今村翔吾のレビュー一覧
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くらまし屋シリーズ第七弾は湯島天神芝居小屋が舞台。なんと赤也が役者として育った濱村屋の若き主人二代目吉次(赤也の義弟)が依頼主で平九郎は悩む。
天王寺屋と濱村屋が娘道成寺対決をすることになったことが発端だがその裏には老中の政治的思惑も働いていてなかなか複雑。
赤也は最後の舞台に立つのだが、その時の一節「ーこれにて。赤也が心の中でそっと別れを告げたのは、舞台であったか、それとも亡き父であったか。いや、歩むかもしれなかった、もう一つの人生かもしれない。」拍手喝采の舞台でやっと自分を完全にくらましたんだな、と感動した。
世の中映画「国宝」が大評判だがここにも女形をテーマにした感動作があるよ、と言い -
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ネタバレ主人公の匡介は、幼い時に一乗谷の城下で織田信長に攻められ、両親と妹を喪った。
その時に出会った石垣職人の飛田源斎に命を救われ、いつかは彼のような鉄壁の石垣を造りたいと思いながら日々修行を積む。
彼ら”穴太(あのう)衆”は、最強の石垣を造る集団として有名だが、秀吉の世は太平へと向かい…。
読みやすくてサクサク読める。
なので、気がついたらクライマックスにたどりついていなかった。
だって上巻なんだもん。
最強の楯(石垣)と至高の矛(銃)作りの二つの集団。
どちらも最高のものを作ることによって、戦のない世の中を作れると思っている。
一瞬、銃で「戦のない世」を作るって何だ?と思ったけれど、これが高 -
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関ケ原の前哨戦の一つ、大津の籠城戦を描いた歴史もの。
武将や忍者などを主人公とする歴史作品が多いなかで、本作は石工の技術集団である穴太衆を中心に据えて、武将を脇役に回してしまっているところがユニークです。
ライバル役にはこれまた鉄砲職人集団である国友衆をおいて、主人公の石垣とライバルの大砲という、矛盾(ほこたて)の技術勝負を魅せるというシンプルな構成で、なんとも分かり易い。
脇役の武将たちも、ちょっと盛り過ぎ感はありますが、敢えてキャラを強く立てて、いい味を出してくれています。
創作部分が多く、エンタメに大きく寄せているのは読者の好みの分かれるところでしょうが、割り切って読めば単純に面 -
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勝者の名前を冠した「源氏物語」(!)ではなく、元号を冠した「治承物語」でもなく、敗者の名前を冠した「平家物語」となった謎が、(フィクションではあろうが)鮮やかに解き明かされる。
上巻では謎であった西仏に物語を語って聞かせる人物が知盛の妻希子であることが終盤で判明する。真相を聞いて頼朝が悔しがる場面は痛快だ。
歴史の転換点にいる人、転換点を作ったひとは、ただ必死に生きただけで、当人にその自覚はない、という表現がある一方、今村作品には、「先々まで、百年後・千年後まで、見通したひと」がまま登場するので、ほんの少しだけ「後付け史観」を感じるけれど、全く新しい平家物語を読めたので、総合評価で星4つ。 -
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自分好みの歴史小説、今村ワールド素晴らしい、歴史の教科書に出て来ない登場人物もあるが、今川氏真や武田義信、北条氏規、著書では歴史の影に見え隠れする主人公達が生き生きと描かれており、短編集ではあるが、その奥に見える其々の歴史や成り立ちが、大河の様な奥深さを感じてしまう。
どの物語のどこを読んでも、安心感と云うか今村ワールドの安定感を感じてしまう。「じんかん」や「茜唄」「八本目の槍」などの名作と同じ位の、「人」の描写「心」の動きに心を奪われる。
個人的に7話「晴れのち月」の矛盾や葛藤、哀しみに心惹かれる。
今村翔吾ワールド今後も楽しみたい!
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西日本の各都道府県に縁の武将のエピソードを取り上げる短編集です。
取り上げられた武将たちは近畿・中国・四国・九州などから24人。誰でも知っている有名な武将から、その地域にはこういう人がいたのか、と改めて知る武将まで様々で、歴史の授業だけでは見えてこない姿が魅力的(?)に描かれています。
今作は連作短編集ではなく、あくまでそれぞれ別の文献などを元に抜き出されたエピソードが紹介されている短編集です。しかし、隣接した領地同士の場合はお互いに様々な思惑や政治的やりとりがあったりして、同じ武将が登場した両陣営を覗き見ることができる話もあり、とても読み応えがあります。特に秀吉は何作にも登場し、諸将 -
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ぼろ鳶組第3巻。
凄惨な盗賊千羽一家の犯行場面から始まる今回は、人の怖さを思い知らされる。悪人や火が人の暮らしを壊していく状況は、恐怖しかない。今回は流石に火消は手が出ないのでは?と思ったけれど、さてどうなるのか。
一方、財政難が続く新庄藩では、火消の心意気を見直してくれたご家老が病で倒れ、代わりに御連枝様(殿様の異母兄)が執政となり、またも火消の費用が削られる危機に。
さらに、最強の火消、九紋龍史進じゃなかった辰一とぶつかって、消し口を取られて散々に惨敗。
とまあ、今回もピンチの連続だが、どこまでも諦めずに火と戦うぼろ鳶はやっぱりみんなのヒーローだ。
今回面白かったのが過去の南町奉行、坪内様