今村翔吾のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ【茜唄】 今村 翔吾 著
平家物語を久しぶりに読みました。平清盛亡き後、棟梁・平宗盛を補佐し、実質的に平家を取り仕切った四男で知将・平知盛と、武勇に優れた従兄弟の平経盛を軸に平家物語を復活させています。上巻後半の木曾義仲、下巻の「一の谷の戦」に始まる源義経らとの戦などは圧巻です。描写は、まさにその場にいるようで鮮やか。義経の物語が多いなか、平家側からどう見えたかもわかってとても興味深かったです。
著者の考察として面白かった点は、清盛が源頼朝を殺害しなかったのは、奥州・藤原秀衡、関東・源頼朝、西国・平家による「天下三分の計」によって均衡を図ろうとしたというもの。また、歴史は勝者の論理で書き換えられるため、琵琶による口伝によって平家側の実情を千年後にも伝えようとしたという点も面白かったです。
上下二巻は長いかと思ったのですが、暑いさなかに引き込まれて読んだ一冊です。 -
Posted by ブクログ
内容(ブックデータベースより)
十六歳の新人火消、松永源吾は、同世代の優秀な火消たちが台頭する中で、焦る気持ちを抑えきれませんでした。そんな折、毒を吐くような恐ろしい炎が発生し、熟練の火消でさえ生還が難しい状況になります。若手の火消たちは、その危険な状況から出動を禁じられてしまいます。
しかし、源吾はそれに反発し、加賀鳶の御曹司や最年少の火消頭、町火消の新星など、一癖も二癖もある仲間たちと共に、危険を顧みず、人々の命を救うために立ち上がります。彼らは、未来の江戸を担う若き火消として、困難な状況に立ち向かい、その片鱗を見せていきます。
この物語は、「羽州ぼろ鳶組」シリーズの「零」巻として、シリーズ全体の始まりを告げる作品であり、源吾たちの若かりし頃の活躍と、彼らがどのようにして絆を深めていくのかを描いています。また、後の物語に繋がる重要な伏線も含まれています。
令和7年7月7日~11日 -
Posted by ブクログ
3巻目も熱かった!!
江戸時代の日本人は懐の深い人たちばかり。彼らの火消に対するプライドは信念の深さも感じる。
い組の頭・辰一と強盗団『千羽一家』との関係性。そして辰一の背中に彫られた龍の刺青。すべてがこの辰一へと伏線回収される流れが、次へと次へとページを捲る。
終盤の辰一が救助に向かうシーンは人間は自分の命に変わっても人を救いたい。どんなに無謀だったとしても人はなんとしてでも人の命を惜しむことはしない。そういう辰一の生き様に感銘を覚えた。
あとは源吾を支える深雪の存在を忘れてはいけない…。
源吾や『ぼろ鳶』のみんなのために(ご飯を作るために)今回も支える良き妻(女天下は参考にさせていただきたい・笑)。
最後の章の『勘定小町』になるシーンは、まさかのつながりで思わず笑ってしまった。
ますます『ぼろ鳶シリーズ』の世界へと誘われる。次はどんなキャラが登場するのか楽しみです。 -
Posted by ブクログ
平清盛の四男・知盛は、弟分の教経と共に前線に立つ。知盛は没落に抗いながら熱い思いを未来に託していく。
下巻は、義仲との戦いを経て、宿敵義経との戦いの駆け引きが中心となり、知盛の戦略眼とともに、義経の優れた戦術眼が見事に描かれていました。
また、それが義経の戦いの限界であることも理解できました。
さらに、知盛が描く構想も実現できていれば、歴史は大きく変わっていただろうし、多くの血を流さずに済んだのかもしれないと思うと、一つの歴史の大きな転換点だったと感じました。
そして、知盛のその熱い願いが「平家物語」を生み出したという推察はとても納得できるものでした。
そういう意味で、この作品と出会ったことで 「平家物語」に対する私の考え方を改めることになりました。
読み終わった時に、題名の「茜唄」が心の中に深く響いたように感じました。 -
購入済み
昭和では書けなかった歴史小説
弱将が寡兵で守る城塞を、名将が新兵器を携えて大軍で包囲攻略する。果たして、城塞は守り切れるか。この無理ゲー展開を、熱気と疾走感に加え、知的刺激も交えつつ、描く。のめり込むようにイッキ読みした。🏯ところで、戦国乱世の権力者が、自らの命を賭して、民衆の安寧のために戦争を遂行することがあり得るのか。先の大戦の記憶が濃厚な昭和期では、あり得ないという空気感が支配的だったろう。人権意識極薄の戦国期の実像とも乖離している。🏯しかし令和期には、相応のリアリティが認められているもののようだ。現代日本の平和安穏を寿ぐ。🏯