今村翔吾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025年刊行。
今村将吾の長篇小説。
Netflixで映像化もされた話題作。
舞台は明治維新後、武士の時代が終焉を迎えた明治11年。
新聞に張り出された「武技に優れた者は京都天龍寺に集まれ。大金が得られる」という噂を頼りに、京都・天龍寺境内に300名の強者が集結する。
そこで告げられたのは、「蠱毒」と呼ばれる死の遊戯。
参加者全員に点数を表す「木札」が配布され、この奪い合いをしながら、東海道のいくつかの関所を通過し、東京を目指すというものだった。
かつて“人斬り刻舟”と恐れられた伝説の剣豪・嵯峨愁二郎は、重い病に倒れた妻と子を救うための治療費を得るべく、蠱毒に参加する。
天龍寺での混乱の中、愁二郎は病の母のために参加していた12歳の少女・香月双葉と出会う。双葉を見捨てられなかった愁二郎は、彼女を守りながら東京を目指すことを決意する。
2人は東京に向かいながら多くの強敵と仲間に出会い、死闘を切り分けて進んでいく。
一方、秋二郎には訣別したはずの過去があり、、、
上記が本作のあらすじ。
映像化もされ、ベストセラーとなった本作だが、個人的には面白いと思えなかった。
「明治時代に行われた、武術の達人たちが参加するデスゲーム」という設定は斬新で良いし(実際、私は設定に惹かれて読んだ)、主要な登場人物のキャラは立っていて魅力的だ。
だが、テンポが悪い。
文庫版で4冊の長さだが、半分でいい。
描写が丁寧なこともあるが、展開が遅いので読んでいてダレる。起伏はあるので、読みきれないことはなかったが。
ストーリーで一番引っ掛かったのは、双葉の存在。
双葉は、その優しさと無邪気さによって、羅刹のような参加者たちを惹きつけ、味方にしてしまうという演出が頻繁にされる。
これが本作の軸のひとつになっているのだが、この設定は最後まで好きになれなかった。
熾烈な「蠱毒」において、戦闘力を持たないながらも他人を気遣えるという双葉の特殊性は理解できるが、それによって強者たちが改心するというのは、必然性が乏しいと感じた。
参加者がみんな快楽殺人者であるならともかく、大半は使命があって蠱毒に参加しており、信念と覚悟をもって人を斬っているからだ。
彼らが悉く双葉に影響されるというのは説得力に欠ける。
また、「京八流の秘密」もふわっとしていてインパクトが薄いように感じた。
ここまで悪いところばかりを書いたが、時代背景や設定はよく活かせているし、キャラには魅力がある。
漫画にすれば良い作品だと感じた。
私は好みではなかったが、好きな人は多くいるだろう。 -
Posted by ブクログ
基本ミステリ中心に読んでるけど、たまに読みたくなる歴史物。そして、好きな今村翔吾さん。
今作は珍しい元寇もの。たぶん初めて。
昔歴史の授業でやったくらいしか知識がなかったので、詳しい背景など全然知らなかったので、大変興味深い内容で知的好奇心をくすぐられた。
確かに今思うと日本の歴史上で、初めての存続の危機なんだろうねー。改めて脅威と神風を信じたくなるね。
ストーリー全体は大変興味深く読めたけど、細かい部分で思うところは、あの二人のエピソードはそこまで必要だったのか??
せっかくの戦いの部分、歴史通りとはいえせっかくのクライマックスだったので、もう少し描写とかあってもなー。とかかな。 -
Posted by ブクログ
戦闘シーンそのものは迫力があって面白いのだが、物語が進むにつれて、当初の「バトルロイヤル」という設定から逸脱する展開が多くなっていくのが気になった。
また、札の得点計算や、それを踏まえた参加者たちの駆け引きも複雑で分かりにくく、説明を読んでも状況や戦略がすんなり頭に入ってこない場面があった。
さらに、せっかく魅力的な強者同士が対決しても、決着がつかないまま終わる戦いが多すぎるように感じた。命懸けの戦いである以上、もう少し明確に勝敗をつけた方が、誰が生き残るのか分からない緊張感が生まれたのではないか。
登場人物たちが全体的に優しすぎる点も少々物足りない。これほど過酷な状況に置かれているにもかかわらず、互いに助け合う場面が多く、バトルロイヤルとしてはやや甘さを感じてしまった。
個人的には、深作欣二監督の映画『バトル・ロワイアル』のように、極限状態の中で人間同士が疑い合い、ときには容赦なく殺し合うような、もっと殺伐とした世界観の方が好みだ。本作も戦闘の面白さは十分にあるだけに、バトルロイヤルならではの非情さや緊迫感がもう少し前面に出ていれば、さらに楽しめたと思う。