今村翔吾のレビュー一覧
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少年漫画のようなエンタメ
圧倒的な疾走感と迫力のバトルシーンが魅力で、少年漫画のようなエンタメ性と、王道ながら新鮮な展開で、続編への期待が高まる傑作です。
幕末から明治への過渡期の侍の葛藤が融合し、一気に引き込まれます。
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祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
平家物語は源平合戦における敗者・平氏の視点から描かれている。歴史は勝者に都合の良いように残され伝えられていくのが常であり、実際に吾妻鏡のような源氏・得宗視点の歴史書も編纂されている。なぜ平家物語は語り継がれ、また作者不詳の説話として琵琶法師などによる語りが900年後の私たちまで伝えられてきたのか。謎が多いこの平家物語に対して、今村翔吾さんの大胆な仮説が彩りを加えていく。
治承・寿永の乱については近年かなり検証が進んできており、源平合戦のような象徴的な戦いはほとんどフィクションであるとされる。源義経の超人的活躍や日宋貿易を牛耳って私腹を肥やす平氏といった後年のイメージも現実には存在しなかったと考えられる。むしろ平安時代末期の気候変動による飢饉や世紀末の末法思想といった庶民を取り巻く不安感に対して、藤原氏に代わって政権を取った平家=伊勢平氏正盛流が対処しきれなかったために諸国で反乱が起こったとされる。
主人公は平清盛の四男・知盛であり、清盛亡き後の平家を必死に支えながら源氏の攻勢を耐え忍ぶ様子が描かれていく。戦の天才・源義経や鎌倉に在って戦局を支配する源頼朝、あるいは源平の間を陰謀を持って行き来する後白河法皇など、一癖も二癖もある相手に知盛は対抗していく。平家滅亡に至るプロセスは多くの人が知る通りであるが、その実の目的に関しては多くの説があり、平家も決して愚鈍な存在だったわけではない。
むしろ「奢れるものは久しからず」という解釈を源氏に捉え直すと、この知盛の妻・希子が治部卿局として守貞親王の乳母となり、後高倉院として南北朝の持明院統へと繋がっていったことを後世の私たちは知っている。源頼朝の子孫の行く末を含めて、禍福は糾える縄の如しなのである。 -
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蹴鞠と和歌を愛す北条氏真が、天下人信長に示した心意地を描く表題作をはじめ、歴史の中で輝く才を描いた八編。
作者がこれまで書き溜めてあった作品集とのことで、「ぼろ鳶」などの長編シリーズや「幸村を討て」などの歴史小説のエッセンスが詰まっているように感じました。
また、作者にとって初めての短編集ということでしたが、どの作品も一つ一つ読みごたえがあり、ぜいたくな歴史物語でした。
どの主人公もこれまでの歴史であまりスポットを当てられなかった人物ばかりで、新たな視点で歴史を味わうことができました。
戦国時代を扱った作品が複数あり、それぞれの人物を通して描いてあることで、立場やタイミングによって、人の運命が変わるのだということも読み取ることができました。
人物や時代は違えども、人への思いやかけがえのない命を大切にしたいという作者の熱い思いがどの作品からも伝わって来ました。
この思いは今の時代にこそ、求められているのではないかと感じてしまう今日この頃です。 -
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豊臣政権を実務で支えた、五人の“シゴデキ能吏”「五奉行」達を描いた物語。
「北野大茶会(まつりの壱)」、「刀狩り(まつりの弐)」、「太閤検地(まつりの参)」、大瓜畑遊び「まつりの肆)」、「醍醐の花見(まつりの伍)」・・といった、大事業&大イベントの裏側のストーリー、連作五話(&まつりの序)の構成となっております。
因みに「五奉行」とは・・
増田長盛(土木、建築担当)
浅野長政(司法、治安担当)
長束正家(財政担当)
前田玄以(寺社、朝廷、渉外担当)
石田三成(行政全般担当)
・・といったメンバーとなっております(官職名略)。
彼らは決して仲良しチームという訳ではなく、反りの合わないメンバーが居たり、時には意見がぶつかることもありつつも、それぞれの能力についてはちゃんと認め合っているので、いざとなればテキパキと連携を取って秀吉の無茶ぶり案件に取り組み成し遂げていく・・。
その敏腕っぷりが痛快なんですよね。
「奉行に出来ぬは無い。ただやるのみ。一人では難しいと思われたのでしょうが・・今は五人いるのです。我らに出来ねば、日ノ本中の誰にも出来ませぬ」
→くぅ~っ、このプロ意識、痺れますな!
個人的に好きだった話は「太閤検地(まつりの参)」。
伊達領の検知を巡って、五奉行VS伊達政宗のヒリヒリするような攻防は、圧巻の読み応えでした。
とりわけ、“算術の鬼才”・長束正家の算術オタク的な個性が光っていたと思います。
本書で取り上げられた大事業やイベントは、教科書では秀吉が行った政策(興行)としてペロっと触れられているだけですが、実際にそれらを行った人達の“現場の話”(勿論フィクションですが)を、このような胸アツストーリーに仕上げるところが、さすが今村さんだなぁ・・と感心しながら、“戦国お仕事モノ”を存分に堪能させて頂きました。
そうそう、同著者の“戦国職人モノ”ともいえる『塞王の楯』との軽いリンクもあるので、今村ファンはその辺もお楽しみですね~。
最後に、本書や同著者の『八本目の槍』で石田三成公にポジティブな(←重要)ご興味を持たれた方へ。
是非、司馬遼太郎さんの『関ヶ原』を(未読なら)読んで頂きたいです。
清廉潔白なのに、何かと誤解されがちな三成公をもっと応援したくなりますし、本書にも登場した好漢・大谷吉継公との友情がこれまた泣けるんですよ!
ついでに、家康のことはマジで「このタヌキめ・・(怒)」とムカつくこと請け合いです~。(家康ファンの方、スミマセン汗)