あらすじ
楠木正行は、南朝に与する楠木党の強さを誇示し、北朝の厭戦(えんせん)気分が高まったところで和議を進める策をとる。正行の指揮のもと、北朝に降ることを前提とした戦に勝ち続けるが、事態は思わぬ方向に傾きはじめ……。朝日新聞連載の歴史巨編、堂々完結。
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面白く興味深い余韻を残してくれた。
よくある楠木正成ではなく子の正行が主人公である時点で興味深かったが、新しい発見が多くあり充実したひとときだった。
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南北朝時代は、学校でもさらっとしか学ばないためまだ魅力に気づいていませんでしたが、この本を読んで、「あれ、南北朝意外とおもろいぞ」となりました!
北朝と和議を結ぶために戦って、最後の五段の
花陣は手が震えました。私自身、楠木正成しか知らなくて、最初は誰?と感じましたが読むと情景や人物の心情など細かく書かれており、面白かったです。今村翔吾さんの書く作品は主人公があまり有名ではない人物をセレクトすることがありますが、毎回楽しく読んでいます。【中1】
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急転直下、ジェットコースターのようなという例えがよく使われるがまさに濁流に飲み噛まれるかのように物語に翻弄された。現実に存在する無駄なものを極力排除したことで人物が浮かび上がってくる。楽しい時間だった。
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たまらん。泣ける泣ける。偉大な父を持つがゆえに、その遺志を継ぐことを当然視された若者二人、楠木正行と後村上天皇。両者の魂の交流。二人が「生きたい」と心情を吐露するシーンで号泣。南朝の将として戦った正行が上巻で北朝に降ろうという考えを持っていることに「?」と思っていたが、下巻で「そういうことか!」と分かってまた号泣。結局歴史を動かした傑物とか歴史と抗った英雄を描くのではなく、歴史の中で己に押し付けられた重圧に耐えて、己の望む生き方を選んだ若者の姿を描いているんやな。上巻の自分の読みの浅はかさを反省。そしてまた本来正行にとっては憎い仇の子である坊門親忠の人物設定、泣ける。この人物もまた父親のなしたことを真摯に受けとめ自分の生き方を模索した人物。その分北畠親房の脂っこさが憎らしく感じるのだが、この人は逆に息子顕家に縛られて生きている、ある意味寂しくて哀しい人物なんやな。高師直の描き方も味があってよかった。やはり今村祥吾凄い!
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イクサガミが話題になっていたけど、こっちが真骨頂でしょ。
エンタメ要素をふんだんに盛り込んだ歴史小説。
最高潮の盛り上がりと独特の涼やかさを兼ね備えたラストシーン。
文句なしの傑作。
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こういう結末になるとはわかっていても、何処かチーム楠木に期待してしまいました。まさかの天皇との友情?など、惹き込まれる要素が随所にあり、一気に読み終えてしまいました。
素晴らしい作品です。
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尽忠報国の鏡と言われている楠木正成の嫡男、楠木正行の物語。南北朝時代、偉大な父の遺志を継いで南朝の後村上帝のために戦うと誰もが思う中、「己の思うままに生きれば良い」と正成の残した言葉に支えられて正行は北朝との和議を模索する。親が子を想う愛情にも心打たれましたが、正行が「民衆の平和な生活を守るために最善であるように」と考えて、北朝との和議へと動く心に感動しました。正成の兵法をさらに深めて少数精鋭でも強い戦法を生み出していくのも興味深く、最後まで夢中で読みました。素晴らしい本です。
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偉大な父を持つ故の苦しさを抱えながら、その父に問いかけながら自分の道を見つけ進んで行く多聞丸。彼を慕う多くの仲間との絆、同じく偉大な父を持つ後村上帝との出会いにより変わる運命。戦の場面では父をも凌ぐ一糸乱れぬ戦いぶり。最後まで清々しい気持ちで読み終えました。
最後の戦いの地、四條畷では今でも英雄だそうです。
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「俺もまた・・・英雄にされてしまうのかもしれぬな」
己の気持ちなとあつゆ知らず、勝手に辞世の句でも作られてしまうもしれない。
昨秋、如意輪寺に行った際に門扉に残された辞世の句を見損なったけど、きっと勝手に作られたものなんだろうな。
それにつけても、あっさりと切なすぎる最後に呆然。
2025-030
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上下巻の長編ですが、すらすら読めてページをめくる手が止まらない。
主人公らの人間臭い苦悩・感情描写が巧みで、ついつい感情移入してしまいます。
楠木正成ではなく、その息子というのが実にいい題材。
作り上げられた正成像、を後世の歴史から振り上げられるのではなく、
同時代を生きた人物たちによってかみ砕いているのが面白い。
あの有名な「桜井の別れ」さえもバッサリ。
楠木正行については、その最期をよく知らないままに読んだので、
クライマックスは手に汗握りました。
ぜひ大河ドラマにしてほしい。
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南北朝時代もこれで終焉を迎えることとなる!楠木多聞丸こと正行の活躍の物語りそしてその生涯の幕は降りることになる。同時に南北朝時代も!実に物悲しい物語りだ。末永く心に残る物語りだ!
