Posted by ブクログ
2022年06月25日
今村さんの真田モノ。若しくは“今村版・大坂の陣”とも言える本書。
アイコンでもお分かりのように(昔々の画素悪すぎのヤツを未だに使用・・いい加減変更しようかな。とも(;´∀`)。まぁそれは置いといてww)、大の“真田好き(特に次男推し)”の私としては、読まない理由はないよね!という感じで意気揚々とペー...続きを読むジを繰った次第です。
大坂の陣に関わった諸将パートと、信之(信幸)兄さんの回想からなる真田家パート(真田の旗印・六文銭が、章が進むごとに一文づつ増えていく洒落っ気がナイス)が交互に展開する構成となっております。
徳川家康を筆頭に、伊達政宗、後藤又兵衛等々・・。6人の武将の視点から浮かび上がってくる、“真田幸村”の姿という構図は、同著者の『八本目の槍』と通ずるものがあります。
各武将たちの掘り方も絶妙で、彼らの来し方や思惑を織り交ぜながら、真田幸村という男の捉え方の変化具合も面白いです。
最初は、幸村が得体のしれない不気味な感じに描かれているのを“こんな幸村像は嫌だな・・”とちょい不満気に読んでいた私ですが、章が進むごとに卓抜した軍才は勿論、無邪気な部分や熱い思いを抱いている部分等ポジティブ要素も出てきてホッとしました。
各章でお約束のように叫ばれる「幸村を討て」という台詞の意味合いも、それぞれ違うというところも注目です。
ご存知の通り、真田幸村の本名は真田信繁というのですが、本書では“真田信繁は如何にして真田幸村になったのか”という考察を、真田家の哀しい過去と兄弟の絆につながるエピソードに仕上げてあるのは興味深かったです。
個人的には「政宗の夢」、「勝永の誓い」が好きでした。信繁と政宗の“仲良し喧嘩”は微笑ましいですし、毛利勝永と淀殿の甘酸っぱくて切ないエピソードは、二人のイメージがアップする素敵な話でした。
最終章「真田の戦」では、信之兄さんVS徳川家康&本多正信の、圧巻の心理戦が繰り広げられ、最後まで堪能させて頂きました。
超超個人的な感想を言わせていただくと、全体的に凄く面白かったのですが、信之兄さんが美味しいところを全部持っていった感があり、次男推しの私としては、シンプルに幸村(信繫)が超絶カッコイイ話が読みたいな・・と思った次第です。