今村翔吾のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
新しい視点からの戦国絵巻!!
2022年6月読了。
新しく見付かった一次史料等も織り込ませて、「もう書く事が無いだろう」と云うくらいに沢山の小説や映画で取り上げられてきた秀吉~家康の時代を、全く新しい発想・視点から描き出した、大変に優れた連作短編集である。
確かに「賤ケ岳七本槍」自体は有名だが、その一人一人に着目した小説は意外と少なかったかもしれない。
その七人の青春時代(出逢い)から人生や様々な想いに至るまでを緻密に描くことで、実はその七人と密接な関係に有った「八人目」の石田三成を、鮮烈なイメージで浮かび上がらせる、この着想が先ず素晴らしかった。
主題の七人も、それぞれ複雑な事情やコンプレックスを抱え -
Posted by ブクログ
ここで少し前から積読にしていた今村翔吾さんのデビュー作に行ってみる。
かつて江戸随一の火消と呼ばれながら5年前の火事が原因で今は浪人に身をやつしている源吾が出羽新庄藩から誘われて再び火消の頭取となるところから始まるお話。
そこから、まずは頭取並の新之助を従え、纏持ち、壊し手、風読みに頼りとする人集めに入る前半。「七人の侍」を思い出すが、訳ありの3人の経緯が描かれる章はそれぞれに江戸の噺の情緒あり。
私のお気に入りは壊し手の寅。優しい心根の元関取はその巨駆と怪力をもって、宙に投げ出された人をしっかと受け止めたり、十貫はあろうかという瓦礫を放り投げ屋根瓦を壊したり、見せ場十分。
源吾とその女房 -
購入済み
「じんかん」のコミカライズ
実にしっかりしたストーリー展開だな、と思ったら、直木賞候補作「じんかん」のコミカライズだったんだ。道理でしっかりしているはずだ。絵柄もストーリー展開を盛り上げるような、迫力があって しかも粗くない 生き生きとしたモノである。コミカライズにありがちの、地の説明文が長かったり、長台詞になったりすることなく、コミック単独でも十分に楽しめる作品である。