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下巻に入り、物語は一気に加速。夢中でページをめくっていました。
終盤、正成の志を継ぎ希望を捨てずに戦う正行と、彼を支え散っていく家臣たちの姿には深く胸を打たれました。
上下巻共にボリュームはありますが、歴史小説好きにはたまらない1冊になるのではないでしょうか。
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垣根涼介さんの「極楽征夷大将軍」に描かれた足利家視点の物語と、真逆の南朝派視点の物語。読むごとに引き込まれて、それぞれの主人公を応援してしまうため、真逆の設定には困った。垣根さんも今村さんも似た史実感を持っているのか、何の違和感もなく入り込むことができた。
にしてもやはり、楠木正行が痺れる。一族や民を守るため、戦を終わらせるため、また父の教えの通り、自分がどの道を選びたいかを見極め、選べる胆力、そんな人物像が現れる(史実にはおそらく書かれていない)エピソードの数々。好きにならずにはいられない。今住む大阪にほど近い土地で繰り広げられた物語は、土地勘があるため、想像しながら楽しめた。
いつも入れ込んでしまうため、心して読み始めたが、いつも通り余韻が長く楽しめる本でした。また一人、歴史上の人物が、自分の知る人となりました。
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ぬぉーーん!。゚(゚´Д`゚)゚。
傑作やないか!
またもや大傑作やないか!
大の尻の作やないか!(けつが違う字!)
時代に翻弄されつつも、己が信念を貫いた楠木正行の物語は、涙、涙のうちに幕を閉じたのです
いやー、そもそもよ楠木正行ってばとんでもないヒーローなのよ
南北朝時代ってのは鎌倉幕府を滅ぼした足利尊氏と後醍醐天皇がごちゃごちゃっとなって北と南にそれぞれに朝廷が出来上がった時代なんだけど、その後の歴史が示すようにそもそも北朝(足利陣営)が優勢なのよ
楠木正行のいる南朝はだめだめ
その大劣勢な南朝の中で一矢も二矢も三矢も報いた楠木正行です
日本人は判官贔屓だからね基本、そりゃあもう楠木正行なんか大好きで様々な逸話や伝説が残ってるわけです
それらをうま〜く取り込みながら、新たな楠木正行像を描きつつ、さらに結末が分かってる中でこの大感動の物語を仕立てる
やだもう天才なの?そうなの?
これからも今村翔吾さんを追い続けます!
と、宣言するのはいいんだけど、今村翔吾さんにも欠点はある!
それはね、わいよりだいぶ歳下ってことなんよ!
普通に行ったらわいのが先死んじゃうな〜
なんか悲しくなってきた。゚(゚´Д`゚)゚。
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英傑と謳われる楠木正成の、嫡男・楠木多聞丸正行。
時は南北朝時代。彼の波乱の生き様を綴る、長編歴史小説。
第八章 妖退治 第九章 吉野騒乱 第十章 牢の血
第十一章 蕾 第十二章 東条の風 終章 人よ、花よ
南朝御所での騒動。
“妖退治”で御所内に入った正行が知るのは、南朝の事情。
そして出会った、坊門親忠と北畠親房、後村上帝。
弁内侍を含めて、彼らとの語らいで知る、それぞれの事情。
南朝への想い。それは前時代とは違う、親族でも違う。
民を安じるための北朝との和議を求める者がいるのだ。
一方で北朝側では、足利直義と高師直のしのぎ合いが。
北朝を討ちます。それは戦を止めて和議を結ぶための戦。
それは世に不可思議事也と轟かせた、戦。
だが、人の一生とは判らぬもの。儘ならぬもの。親房!
それでも、民を守るため、皆を生かすための戦に悔いは無い。
そしてついに高師直の軍との決戦に。
鈍器本並の長編な上下巻、一気読みでした。
上巻での、正行周辺の個性豊かな人物たちが、
戦では武将としてもキャラが立った姿。
それぞれの個性で、それぞれの役割を全うする姿。
殺し合う凄惨な場面なのに、潔く散る桜の花の如く。
時が来れば咲き誇り、時が来れば散りにゆく、
この場限りの生の疾走感の凛々しいこと!
