ続ける。
失踪した姉・万佑子は本当に戻ってきたのか。それとも別人なのか。子どもの頃の直感は成長とともに薄れるどころか、大学生になった今もなお確信へと変わり、結衣子の日常そのものを侵食していく。
帰省や些細な出来事がすべてトリガーとなり、過去は現在を容赦なく支配する。
感情を言葉にできないまま涙として排出する結衣子の姿は、無自覚なストレスと共に生きる人間のリアルを突きつける。希望と絶望が交互に現れる彼女の時間は、万佑子が「もし生きていたら」という