今村翔吾のレビュー一覧
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「羽州ぼろ鳶組」シリーズ第6弾です。帯の「吉原、恋する軽業師」となれば、今回の中心はもしやぼろ鳶組一の色男の"あいつ"か! でも「消さない火消」って何? と想像が掻き立てられます。
舞台は吉原遊郭。最高位の花魁・花菊は、死して吉原牢獄と決別しようとしていたところ、飛び込んできたのがぼろ鳶組の纏番組頭・彦弥でした。
吉原では相次いで火の手が上がり、付け火と目されていました。吉原火消の依頼を受け、松永源吾、彦弥ら新庄藩火消が事件解決に挑む展開です。
これまで女好きのチャラい印象の彦弥でしたが、今回はカッコ良すぎます。死を願う花菊から叶えたい夢を聞き、「願いは叶えてやるさ」と声をかけ救うのでした。くぅ〜〜! 惚れてまうがなー! この2人どうなるの?
また、吉原特有の火消し事情がありました。ぼろ鳶組が連続付け火事件をどう全容解明し立ち向かっていくのか…。いやー今村さん、今回も魅せます、読ませますね。相変わらずのテンポのよさとエンタメ感満載で、救いと希望が染みる読後感でした。
続々と新刊が出され、ますます勢いづく今村翔吾さんです。「火喰鳥」プロジェクトが発動し、この春漫画化、来冬のTVアニメ化も決まっているそう。
並行して、今年開府400周年を迎える新庄市を記念して、「ダンスプロジェクト羽州ぼろ鳶組」のインストラクターを務めるなど、多忙を極めているようで…寝てるのかな?
改めて、ぼろ鳶シリーズは絶対コンプしたいと思いました。 -
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全国高校生花いけバトル――高校球児の夏の甲子園に匹敵する、即興の生け花の舞台に挑む高校生たちの、一夏の煌めきのような一冊です。
主人公は高校二年生の大塚春乃。華道同好会たった一人の会員だけれど、花が好きだった祖母に見せるために、どうしても花いけバトルに出場したいと、一緒に出場してくれるパートナーを探し求める日々を過ごしていた。そんなところにやってきたのは、事情持ちの男子転校生。生け花の素養があるらしいが、家の事情で転校を繰り返し、進級も危ぶまれるほどの成績である彼は、春乃が勉強を教えてくれるなら代わりに花いけバトルに出ると言う。彼が再び転校してしまうまでの、一度だけの夏。青春をかけて花に向き合う一夏が、やってきた。
花いけバトルという生け花の大会を知ったのは、随分前だったと思います。制限時間は5分間、どんな花材や花器なのかは直前までわからず、その場で即興で作品を作り上げる競技。所作もパフォーマンスも審査対象で、会場の観客こそが審査員になる。きっと、文章で読むだけではイメージが付きにくいと思うのですが、今はかなり色々な動画が上がっているので、見てみると相当にハードな競技であると分かると思います。私は、テレビの情報バラエティーの番組で取り上げていたのを見たのが最初でした。本当に驚きました。開始とともにステージから飛び出していくバトラーの動き、その後持ってきた流木を思い切り叩き割っていた様に度肝を抜かれたのを覚えています。
この作品は、そんな花いけバトルに挑む高校生の物語です。
作品全体に、どこか瑞々しく香る花々のような雰囲気が漂っています。花が好きで、活けるのが楽しくて、それを大切な祖母に見せてあげたくて。優しくて一生懸命な主人公がとても可愛く、その中にすっと通った芯のようなものが見えるのがまた魅力的です。そして、彼女とともにステージに立つことになった転校生の山城貴音。彼の人生背景も、彼をとりまく”家族たち”もこれまた非常に魅力的で、どんどん登場人物が好きになっていきました。
どこかお互い不器用なところがある二人が、時間をかけて”パートナー”になって、お互いがお互いを信頼できる関係を作っていく様が、とても丁寧に描かれているように思います。キラキラした青春の日々を垣間見るようで、こちらまで栄養をもらった気分です。ハラハラどきどきさせられるところも含めて、とても楽しく二人の挑む大会を見ることができました。
素直に、青春っていいなあと思わされる作品です。この二人が今後どうしていくのかも含めて、余韻を楽しめる一冊でした。 -
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羽州ぼろ鳶組シリーズ、3作目。
序盤から凄惨な事件が起きて、どのように物語に関わってくるのかドキドキしながら読み進めた。
長谷川平蔵と源吾が事件のあらましを見て、離れた地で、相手のことを想い合っているのが胸にグッときた。
辰一の生い立ち、「九紋龍」に隠された想いが語られる場面、戸沢正親と対峙する場面で明かされる正親の民への想い、それに対する新庄藩火消の面々の心意気に涙が溢れた。
源吾の「人は変わるものさ。」「人は何度でもやり直せる。」という言葉、1作目の「火喰鳥」が思い返され、胸が熱くなった。
今作で一番心に残ったのは、北条六右衛門の「新庄の民は貧しい。しかし決して明日への希みを捨てぬ。人への思いやりを忘れはせぬ。人の真の貧しさとは、それらを忘れることではなかろうか」という言葉。
忙しく過ごす日々の中でおざなりにしてしまいがちな、大事なことを思い出させてくれた。
また、町火消に組と新庄藩を重ねて語られた、組織の中で誰かを信頼する気持ちが、依存になり、やがて利用に変わってしまうということは身に覚えがあり、気をつけないといけないな、と思わされた。
もちろん、今作でも火消の現場は緊迫感と臨場感があり、映像を見ているようで引き込まれ、その中で繰り広げられる救出劇には胸が熱くなったし、最終章では源吾の妻、深雪の活躍もあり、楽しめた。
その後の夫婦のやり取りにもほっこり。
私も女天下してみようかな。 -
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羽州ぼろ鳶組シリーズ、2作目。
序章の新之助と彦弥、新之助と深雪のやり取りが面白すぎる。
前作を読んでからだいぶ間が空いてしまったけれど、すぐにこの世界観に引き込まれた。
今作でもある事件が発生。
その影響で火消が火消としての役割を全う出来ない事態に。
それでも消火活動のために掟を破る万組の頭「魁」武蔵、自身の身の危険を顧みず、火の中に飛び込んでいく加賀鳶、ぼろ鳶の姿に胸を打たれた。
特に終盤は迫力があった。
身の危険を感じつつも、下手人を追い詰めようと多勢を相手に一人で立ち向かう新之助。
自身が咎を受けることも厭わず、消火活動のためなら手段を選ばない源吾、武蔵。
二人は周りをも巻き込み、大きなことを成し遂げる。
加賀鳶の大頭「八咫烏」大音勘九郎が気付いた半鐘の意味は胸にグッときたし、源吾と櫂五郎のタッグは本当にすごかった…!
