今村翔吾のレビュー一覧
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大坂の陣を舞台に、徳川・豊臣・真田、それぞれの思惑が複雑に交わっていく。
“幸村を討て”という言葉の裏で、誰が何を守ろうとしていたのか――
物語を追ううちに、その答えが少しずつ見えてくる。
幸村その人はほとんど登場しないのに、読み終えるころには確かな存在として胸に残る。
多くの人物の視点を通して浮かび上がる“語られぬ幸村”が、本当に印象的だった。
そして今村翔吾さんの人物描写はやはり圧巻。
家康も政宗も、皆が迷いながら、それでも信じた道を歩いている。
登場人物の言葉や行動の裏にある真意を読み解くようにページをめくる時間が、とても刺激的だった。
戦の裏で交わされる言葉や策略の駆け引きが見事 -
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ぼろ鳶組第4弾。
今回も面白い。
最初の投稿では書きたいことが溢れて、それを無理やりまとめようと訳わからなくなってたので、書き直し。すみません。
さて舞台は江戸を離れ、京の都。
先の功労により京都西町奉行に栄転した長谷川様も、この古都で起こる事件に悪戦苦闘。水を用いて人を殺める怪事件「青坊主」をなんとか解決したと思いきや、今度は火を用いたまたも面妖な事件が続く。この京で大火となりかねない事態に、長谷川様が助けを求めたのが、江戸の火消新庄藩「ぼろ鳶組」。源吾と星十郎と武蔵の精鋭3名が京都に向かうことになった。
3人が京に入ってからも、妖怪「火車」の仕業とされる死体が発火するという怪現象の解明は -
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シリーズ5巻目。
京から江戸に戻った源吾たちは次の事件に巻き込まれる。。。
火消番付を作る文五郎が突然姿を消してしまった。なぜ突然姿を消してしまったのか?探っていく。
シリーズの中では今現在面白いと感じた展開。
今回のテーマは『火消』としての矜持だったりするのかなと。
火消番付は大相撲の番付のようなもので、やはり功績があればあるほど、大関・横綱レベルまで行くわけで。でもそういうレベルまで行ってる人は、努力家でもあれば人の命を助けることに役目を果たすことを第一に考えるんだと思う。
今回登場した仁正寺藩・柊与市、八重洲河岸定火消・進藤内記のような、どこか番付を意識した挙げ句に悪巧みをするのは -
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すごい本に出会った。
戦国の世の終焉を告げる大坂の陣。
この戦いで名を馳せた、真田幸村とは一体何者なのか?なぜ名前を変えたのか?なぜ家康を討ち取らなかったのか?
幸村自身の視点ではなく、彼を取り巻く7人の語りをもとに真田幸村の大坂での挙動の不審さ、章の間に展開される真田家の秘密や約束は更に謎を深めてゆく。登場人物らと同じように「なぜ?」という疑念を深めていく。
しかし、謎と謎が線を結び、「幸村」の夢が明らかになったとき、その圧巻の展開に、それまでのわだかまりが解けると共に、息を呑む。そしてその背後にはもっと奥深く大きく、脈々と血の通った真田の絆があった。
この作品はミステリーとしてもた -
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ぼろ鳶シリーズの4作目。
前作から少々空いた形ですが、ようやく手にしました。
江戸から京へ。
平蔵からの依頼、突然遺体から火が放たれる怪事件。それを解決すべく、源吾・武蔵・星十郎たちが事件を解決すべく翻弄する物語。
突然火を吹くなんてどうやって?と模索しながらも読み進めていき、星十郎の智嚢に頭が下がる思い…。
物語は『命』や『愛』に関わることが深かったと思う。平蔵と銕三郎、そして水穂と嘉兵衛。大切な人を守るために行動を起こしたことには間違いはなく、ただ善か悪か、その時に受けた状況次第では心理的な部分も変わっていくのだろうと、彼らの心の動きを感じていた。
もちろん源吾と深雪も同様で。深雪は源