今村翔吾のレビュー一覧
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購入済み
晦まし屋、平九郎の仕事の1年
堤平九郎が裏稼業とする「晦まし屋」のこの1年は、正月から本草家、阿部将翁を皐月15日までに故郷、南部の村に届ける約束に始まったのである。高尾山で大勢の幕府家臣が警護する中、いわゆる監禁状態の将翁を救い出し、江戸湊に連れ出して船で南部の村に約束の期日に送り届けることが出来た。
次は、3年前に解散した鰄党の残党が堅気になって江戸で働く中、鰄党の別の組に属した銀蔵が描いた筋書き、亡くなった頭の一万両の在処を平九郎が知っているという筋書きで、平九郎は利用され接触されるのであった。元鰄党の和太郎は、蕨宿で平九郎を脅して聞き出そうとしたが、逆に平九郎に斬り殺された。当の銀蔵は早々に姿を消す。仁吉の番が来て、仁吉が多勢の浪人を連れて平九郎の前に現れたが、平九郎の剣の強さが勝りやはり殺された。この物語は、人物が入れ替わったりと、複雑な話しであるとともに、どこか不穏な場面があり恐ろしいと感じた。
そして、最後は師走の二十日に1日だけ晦まして貰いたいという話しが飛び込んだ。幕閣、老中松平武元の依頼だった。
武元は今でこそ上野国、館林藩藩主あるが、若い頃は次男で部屋住みの気楽な若者時代を過ごした。江戸の街に出る機会も多かったのだろう、紙屋の娘と知り合いになり、借金で傾きかけているお店の稼業に助言するのである。それでお互い惹かれ合い二人は将来を約束し合う仲になった。そして紙屋の娘は武元の子を身籠もったが、娘が生まれて、今将に二十日に結婚するという。その様子を一目見たいと願ってのくらまし依頼であった。「虚」という不信な凶暴団を相手に、殿様の側用人曽和一鉄の協力で、江戸の中川の一之江の渡しで、殿様が娘の婚礼を無事見送った。
どの仕事もしんどいものだった。
この物語で、1年の仕事内容を述べるには私には能力不足である。地名など宿場も色々あるし、もしかしたら草加宿だったかもしれないとあやふやな記憶は否めない。登場人物も多いし、平九郎だけでなく相手方も優秀な家臣が出て来たり、又入れ替わりもあり複雑な物語だと感じた。しかし、解らないこと、理解出来ないことが、歴史を語る上では多いと思う。自ずから調べても良いし、他人に尋ねても良し。そのままにしておいて、ある時偶然に答えに出会うこともあるだろう。
要は、そんなことに臆することなく読んでくれと作者は語りかけているようで、ふっと安心している。
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Posted by ブクログ
羽州ぼろ鳶組シリーズ第4弾_
火消しの第一義は何だ…
貧しい百姓でも 罪人でも 豪商であろうとも
みな等しく命を救う!
そのことを胸に宿してさえいればいい!!
んもー!
今回は号泣必至!!
目の曇りを何度払っても…すぐに霞んできて
紅蓮の景色(炎の中)に消えていった姿が
忘れられないー!
今回は江戸から京都へと舞台をうつし
葬式の最中に遺体から火が噴き出る事件が相次ぐ
源吾たちは事件の真相を追いはじめる…
様々な親子が出てくるが
過酷な事態に遭遇し 辛い想いを抱えながらも…
その後歩んだ人生が違いすぎて切なくなった
それぞれの家族愛に涙し
改めて表紙をみると またまた泣けてくる!!
毎回ドラマチックな展開で
大好きなシリーズです♡ -
購入済み
晦まし屋稼業三人、高尾山の奮闘
くらまし屋、堤平九郎が今回仕事を受けた相手は、幕府に召し抱えられていた本草家、阿部将翁という八十八歳の老人である。この老人、幕府に採薬使として仕えてきて十年前に御役引退の願いを出して許可された。だが、気の毒なことに自由な行動を制限されていた。
本草家は、主に植物を採取し薬の抽出を役目とする。薬草を探して山野を歩き回るのだが、植物のちょっとした変化で土や岩の特徴が見分けられる。いわく、鉱脈を見つけることもたまにあった。釜石の磁鉄鉱脈は将翁の発見とも言われる。
また、朝鮮人参を種から育てることに成功して、安価にして世間に出した人物でもある。優秀な人物ゆえ、悪人たちからも狙われたし、やたら外出して話し回れては幕府は困るのである。将翁宅には薬園奉行与力、住岡仙太郎他数名が常に警護として就いていた。
将翁は、老体ゆえ病弱になり残り僅かな命の時を、故郷盛岡藩閉伊通豊間根村で過ごしたいと強く願っていた。
平九郎はこの老人の願いを三つの条件全て飲み込み、八十両で受けたー旅程は船であること。皐月15日に村に着くこと等。
平九郎は、晦まし稼業仲間の赤也、七瀬と馴染みの波積屋で綿密に打ち合わせを行った。
赤也の調べで、将翁は自宅から小石川養生所に移され、やがて幕府の命で死亡した人と扱われた。しかし将翁は高尾山の幕府の隠れ薬園に幽閉されていた。そこでは、薬園奉行与力、住岡他役人五十余名が警護に当たっていた。また薬園奉行の極秘の命令で道中奉行与力の篠崎瀬兵衛他十人の同心が助っ人として高尾山に入るのだった。さらに、赤也の調べによると御庭番が2名が紛れ込んでいた。
赤也は、将翁が自宅にいる時からひたすら近くで見張りに徹して、高尾山でも薬園を観察しその全体像を掴み、地図に描いた。やがて赤也が平九郎、七瀬と共に高尾山近辺の旅籠に逗留した時、赤也が近隣の農民十名を使い、高尾山の将翁の住居に続く登山道に別の脇道を作たり、呼子を吹いて相手を攪乱し、相手の人数を少しずつ削ぐのだった。勢力は平九郎側に分が悪かったが、赤也の働きが際立っていたのである。
将翁の救出は夜間決行され、平九郎が警護の役人を当て身と峰打ちで無力にし、将翁を担いで下山。麓で待っていた七瀬が、用意した馬で将翁を江戸の街に運び入れた。その後も手際良く、平九郎が江戸湊から将翁を船に乗せ豊間根村まで無事送り届けた。
三人の奮闘ぶりがとても頼もしく感じた。