今村翔吾のレビュー一覧

  • 茜唄(下)

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    ネタバレ

    平家が滅びることを知っている。それでもページをめくる手が止まらない。結末が分かっているからこそ、知盛たちが懸命に生き残ろうとする姿が胸に迫る。

    何より平知盛が格好いい。知略だけでなく、家族や仲間を思い、最後まで平家のために戦い抜く姿に惹きつけられた。教経との関係も熱く、互いを認め、支え合う二人の姿が印象に残る。

    本作を読んで、「平家=悪」という一面的なイメージも大きく変わった。そこにいたのは、家族を愛し、仲間を思い、必死に生きようとした一人ひとりの人間だった。そして知盛を支える希子の存在も忘れ難い。戦いの裏側にある家族の情愛まで描かれているからこそ、平家の滅亡がこれほど切なく感じられる。

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    2026年10月07日
  • 茜唄(上)

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    ネタバレ

    源平合戦を「平家側」から描いていることが何より新鮮で、これまでとは違った景色が見えてくる作品だった。

    特に印象に残ったのが、平家をどう生き残らせるかを考えながら戦う平知盛。

    単に勝敗を追う武将ではなく、一門の未来を背負って知略を巡らせる姿が格好いい。

    そして、豪胆な教経との対照的な関係も熱く、互いを認め合う二人の絆に惹かれた。

    戦の物語でありながら、清盛亡き後の平家一門が家族として支え合い、時にぶつかりながら生きようとする姿もしっかり描かれている。

    「平家=悪」という単純なイメージが覆され、彼らにも守りたいものや生き残りたいという願いがあったのだと感じさせられる。

    知っているはずの源平合戦が、まったく違う物語として迫ってくる一冊。

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    2026年10月06日
  • 玉麒麟――羽州ぼろ鳶組

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    メンタリストDaiGoが言うには「吊り橋効果は但し美男美女に限る」らしいよ。
    火付盗賊改方長官会添えの島田政弥の株が上がったのが良かった。

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    2026年10月05日
  • 作家で食っていく方法

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    作家、と言うよりもビジネスの話でした。
    今村氏の本をそれほど多く読んでいるわけではありませんが、エッセイの方が面白いのではなかろうか。
    夢は夢、現実は現実である。
    とにかく面白いものをコンスタントに世の中に提出しなければならない。それも短編ではなく、長編。長編をコンスタントに書けるか否かが、作家としての生き抜いていく術なのだろう。
    本屋を2つオーナーとして持っていたり、作家のための策を考えたり、と、非常に面白い方だ。
    実直なビジネスマンである。

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    2026年10月05日
  • 火喰鳥――羽州ぼろ鳶組

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    初めての今村翔吾先生。
    いやぁ予想通りの王道エンタメ小説でした。面白かったです〜。

    今村先生といえば、米澤穂信先生の『黒牢城』と並んで直木賞を受賞された際にお名前を拝見。
    それ以来、「デビューして何年でしたっけ……?」と聞きたくなるくらいたくさんの作品を執筆され、また創作活動にとどまらず、文学賞を創設したり書店やカフェを開いたりと、まさに現代の小説界を背負って立つ人物のお一人だと認知しております。ついでに公式サイトがすごくカッコイイ!

    そんな今村先生の世界観に触れてみようと、手に取ったのはデビュー作。熱い。熱すぎる。特に名乗り口上のシーンなんて最高でしたね!
    かつて「火喰鳥」と称されながらも、ある事件をきっかけに火消から遠のいた主人公・源吾が、一癖も二癖もある人物たちを束ねて「ぼろ鳶」を率いていく物語。
    こういう展開嫌いな人はいないよねというまさに王道少年漫画で、あっという間に読み切ってしまいました。
    当時の火消制度に関わる説明もわかりやすく、また現在の東京に通ずる地名もたくさん出てくるので、なおさら物語に没入することができました。

    個人的に面白かったのは、老中・田沼意次の描き方です。
    田沼意次といえば、昔教科書で見た肖像画のイメージしかありませんでしたが、彼の熱狂的なファンがいたり、また実際に尋常ならざるオーラを放って登場したりと、いい意味で従来の印象が裏切られることに。
    なぜ現代でも時代小説が人気なのか?
    それはこのように、新たな解釈だったり意外な人物像を描いて見せるからなのかなと感じました。

    私が読んだことのある時代モノは宮部さんと米澤先生という、どちらかというと湿度高めで落ち着いた作品が多かったもので、こんなふうに血湧き肉躍るエンタメ作品に昇華することもできるという点は発見でしたね。
    短時間でスカッとしたい時にオススメの一冊です(⁠^⁠^⁠)

