今村翔吾のレビュー一覧
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本作『幸村を撃て』は、戦国武将・真田信繁(幸村)を中心に据えながらも、単なる英雄譚にはとどまらない多層的な魅力を持つ作品である。読み始めた当初は、幸村という一人の人物の物語だと捉えていたが、読み進めるにつれ、その印象は大きく変化していった。
序盤では、幸村が何者なのかはっきりとは見えず、「裏切り者なのか、それとも忠義の士なのか」という謎が提示される。登場人物たちは口々に「幸村を撃て」と語るが、その意味や背景はすぐには明かされない。「何が起きたのか」は徐々に見えてくる一方で、「なぜそうしたのか」という核心は容易には掴めない。この“行動は見えるが動機は見えない”という構造が、本作をミステリーのような作品にしている。
中盤では、物語は兄・真田信之との関係へと移り、兄弟の物語としての側面が強まる。信之は感情に流されることなく、「何を守り、何を捨てるか」を見極めて最適な選択を重ねる人物であり、その現実的な強さには天才性すら感じられた。一方で幸村は信念を貫く存在として描かれ、対照的な生き方を選ぶ二人の間には確かな愛情がある点に強い美しさを感じた。
さらに物語は真田家という「家」の視点へと広がる。父・昌幸、兄・信之、弟・幸村は、それぞれ異なる選択をしながらも、「家をどうするか」という問いに向き合っている。生き残る道と信念を貫く道、そのどちらもが真田家としての一つの答えであり、単純な善悪では測れない価値がある。
本作は、南条や後藤又兵衛、伊達政宗、織田有楽斎といった人物の視点から語られる群像劇でもある。登場人物たちは皆「幸村を討て」と語るが、章ごとに幸村の印象は変化し、その実像は最後まで定まらない。この点において、本作は「人物そのものが謎であるミステリー」としての側面も持っている。
終盤、徳川家康との対峙を経て、物語は再び兄弟へと収束する。家を残した信之と、信念を貫いた幸村。異なる選択でありながら、そのどちらもが真田家の在り方を形作っている点に、本作の美しさがある。
中でも私は、真田信之に強い魅力を感じた。特に最後の徳川家康とシーンは、「すごい」の一言に尽き、思わず鳥肌が立った。すべてを理解した上で選択し続けるその姿は、何よりも難しく、そしてかっこいいものである。本作は、「人はどう生き、何を守るのか」を問いかける作品である。 -
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天地人神を読み終えての感想
ネトフリのドラマを観てから小説を読んだが、バトルアクション歴史小説としてとても面白かった!
明治初期の激動の時代の中で、ある事情からお金が必要な者、ただひたすらに戦いが好きな者、単にお金に目がくらんだ者がデスゲームに参加するという話。
ゲームの主催者や参加者それぞれに背景があって、自分なりの正義を持っているところに感情移入できた。
個人的に好きなのはカムイコチャとギルバートで、2人とも格好良すぎる。
武力だけが強さの測りではなくて、優しさとか他にも色んなものが強さになるんだなと思うお話でした。
ネトフリのシーズン2が待ち遠しい。 -
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一気に読んでしまった。
とにかく出てくる人物がみんな躍動的で、読みながら映像を見てるような感じで最後まで面白かった。
どのようにして平氏は源氏に負けるのか。
平氏視点から見る視点がとにかく新鮮で、
かの有名な義経の鵯越の奇襲は平氏から見るとこうも恐ろしいのかと。突如戦況が変わることで、あっと負けてしまうあっけなさ、負けたあとに失うものの多さが、唐突すぎるスピード感と、気持ちが追いつけない次々くる試練に気持ちが追いついていけない。
そして何より平氏から見る義経に対する底知れぬ恐怖が作品通じて表現されている様に感じた。
例えば、フィクションや漫画なんかでは敵方の話やどういった性格なのかを細かく書いたり、お互いの思惑を読んでる僕らだけが知れたりするが、
この話はあくまで、ある平家出身の人物が西仏という登場人物に語り、伝えていくかたちになるため、
源氏側の思惑や義経の人柄も一切源氏視点から描かれてこない。
あるのは戦さを通じて魅せる義経の強烈な奇襲や作戦から見えてくる恐怖。
当時の平氏は本当にこんな風に見えていたんだろうなと。
どう言う人間かわからないからこその恐怖も表現されていると思う。
滅亡へ向けてどう向かうのか。滅亡して終わりなのか、どう着地していくのか。最後の最後まで、見応えがあった。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」から始まる有名なこの一文は
