今村翔吾のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「世を、人の心を変えるのだ」「人をあきらめない。それが我々の戦いだ」そんな言葉から始まる紹介文。
今村翔吾さん、なんでこんなに面白いんだ…。時代小説を避けてきた自分を恨むくらい最高でした。
鬼、土蜘蛛などと呼ばれる「童」VS朝廷軍。
構図はこうも簡単なのに、終わらない戦い。差別なき世を、争いなき世を、誰もが渇望しているはずなのに身分が、肌の色が、生まれが…。あらゆる理由をつけて差別し、争いが起きる。
読んでいて、ひたすらに苦しいのに読み進める手は止まりませんでした。
読んでいる側からすると童の視点で、童の味方をしてしまいたくなりますが、渡辺綱は憎めないし、坂田金時の立ち位置は難しいし、犬神や夜雀も責められない。この微妙な立場で変な感情を持ちながら、圧倒的戦力差で終わりへと向かっていくのがキツかった…。
そしてどちらのサイドも出生、育ちが描かれ、完全に憎みきれないことや同情しきれないことがまたもどかしく、どっちつかずの立場で読み進められました。童の仲間も、京人も捨て難い。
(個人的には若干童よりですが笑)
貴族と庶民。童と京人。そのくくりで人は語れないが、それは今だから言えること。過去の出来事や物語の背景を見る時同じことを言えるかは自分自身も微妙だなと思いました。
まあ何が言いたいかと言うと、今村翔吾さん最高ということです!
-
Posted by ブクログ
「塞王の楯」「イクサガミ」など今村さんの歴史小説はとても読みやすく面白いのですが、私はこの作品が凄く好きです。平家物語。知盛の人柄や生き様がめちゃくちゃかっこよいし、知盛を兄者としたう教経もよい。そして、敵でもあり、ライバルでもあった義経。最後は・・なのですがとても関係性がよい。
対極になるけど、頼朝は印象よくないですね・・。特に慕っていた義経に対する仕打ちは許しがたいですね。
最後に知盛のこの言葉を
「仮に平家が滅亡しようとも・・・我らが抗い続けた美しさを、愚かしさを生きた証を残しましょう。後の者がそれに学び、いつの日か人が争いを捨てることを信じて」 -
Posted by ブクログ
人は何のために生まれてくるのか?
本作の中で度々繰り返されるこの問いが、物語の根底にある最大のテーマだと感じた。
舞台は、理不尽な行いがまかり通る戦国の世。神仏の存在に疑問を抱きながらも、ただ民の安寧を夢見て、かけがえのない仲間たちと激動の時代を駆け抜けた梟雄・松永久秀。織田信長が小姓に語る彼の半生は、一般的に知られる「稀代の悪人」というイメージを180度覆すもので、悪名をも厭わず自らの使命に向かって突き進む姿に、思わず息を呑む。
久秀と仲間たちの絆には何度も心が揺さぶられた。利害を超え、互いを思いやり、生きた証を守るために身体をなげうって抗い続ける姿に目頭が熱くなる。
人は何のために生まれてくるのか…この生き様こそが、その答えだろか。
緻密な人間描写と痛快なストーリー展開で安定の面白さだった。著者の歴史小説は、やっぱり凄い。本作もすっかり圧倒された。 -
Posted by ブクログ
ようやく第2巻を読むことが出来た。
危うく話を忘れるところだった。
でも、ひとたび読み始めれば、あっという間に話の世界に戻って来れた。
そして、物語が急速に動き出した。
1冊目よりも息を呑む鬼気迫る戦いに手に汗握り、躍動感のある展開に心が躍り、時折り挟まれる人情に少しほっとして、そしてまた激しい戦いへと移っていく。
この展開以上のことがこの先にあると思うと楽しみでしょうがない。
今巻の終わりは、ドラマとほぼ同じところで終わっていたが、そこまでの展開は大きく異なっていた。
どちらが良いも悪いもないけど、結構違うことに小説後発の自分としてはびっくりした。
