今村翔吾のレビュー一覧

  • 茜唄(下)

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    主人公の充て方が絶妙で、これが故に史実として結果が分かりきっているにも関わらず、ありきたりのストーリーに落とさず、ついつい読み進めてしまうような仕上がりになっていると思う。登場人物の相関の匠さ、映像に浮かび上がるような合戦描写など著者ならではも発揮された良い作品だと思う。
    生き残った者として、故人がこの世に確かに存在したことを記して行くために、尚、戦い続ける希子と、全ての戦いが終わり『己たちは何であったのか』が頭によぎる知盛が印象的な読後感だった。

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    2025年06月19日
  • 菩薩花――羽州ぼろ鳶組

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    羽州ぼろ鳶組シリーズ、5作目。

    このシリーズでは悪人が悪人になった経緯に同情してしまうことが多々あるけれど、今作の悪人は分かりやすく悪人。同情の余地なし。

    民を救うため、時には命を擲ってでも消火活動に当たる火消したち。
    消火活動の結果として命を落としてしまうことはあれど、確実に命を落とすと分かっている現場にあえて踏み込んで、命を落とすのは…?
    たとえそれで民が救われたとしても。
    人の命を自分の道具のように扱う悪人には怒りしかなかった。

    良からぬことが起こっていることは分かりつつ、なかなか真相を掴めないぼろ鳶たち。
    彼らが真相を掴もうと奮闘する様には胸が熱くなり、彼らが窮地に立たされた時は

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    2025年06月15日
  • 塞王の楯 下

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    なんとなくは知っていた大津城や穴太衆。関ケ原の戦い前夜の局地戦を描く、さすがの直木賞受賞作。秀忠遅参の功労者、真田の話は有名だが、鳥居城の激戦の陰に隠れ印象が薄かった史実を膨らませ、見事な作品に

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    2025年06月15日
  • 茜唄(上)

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     平清盛の四男・知盛は、弟分の教経と共に前線に立つ。没落に向かう平氏を盛り返すことはできるのか。

     平家物語とその物語が誕生した背景が同時進行で進む展開で、とても奥深い作品でした。

     主人公の知盛という存在は、今まで心にとめたことはなかったのですが、この人物を中心にすることで、平家物語が戦いの記録であり、さらに、人の本質をとらえた作品であるということが強く伝わってきました。

     また、知盛も魅力ある人物として描かれていますが、知盛を支える教経が最強の武士であり、熱い魂を持った好人物として描かれており、この二人の友情に胸が熱くなりました。

     上巻では、源氏との闘いが徐々に本格的になり、義仲

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    2025年06月14日
  • 茜唄(上)

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    どうして今村さんの本は毎回
    「興味も知識もないし…読めるかな」
    と思いつつ読みはじめたハズなのに
    こんなにハマってしまうんだろう。
    早く下巻が読みたい。

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    2025年06月13日
  • 人よ、花よ、 下

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    下巻に入り、物語は一気に加速。夢中でページをめくっていました。
    終盤、正成の志を継ぎ希望を捨てずに戦う正行と、彼を支え散っていく家臣たちの姿には深く胸を打たれました。
    上下巻共にボリュームはありますが、歴史小説好きにはたまらない1冊になるのではないでしょうか。

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    2025年06月11日
  • 人よ、花よ、 下

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    垣根涼介さんの「極楽征夷大将軍」に描かれた足利家視点の物語と、真逆の南朝派視点の物語。読むごとに引き込まれて、それぞれの主人公を応援してしまうため、真逆の設定には困った。垣根さんも今村さんも似た史実感を持っているのか、何の違和感もなく入り込むことができた。
    にしてもやはり、楠木正行が痺れる。一族や民を守るため、戦を終わらせるため、また父の教えの通り、自分がどの道を選びたいかを見極め、選べる胆力、そんな人物像が現れる(史実にはおそらく書かれていない)エピソードの数々。好きにならずにはいられない。今住む大阪にほど近い土地で繰り広げられた物語は、土地勘があるため、想像しながら楽しめた。
    いつも入れ込

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    2025年06月09日
  • 九紋龍――羽州ぼろ鳶組

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    火喰鳥シリーズ第三弾。

    す、、凄いですね。
    三冊目になっても疾走するどころか、加速していきますね!何だこりゃっ!

