今村翔吾のレビュー一覧
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伊予の国の御家人・河野六郎通有(こうの ろくろうみちあり)の物語。
疑心暗鬼から勃発した親族内での戦の結果、
家中で恨み憎しみが連鎖するという状況の中で、
二度目の元寇襲来を迎え撃つ。
でもただの歴史物語じゃ全然なかった。
人はなぜ戦うのか、という人類普遍のテーマがこの物語に深い厚みをもたらしている。
さらには高麗から辿り着いた繁(ハン)と、
ルーシ(現ウクライナ?)から来た令那(レイナ)の存在が壮大な奥行きをもたらしている。
海の向こうから来た2人との交流によって
六郎や伊与の国の民たちが解きほぐされていくのは心洗われる思いがした。
そして海を越えて来た元寇に対峙して、
いわゆる河野 -
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ネタバレ本作品全体を通して、まず明治時代を舞台に繰り広げられる少年漫画のようなデスゲームもの、という一見ちぐはぐにも思える設定が面白かった。「蠱毒」という遊戯に別の「蠱毒」(京八流の継承戦)が絡んでくるという点も、見どころを増幅させていたと思う。
また、敵味方に関係なく魅力的なキャラクターばかりで、できることなら全員に生き残ってほしいくらいだった。誰がどう脱落するのか、考えたくなくても頭に思い浮かべてしまい、その度にハラハラしながらページを捲った。
一方で、誰も彼もが香月双葉という存在を、身を呈してまで救おうとする点については、やや説得力に欠けており、唯一彼女にはあまり魅力を感じることができなかった -
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西国の各都道府県に所縁の武将を描く短編。どれも読みやすいが面白さには濃淡あり。色々と構成が練られているが、ややひねりすぎと感じる話も少なくない。
好きなのは「謀聖の贄」と「夢はあれども」。前者は小国人の梅津主殿助視点から尼子経久の天性の才を浮かび上がらせる構成が見事。井の中の蛙の滑稽さと、自惚れは身を滅ぼす教訓が詰まっており、短編としての完成度が高い。後者は亀井茲矩の出世を、夢というキーワードを軸に描く。島根に生まれ海を隔てた先に外国があったからこそ育まれた海外への憧れ。そのためには武士の誇りよりも実利を取り、生き延びる必要があるという思いに共感できる。“琉球守”という史実を落ちに組み込む -
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歴史小説のなかでも、有名な武将や偉大な功績を残した教科書に名前が載る人物などではなく、ただ戦を終わらせたいと願う2人の職人に焦点を置いた作品だ。主人公に関しては一応、穴太衆の匡介だと思われるが、登場する人物のキャラクターはどれも濃く、主人公に負けず劣らずと言ったところだ。戦国時代の知識は作品をより理解する事ができるという点で非常に大切だが、この小説はあまり詳しくない人でもとっつきやすいと思う。前述したが華やかな武将でもない職人が中心である本作がなぜここまで面白いのかと考えてみると、やはりそれは場面、展開の移り変わりの丁度良さにあるのではないだろうか。とても言葉で形容しがたい自分の文章の組み立て