結構力を入れて、お金もかけて作っていたから原作どおりなのかなと。
こちらの続編も気になるところだ。
-
Posted by ブクログ
石田三成を始めとする5人の奉行が、秀吉の依頼する「とんでも」案件に如何に取り組んでいくか。各案件ごとに、それぞれの奉行が物語の中心になって進んでいく短編集です。今で言うと、「ホールディングス会長:秀吉」に振り回される「子会社社長たち」のビジネス事例集ですかね。
そして、最後に感動で泣きそうになるとは思いもよりませんでした。
真面目に仕事に取り組む大事さを教えてくれますね。
スマートな三成の最後の案件も勿論良いですが、不器用だけど桁違いの数字能力を持つ正家の話が一番のお気に入りです。自分も情シスの仕事をしているので近いものを感じてしまい、感情移入して正家を応援しながら読んでいました。 -
Posted by ブクログ
冒頭にもある通り、本著における「作家」とは商業出版の小説家のことですが、小説家以外の職業においても当てはまる部分がとても多かったです。理由は著者の今村さんが、読者がよろこぶものを書こうという意識をなにより重視しているから。そしてそれはどんなモノづくりにも共通することだから。
わたしも小説家を目指したことはありませんが、広義の「作家」ではある(+本が好き)のだろうなと感じており、得られるものはたくさんありました。
「ちょっとスランプで・・・」と言った言い方は、作家であることをカッコつけているだけだと喝破していたり、量からしか質は作られないのでどんなことがあっても毎日書けと言ったり、大変に勉強になりました。 -
Posted by ブクログ
章ごとに様々な人物の視点で描かれる大阪の陣という構成が、まずかなり効いていた。ひとつの出来事を別の立場から見直すたびに印象が変わり、「幸村」という名の重さ、そして魅力がじわじわ立ち上がってくる。序盤は謎や不気味さといった印象の強さで引っ張り、中盤は徐々に明かされる真相で緊張を保ち、終盤は鮮やかに仕掛けられたトリックで押し切る流れがきれいで、めちゃくちゃ面白かった。
特に良かったのは、単なる合戦ものとしての勢いだけでなく、真田家の関係性を軸に「名を継ぐこと」「役目を背負うこと」を丁寧に描いている点。家同士の論理と個人の願いがぶつかるところに、人間くささと切実さが出ていて、読み終わったあとに余韻が残る。創作の大胆さはあるのに、歴史上の人物像とかみ合わせる語り口がうまく、物語としてとても楽しめるバランスが良い。後半になるほど面白さが加速するタイプの一冊で、読後の満足感はかなり高かった。
あと勝永の章まじで泣けた。 -
Posted by ブクログ
緋鼬(あかいたち)に立ち向かう火消たちの戦い
緋鼬は火災旋風のことを指す。
火災旋風をざっくりいうならば、大規模な災害時に局地的な火災を起こすつむじ風。
燃えるものから遠ざかると弱くなり消えるため、通常の火災とは違い消すことすらままならない。
今回の主役は、風読みに秀でてる星十郎。彼がいないと緋鼬は消えるわけがない。
初めて目にした緋鼬を見て消せる手段があるのか…と諦観するぐらいの勢いは
いくら星十郎が風が読めたとしても、川に囲まれ密集する大坂の地で
できあがった緋鼬を消し止める方法を模索するのが難しい。
星十郎と山路連貝軒と組み(双風神というタイトルに繋がる?)、ぼろ鳶たちが大坂の火消たちとどう立ち向かうかが焦点になる。
大坂の火消たち、そもそも火消のルールが江戸と違い面倒な部分が多い。
各組との軋轢もあり、緋鼬食い止めるには全組の力が必要なのに…。
そこは京の弾馬と源吾が大坂の火消を一丸となって動かす場面は、街を守る火消人たちの、人情と命の重さを理解した彼らの矜持なのだろうと思うと頭が下がる思いでした。
シリーズの展開がどんどんあらゆる難解を超えなければならないのか。
それでも立ち向かう彼らの軌跡を追い続けたいと思います。