読む前と読んだ後で自分の中で価値が変わったような気がして
平家の世界に入り、知れたからこそ、
平家物語の第一文はこれしかないと思える。
勝った者が歴史を作るから負けた者の姿は見えづらいけれども、
両者が共にいて時代を繋ぎ今につながっている。
普段光が当たらない平家に強烈にライトを当てて、
良いところ悪いところを惜しみなく書いてあるのが、また人間の一面を垣間見れた気がした。 -
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大坂夏の陣で、あと一歩のところに迫りながら、真田幸村は大御所徳川家康を討たなかったのはなぜか?という謎に迫っていく作品。どちらにしても家康と、さらに後方にいる秀忠を討たないと豊臣の勝利はないため、幸村はわざわざ討たなかったのだと家康は思っている。
二条城で秀頼と謁見をすませて以来、家康は最後の大仕事、妥当豊臣を目指して着々と豊臣恩顧の大名たちが減っていくのをまっていた。そして遂に、方広寺の鐘の銘文「国家安康、君臣豊楽」に難癖をつけて戦まで持ってくることができた。
とはいえ大坂城は天下の名城である。なかなか攻めるのは難しい。以前から大坂城を研究していた家康からすると、平野口のあたりが多少守りが緩かったはずだ。と軍議の際口に出したところ、正信が「真田丸という出城が築かれてございます」と注進してきた。かつて家康が苦戦を強いられた真田安房守の息子が守っているらしい。
前田利常隊と真田の間で激戦が行われるが、前田隊ははかばかしくない。家康はひくように伝えたが、退き戦は難しくなかなか引けない。踏み込みすぎだと利常に訊いてみると、内応して砦を空けるという偽伝令がきていたことがわかる。家康はどうしても真田安房守を思い出してしまう。信繁改め幸村という男、一戦もしていないと侮っていたが、こちらに引き込む工作をした方が良さそうだ。幸村の叔父にあたる信尹を呼ぶ。信濃10万石、裏切りの対価である。
寝返り工作は不調に終わった。この間に天守に大砲をぶち込む。和議がなされ、堀を埋め真田丸を破却することにする。和議はすぐに破られた。堀の復旧や、浪人たちの乱暴狼藉が続いたのである。では移封で手を打とうとしたが、豊臣家は拒んできた。開戦すぐ、毛利隊が突っ込んできたと思ったら、真田幸村が突っ込んできた。逃げる家康、追い縋る幸村。たった4騎でつっこんできて、家康は危うく討たれるところだった。夏の陣は終わる。幸村討死。家康は首実見により確認した。家康は幸村について調べることにする。
有楽斎は真田は徳川と通じているのではないかという疑いを持っていた。だが真田はよく戦っている。真意が掴めずにいたが、機があれば真田を討ちたい。 -
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面白い、、、!!
この時代といえば源氏が正義で平家が悪という構図が一般的だと思うが、
この本は平家目線で話は進んでいく。
確かに、平家の慢心や驕りが滅亡へと繋がっていくんだけれども、
平家は平家として、理想や言い分があって未来へ繋げるために武士としてどう生きていくのが正しいか、悩みながら戦っていく。
源氏の台頭、まさに時代の移り変わる瞬間が描かれており、これまで今村先生の本を何冊か読んだ中でもかなり読み応えがある。
源頼朝は鎌倉幕府を作る時平清盛の政を参考に作ったとか。
平清盛の万能感、超カリスマが死ぬと同時に残された一族たちの路頭に迷う感じも人間的で面白い。
仕方ないことだが、清盛にはじまり知盛や常盛、教経、教盛など似たような名前がたくさん出てきて
混乱する時がある。
家系図とかがページ見出しに載ってるともっとわかりやすいのかな、、、
琵琶を語りながら西仏に平家物語を伝えているのは果たして誰なのか。
下巻も気になる。 -
Posted by ブクログ
素晴らしい小説でした.......心をぐっと噛み締めながら読む小説でしたね。
平家物語が琵琶法師によって唄い継がれているものなら、最初に編纂した人が確実にいて、全ての戦いを見てきた誰か、なのだとしたら、それは女の人しか居ないのですよね。だって男は戦で死んでしまうんだもの。
茜唄は、知盛の家族、知章も知忠ももちろん希子も、みんなで繋いだ唄だったんだね。知盛の妹の友達のふくよかなお方もね。笑
もう、知盛のことが好きすぎて、清盛の名前をなかなか思い出せなくなってしまいました。
日に日に世界が悪くなっていく今の時代、戦うということの意味が武士の時代とは異なっていて、何が正解なのか私には分からない、でももう誰も死んでほしくないんだよ。(でもごめんけど性犯罪者は死んでほしい)私はそんなに賢い人間ではないけれど、それでもできることを見つけて、明日への方向に舵を取っていかなければならない。そう思う春の夜でした。