「羽州ぼろ鳶組」の13冊目。3つの話からなる、シリーズ初の外伝的短編集。
『幕間』ということで、昨年4月から読み始めたこのシリーズ、どうやらここでひと段落ですかね。
第一話「流転蜂」
留吉と名乗ってはいるが、表題を見れば誰のことかはすぐ分かる。吉原で彦弥と火花を散らした“天蜂”鮎川転の、流刑となった八丈島での暮らしぶり。
火消を止めたくても止めきれず、平太を救いに行く姿がカッコいい。それを助ける角五郎も。
終盤、田沼の意を受けた使者との面談はこの後にあるお話(あるよね!?)への布石に違いない(と思ったが、どうかな?)。
第二話「恋大蛇」
こちらも、京や大坂で源吾とともに火に立ち向かった“蟒蛇”野条弾馬と緒方屋の紗代ちゃんとの恋バナとすぐ分かる。
きっとこうなるだろうと思うように進む、とても分かり易い展開。あの人の文が一役買うのも予定通り。収まるところに収まって良かったよ。
最後に書かれていた「技比べ」というのも、どこかで読めるかな。
第三話「三羽鳶」
さて、これはどの3人かと思ったら、め組の銀治、け組の燐丞に仁正寺藩火消の柊与市と、次代を担う面々のお話。
黄金の世代に比べると派手さはないが、しっかりとした個を持つ3人。源吾や勘九郎らが江戸を不在にしている中、それぞれの組を率いて空き家の火事場に残った不審な骸の謎を追う。
与市ってこんなに強かったんだと思ったが、これまで目立たなかった逸材がまだまだいるということで、この後のお話も楽しみ。
『三組の頭、柊与市、銀治、燐丞、共に黄金の世代よりも少し若き者たち也。此れ迄黄金の光陰にありて、目立つこと少なけれども、その心、その技、その躰、全く以て劣らず。
まさしく銀波の世代といえり。江戸火消に隙間なく、ますます天晴也―。』
銀波の世代たぁ、こりゃまた渋い。
このシリーズ、登場人物一人ひとりのキャラクター(生い立ちや性格、人間関係、特徴特技など)がしっかりと作り込まれているので、どんな話になっても話に厚みが出る。
ぼろ鳶が出てこなくても十分に楽しめた。