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    2026年10月04日
  • 夏の戻り船 くらまし屋稼業

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    ☆4.1【Audible】

    シリーズ3作目
    今作は前2作と展開が変わっててかなり良かった
    まず依頼人がなぜ晦まされたいのかが最初で語られない
    主人公たちは晦ますためになにか仕掛けているけどそれも伏せられてる
    今作は道中奉行の視点で描かれてるシーンが多くてミステリーっぽい描き方だったなと


    くらまし屋たちが何を仕掛けてたのか、それぞれのキャラクターの思惑が描かれた後はイクサガミを彷彿とさせる人外vs人外のバトルもあり大満足
    春はまだかの時も思ったけど夏の戻り船ってタイトルが秀逸

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    2026年10月03日
  • イクサガミ 天

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    新聞の連載当時に一瞬目にした時、戦国時代が背景かと思った印象あるけど、明治11年!!!テンションぶち上がってる!!(どっちの時代も大好き)

    明治十年の西南戦争がいかに当時の大事件で時代の変わり目であったことが伝わってくる
    徳川家治なんかがひと世代前ぐらいに語られている

    凶刃、かってに新選組!のときの原田左之助で再生されてる
    右京、とても良いキャラ、、、;;

    漫画化、アニメ化してほしいな~
    (Netflixの実写化はまだ見てない)

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    2026年10月02日
  • イクサガミ 天

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    ネトフリのドラマを見た後だったので、映像の迫力に若干引っ張られながらになりました。あらすじは面白く、主人公の生い立ちや宿命はこの物語に深みを持たせています。ただ戦いのシーンの迫力が少し物足りないように感じました。司馬遼太郎先生に燃えよ剣の迫力が欲しかったところ。読み続けるかどうかちょっと迷います。

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    2026年10月02日
  • 海を破る者

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    序章/邂逅の夏/眩惑の秋/決心の冬/真実の春/西海に至る/河野の後築地/海を破る者/終章

    鎌倉幕府に逆らって没落した河野家
    一族に起きる内紛

    六郎は様々な時を過ごしながら考える
    静かに深く
    日ノ本の他に国があり、見た目の違う、言葉の違う人がいると知り考える
    より深くより広く

    繁と令那はどこまで行ったのだろう
    六郎もいつか漕ぎ出せると良いな

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    2026年10月01日
  • 乱読御免

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    とても読みやすい本に関するエッセイ。今村翔吾さんが好きということもあるけど、優しい語りで本と、彼自身の人生を書き上げてあり、心地よく読めました。

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    2026年09月30日
  • イクサガミ 人

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    面白い!
    途中の戦闘の描写がうまく想像できなかったけど、あっという間に読めた。
    東京まであと少し。誰が9人に残るのかも気になるけど、残った9人がどうなるのか。
    みんないろんな理由で参加して、賞金もらえたら問題が解決するのか早く知りたい。

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    2026年09月27日
  • 黄金雛――羽州ぼろ鳶組 零

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    ほらやっぱり「黄金雛」先に読んでから「襲大鳳」だったじゃん!激しく己に突っ込むとともに、どこをとってもそれぞれの胸の内を思い出しては涙腺が刺激される。なんてものを書いてくれたんだ。今村翔吾先生よ。火消の雛たちの胸のうちも、古老たちの胸のうちも、現実の世界では中間管理職を任される身としては「あー、ねぇ?」。火付は最大の悪事。そこに至るまでの事情を知れば複雑な境地。どんな職であれヒーローたりうる職業なんてない。喜ばれれば嬉しいが、むしろ罵声と怒声がとびかう。それでもなぜ火消を選び続けるのか若雛の覚悟も見える。

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    2026年09月27日
  • 戦国武将伝 西日本編

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    関東から関西の武将は大体わかるけど中国より西はよく知らないので読んでみた。
    短編なので生涯全部知れるわけではないがとっかかりにはなる。
    本人以外が主人公の話もあるけど中でも有馬氏の話は晴信が一行しか出てこなくて驚き。