事件と並行して描かれる、勘九郎と娘の絆、折下左門と源吾の絆、源吾と武蔵の絆には思わず涙が溢れた。
勘九郎目線で描かれたパートでは、彼なりの優しさ、矜恃、信念が伝わってきて胸が熱くなった。
深雪が牙八や源吾にかけた言葉もかっこよすぎ…!
エピローグの源吾と深雪のやり取りもとても微笑ましい。
次作はどのような展開になるのか楽しみ。
ここからは余談。
羽州ぼろ鳶組シリーズ1作目「火喰鳥」漫画化&アニメ化!
実はこの間、書店にこのシリーズを買いに行った時、店員さんに「近々ぼろ鳶関連の新しい告知があるからお楽しみに」って教えてもらってたので、チェックしてたんです。
あの胸熱物語を漫画とアニメでも見られると思うと…( ・ ・̥ )
アニメの方は公式サイトでティザー映像を拝見したけれど、もう最高…!
映像を見るだけで涙が出そう。
これを機に原作の読者も増えるといいなぁ。 -
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全く止まることなく一息に読み切った。おもしろい!
良質な謎に満ちたミステリであり、熱い漢たちの群像劇でもあり、これは唯一無二のジャンルでは。
真田幸村を取り巻く6人の目線で大坂夏の陣の歴史上の謎を捉え直す。当然脚色されている部分もあるのだろうが、それでも一人一人の動機・行動力学には説得力があるし、なにより惹き込まれる重厚なストーリーがあって唸らされる。
強いて言えば、途中までがあまりにも面白すぎて、最後の章にはとんでもなくド派手な衝撃展開やどんでん返し、ドラマチックな裏切りなどを期待してしまったが、そこはしっかりじんわり語って落とされた、という感じでした。
昔上田を訪れた時、表札や病院の看板がいたるところ真田ばっかりだったエリアを通ったことがあったな〜。上田に行ったらしっかり幸村ゆかりの地を巡ってみようかしら。 -
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ご縁をいただき今村翔吾さんの講演会を聴かせていただく予定があり、今回こちらを拝読させていただきました。
今村翔吾さんのことがよくわかる素敵なエッセイでした。
生まれは京都ですが、滋賀に住むことを愛し、本を愛し、ご縁をすごく大切にする方だと感じました。
生い立ち、両親、兄弟、幼少期、転職、出会い、30歳に小説家を目指すようになるまでや直木賞受賞のことなど赤裸々に書かれてある。それはそれは今村翔吾さんの魅力がたっぷり詰まっており、一気にファンになりました。
私は歴史が学生の頃から苦手ですが、湖上の空を拝読させていただいて、今村さんの歴史・時代小説を読みたい欲が突如出てきました!不思議なものです。
今村さんは、「また新たな縁が、私の作品を強くする」とおっしゃってますが、私もこの本とのご縁、今村さんとのご縁を大切にしていきたいものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ平安時代に「童」と呼ばれ京人から蔑まれていた人たちの、差別なき世の中を熱望し戦って行った人たちの物語。過去の書物から着想を得ており、フィクションではあるものの、歴史書みたいであり、面白かった。
童とは、京人ではない、地方に元から住んでいた人たち。京人に従わないと言う理由で迫害され、鬼や土蜘蛛といった妖の名前を冠せられた人たち。妖の裏にはこのような背景があるのがとても悲しかった。
また、京都での最後の会談に際し、最後まで信じる桜暁丸が格好良かった。自分のせいではないにしろ、これがお前らの結論か、と言われた綱はとっても哀れであった。その心の整理のための放浪なのかもしれないが。
後書きにて作者さんが、この話の前日譚と後日談を描いてくれるとのことでとっても楽しみ。前日譚で、何故このような差別が生まれ、この様な名をつけられ虐げられていたのかをもっと掘り下げて欲しい。