    今回は、夜更けに火をつけ火事お起こし、火事で混乱している中で盗みを働く千羽一家が江戸に入ったというお話。
    に組の頭「九紋龍」辰一は火事場で野次馬狩りをしていた。何のために?
    家老の北条六右衛門が病に倒れ、藩主の御連枝と呼ばれる一門の戸沢正親が乗り込み、鳶の減俸等を宣言する。

    ↑一見バラバラなピースもしっかり毎回収まるところにカチっと嵌まるのですが、これがまた快感で(*´∇`*)

    とくに鳥越新之助(私が勝手に一休さんを想像してる人)の活躍がカッコ良すぎて!
    今回は沖田総司かっ

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    2025年06月09日
  • 鬼煙管――羽州ぼろ鳶組

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    羽州ぼろ鳶組シリーズ、4作目。

    葬式の最中に遺体から火が噴き出る事件が相次ぎ、事件の真相を追う源吾たち。
    ミステリー感が強くて楽しめた。

    本書に出てくる2組の親子。
    それぞれ似たような事態に遭遇し、辛い想いを抱えているが、その後の人生が違いすぎて切ない。
    正義とは?善悪とは?刑罰の意義とは?
    長谷川様の数々の言葉に考えさせられた。
    それぞれの家族愛に涙し、終章を読み終えたら、彼の生き様が脳裏に蘇ってきて、また涙。

    弾馬と源吾のコンビも好きだったし、銕三郎と源吾のコンビも意外と好きだった。

    深雪からの手紙も面白くて、ほっこり、胸熱だった…!

    《シリーズ好きな順》
    ①夜哭烏 ②火喰鳥 ③

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    2025年06月09日
  • 花唄の頃へ くらまし屋稼業

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    ネタバレ

    2025/5/29
    今回のゲストは加賀鳶。お父さん世代?
    くらます対象がくそ野郎でも全うしないと仕方ないよね。
    そこで私情で決めちゃったらもうやっていけないもん。
    ここまでいかんでも自分の決めた掟は守って生きようね。うん。
    本筋は停滞。

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    2025年06月08日
  • 恋大蛇――羽州ぼろ鳶組 幕間

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    読み終わってしまった。本編では脇役のような存在だったり、敵方だった人物のその後の物語。なんというか、世代交代を予感させるし、それでも良いと思わせるほど期待してしまう。このシリーズ、本当に面白かった。NHK夜ドラとかでぜひ映像化してほしい。

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    2025年06月05日
  • 茜唄(下)

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    文庫化を心待ちにしていた作品。
    読みたいと思った時には単行本が発売されてから結構経っていたので…!
    お知らせを見た時は歓喜した♪‹‹‪⸜(*ˊᵕˋ* )⸝‬›‹‪⸜( *)⸝‬›‹‪⸜( *ˊᵕˋ*)⸝‬››♪

    「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。」で始まる平家物語。歴史とは勝者が紡ぐもの。
    では、なぜ敗者である平家の物語が現代まで語り継がれているのか?
    これは、生命の唄。家族の唄。愛の唄。
    戦の唄。涙の唄。希望の唄。

    本書も登場人物たちが最高だった。
    知盛と教経のコンビも良かったし、知盛の妻・希子も好きだった。
    知盛と希子の関係がすごく現代的で、素敵だった。
    知盛が清盛の意志を継

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    2025年06月06日
  • 塞王の楯 上

    購入済み

    戦国乱世のお仕事小説

    主人公を武将ではなく職人とした異色の戦国軍記譚であり、アツいお仕事小説である。🏯まず、石垣作りのトリビアが面白い。ぴしりと石が噛み合った石垣より、計算し尽くされた「遊び」のある石垣の方が堅いとは、心に響く知見だ。🏯また、集団作業のハウツーは、戦国時代の石垣職人衆でも、令和の職場でも、相通ずる。上長の者は、常にアクシデント予防の目配りを欠かさず、空気を読んで自分に非がなくてもさらりと一言詫びる気配りが肝要だ。カピバラKS(五十代)も心得たい。🏯

    #アツい

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    2025年06月04日
  • 人よ、花よ、 下

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    ぬぉーーん!。゚(゚´Д`゚)゚。

    傑作やないか!
    またもや大傑作やないか!
    大の尻の作やないか!(けつが違う字!)