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    2026年09月26日
  • イクサガミ 神

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    ネタバレ

    後半の展開が怒涛すぎて一気読みでした。
    みんなそれぞれ大事な想いを持っていて、好きな登場人物も多かったです。

    でもみんな散っていく。それが切なすぎて後半はため息や天を仰いでばかり。

    旅の終着点を知るとまた最初から読み返したくなる。

    そしてもう一点衝撃だったのは、明治時代の郵便屋さんの職権の強さ!ところどころ調べつつ読み進めましたが、警察官より早く拳銃武装を許されていた事には驚きました。

    なぜか高校の日本史で省略されがちな近代史、その辺りについても調べてみたくなりました。

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    2026年09月25日
  • 夢胡蝶――羽州ぼろ鳶組

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    今回は彦弥の物語。名前を聞けば女が絡むと容易に想像出来ますが、まさにその通り。吉原の謎の連続火付け事件が男と女の想いや背後の勢力の思惑と絡まり、解決に向けて彦弥とぼろ鳶達が縦横無尽に暴れ回ります。
    しかし、彦弥はカッコいいですね。「誰が誰が嗤おうと、お前の想いを恋と呼んでやる。」と言ったり、 「この人はどんな願いでも叶えてくれる!」と言われたり。これがサマになるから読んでるこちらも応援したくなります。
    鬼滅の刃を見たせいか、彦弥の活躍シーンにはどうしても『残響散歌』が脳内再生されてしまいます。

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    2026年09月25日
  • 幸村を討て

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    全ての者に通じるキーワードは
    「幸村を討て」
    大坂の戦を舞台に、徳川家康、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永の視点から描かれそれぞれの思惑が交錯する。
    六者六様の思いをもって放たれるその言葉を軸に本書は構成されていて、緻密に練り上げられた展開は圧巻の一言である。

    そして大阪の陣の後、最終章に徳川と真田のもう一つの戦いが始まる。幸村の兄、信之と徳川家康の熱い舌戦である。互いに一歩も引かぬ攻防に読者はただ釘付けになる。家康のネチネチとした詰め方は、著者が間近で本人を見てきたのかと思わせんばかりに真に迫っていた。カラッとした関西人が読めば「だから家康嫌いやねん」と呟きそうなほどに嫌気をさす粘着具合を巧みに記述されている。
    今村作品は初めてだったが、これを機に他の作品にも興味が出てきた。

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    2026年09月23日
  • イクサガミ 神

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    東京での最終戦のルールについては、少し微妙に感じるところもあった。
    しかし、ここまで勝ち残ってきた“化物”たちが、いよいよ一対一の戦いで次々と退場していく。ここまで読み進めてくると、応援したくなるキャラクターも出てくるだけに、その退場には寂しさも感じる。
    そんな中、終盤に入ってからはギアが一段上がったように展開が加速する。次々と戦いが繰り広げられ、物語が結末に向かって一気に動いていくスピード感が気持ちよく、最後の戦いまで一気に読み切ってしまった。

    読み終えてみて
    全体を通して、ドラマやアニメ、漫画との相性がとても良さそうな、エンターテインメント性の高い作品だった。特に、個性的なキャラクターたちが繰り広げるバトルを楽しみたい人にはおすすめしたい。一方で、歴史上の人物や出来事が登場するとはいえ、歴史小説として読むと期待するものとは少し違うと思う。

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    2026年09月23日
  • 夜哭烏――羽州ぼろ鳶組

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    面白かった。
    今村翔吾は上手。火消しに複雑な仕組みがこんなにあるとは!
    江戸時代も長くなりすぎて、齟齬が出るというか制度不良になっているというか。

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    2026年09月22日
  • 戦国武将伝 西日本編

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    実際の史料に残る一文をベースに、ここまで物語を膨らませているのが本当に凄いと思う。誰もが知る有名武将から、知る人ぞ知るマニアックな武将まで幅広く網羅されていて面白いし、戦国時代を生き抜いた人々の息遣いが伝わってくるようで、読み応えがあった。特に毛利氏の「十五本の矢」と、有馬氏の「海と空の戦士」が印象的。

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    2026年09月22日
  • 童の神

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    今村翔吾作品は現時点ですべて読んでおり、総仕上げとして最初期の「童の神」を読んだ。
    確固たる意味はなく、漠然とこの作品は最後に読もうと思っていたのだが、その判断は間違っていなかったと思います。

    歴史の流れを創作に繋げるのがとにかく上手い今村翔吾さんですが、とくに童の神は事実との絡め方が上手いなあと引き込まれました。
    史実を意識しすぎて舞台が広く成りすぎた感も無きにしもあらずですが、「童」側、「朝廷」側それぞれに感情移入でき、しかしながら道長・頼光は悪役として際立っているという、読み手がしんどくならないように書かれていて読後のすっきり感もいいです。

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    2026年09月21日