    時代に翻弄されつつも、己が信念を貫いた楠木正行の物語は、涙、涙のうちに幕を閉じたのです

    いやー、そもそもよ楠木正行ってばとんでもないヒーローなのよ
    南北朝時代ってのは鎌倉幕府を滅ぼした足利尊氏と後醍醐天皇がごちゃごちゃっとなって北と南にそれぞれに朝廷が出来上がった時代なんだけど、その後の歴史が示すようにそもそも北朝(足利陣営)が優勢なのよ
    楠木正行のいる南朝はだめだめ
    その大劣勢な南朝の中で一矢も二矢も三矢も報いた楠木正行です
    日本人は判官贔屓だからね基本、そりゃあもう楠

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    2025年06月03日
  • 茜唄(下)

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    これは傑作ではないでしょうか…。読んでいるうちに自分でもびっくりするほど涙が出てきて、最後にはもう止められなかった。ただの源平の戦いを描いた物語だったら、こんなに胸を打たれなかったと思う。軍将平知盛の夫としての顔、父親としての顔、友としての顔、平家一門としての顔。それがどれほど穏やかでやさしく聡明だったのか想像できてしまうくらい、人生の物語だった。命を燃やすような、つなぐような生き様が哀しくて眩しくて、正直まじで嗚咽するかと思った。源平合戦にこんな物語を描いてくるなんて…。

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    2025年06月05日
  • 人よ、花よ、 下

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    ネタバレ

    英傑と謳われる楠木正成の、嫡男・楠木多聞丸正行。
    時は南北朝時代。彼の波乱の生き様を綴る、長編歴史小説。
    第八章 妖退治 第九章 吉野騒乱  第十章 牢の血
    第十一章 蕾  第十二章 東条の風 終章 人よ、花よ

    南朝御所での騒動。
    “妖退治”で御所内に入った正行が知るのは、南朝の事情。
    そして出会った、坊門親忠と北畠親房、後村上帝。
    弁内侍を含めて、彼らとの語らいで知る、それぞれの事情。
    南朝への想い。それは前時代とは違う、親族でも違う。
    民を安じるための北朝との和議を求める者がいるのだ。
    一方で北朝側では、足利直義と高師直のしのぎ合いが。
    北朝を討ちます。それは戦を止めて和議を結ぶための戦

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    2025年06月02日
  • 人よ、花よ、 上

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    英傑と謳われる楠木正成の、嫡男・楠木多聞丸正行。
    時は南北朝時代。彼の波乱の生き様を綴る、長編歴史小説。
    第一章 英傑の子  第二章 悪童  第三章 桜井の別れ
    第四章 最古の悪党 第五章 弁内侍 第六章 追躡の秋
    第七章 皇と宙

    楠木母子の語らいの中で浮かび上がるのは、正行の視点を
    含めての、父・正成の道程。桜井の別れで知る父の覚悟。
    英傑の子としてではない、お主はお主の道をゆけ。
    考え、見極めた末の選択・・・楠木は北朝に従う。
    あらゆる情勢や可能性を見極めての決断であった。だが・・・。
    のちの世で小楠公と謳われる、楠木正行の生涯。
    21歳で、冷静かつ迅速に行動する御屋形様の姿。
    楠木を守

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    2025年06月01日
  • 火喰鳥――羽州ぼろ鳶組

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    ボロ鳶とバカにされながらも命をかけて火消しをする姿最高だった。
    偶然にも最近読んだ天地明察に出てきた人物に再会して感動。
    新之助の二つ名には思わず笑ってしまったが、いい意味で似合っていた。

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    2025年06月01日
  • 茜唄(下)

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    平家物語という題材からして「エモい」のに、今村翔吾の熱量で描かれて、電車の中で泣いてしまった。もう平家に感情移入してしょうがない。
    教科書やマンガ日本の歴史で飽きるほど知っていたはずの一ノ谷や壇ノ浦の戦いがこうもドラマティックだとは。もちろん創作部分はあるにせよ、人の想い、家族の想いに勝者も敗者もなく、誰かを愛する気持ちはただただ美しい。
    知盛の長男、知章が討ち死にするシーンはやめてー!!という心の声が本当に出そうになった。。

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    2025年05月31日
  • 茜唄(上)

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    いやーあ、、、素晴らしかったです、、、いつかまた絶対読み返したいと思いました。今村作品はどれも大好きですが、過去イチかもしれません。
    教経のようなコワモテしかし愛されキャラの武士が大好き。

    小中高校生相手に教育関連の仕事をしていますが、中2国語のみならず、この作品を副読本にしてほしい。

    大半の子どもたちは、「平家物語」とか「古文・古典」と聞いただけで、うっ、、、と拒絶します。細かい文法ばかりにとらわれすぎず、とっつきやすく、感情移入しやすく、登場するキャラが分かりやすいこういった作品に、できれば出会ってほしい。

    続けて、白蔵盈太さんの「義経じゃないほうの源平合戦」と司馬遼太郎の「義経」に

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    2025年05月31日