ラストは、大河ドラマ「真田丸」のクライマックスが
脳内を過りました。
物流と兵糧、兵法など、先々の事を見据えての正行の道程。
大量に製造した槍を使う場面はありませんでしたが、
のちに弟の楠木正儀が神南の戦いで槍を使用したという話が
あるから、これも先々を見据えての布石なのかな?
Posted by ブクログ
ゆっくりと読むはずが一気読みしてしまいました。
面白い!
上下巻900頁、一切中弛みすることなく引き込まれ続ける物語でした。
今村翔吾さんの作品はほぼ読んでいますが最高傑作といっていい面白さでした。
Posted by ブクログ
今村将吾さんの本が大好きです。
その中でも、南北朝時代を題材に出してくれたことが嬉しかったです。護良親王や楠木家、北畠顕家など歴史の教科書には残らない人物に光を当ててくれたことありがとうです!
正行が父の正成に託されたように、弟に楠木家を託していくこと。楠木党の信念、成し遂げたかったこと、後村上帝の想い、胸が締め付けられるような想いでしした。
戦いのない世を作るために、自らがやらねばならぬと戦いをする道を選ぶ。誰よりも平穏の世で生きることを求めたのに、その世を作るために命を散らしてゆく。
素敵な作品に出会えました。ありがとうございます!
Posted by ブクログ
もっと歴史を勉強しておけばよかったと、今村作品を読むたびに思う。いつもながら、まっすぐで熱い想いが伝わってきた。日本史がそんなに得意ではない私でもその後どうなるのかくらいは予想がく。それでも違う結末が待っているような気がして、そう願いながら読み進めた。上下巻、あっという間の読書時間だった気がする。
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楠木正成の息子楠木正行の物語も、いよいよ下巻。
正成の息子という冠をつけるのもどうかと思うほどの正行の成長に、行く末を見守りながら、下巻を読み進めた。
思えば、天皇が二人存在し、天皇同士の思惑以上に、それを利用する者、振り回される者、祭り上げられる者、大きなうねりの中で、まだ20代前半の若者が、似たような状況下にあった親の思いを理解しつつ、なんとか信念を達成しようとする行動力に胸を打たれた。正直、南北朝時代はあまり分かっていない中で読んだこともあり、当時の状況を知るだけでも十分堪能できる作品とも言えた。
なお、これは物語外ではあるが、このあとの「直義」vs「高師直・師泰」、「直義」vs「尊氏」も、面白そう。いつか描いて欲しい・・。 ★4.0
Posted by ブクログ
あまり詳しくない南北朝時代の魅力が、よく描かれている。まだまだ深堀りの余地がありそうだ。
最後の章が少し唐突に感じられたものの、怒涛の展開はさすがだった。
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地元、千早赤阪村の名将、楠木正成の話かと思いきや、主人公は嫡男正行。正成没後も続く北朝と南朝の覇権争い。
南朝忠臣であった楠木党を率いる正行とそれを支える悪党の動向が面白い。
上巻は湊川の戦で敗れるまでの楠木正成の獅子奮迅の戦いを説明。
下巻はそれらを踏まえ、正行の取る行動・戦略を中心とした活躍。面白かった。
Posted by ブクログ
このタイミングでか!?
という最悪のタイミングで最悪手を打ってくるのは味方陣営である。
敵さんはホクホク顔である。
親子二代にわたって同じく玉砕を命じられながらも、散り際まで足掻く生き様を見せる。
鎌倉時代末期に活躍した楠木正成を父に持つ、多聞丸こと楠木正行は、父が人々から英傑とされることに対して激しい怒りを感じていた。
父は帝のためではなく、家族のため民のために生きることを最期まであきらめなかったのだ。
そして時は過ぎ、次は自らが決断を下す瞬間が来た。
家名や人々の期待を裏切ってでも、世の平和のために北朝に下ることを決断した。
そのために、千に一つの可能性を探り、少しでも有利に和議を結べるような戦略を練っていた。
しかし、その戦略を無に帰す綸旨が南朝から発せられる。
すべての南朝方の武士は朝敵を討て。
和議の成立の目論見も無駄となった。
残された道は、自らが犠牲となって南朝の帝と民を逃がす時間稼ぎしかできない。
悪党の名を背負い、楠木党が最後の戦へと京を目指して北上する。
Posted by ブクログ
下巻も上巻の面白さを維持したまま、一気にクライマックスまで持っていきます。
後半は読むのが止まりません。
ラストシーンは戦の悲惨さを感じつつ、楠木正行という一人の人間の爽快感を感じました。
「それでいいのか」
と言い放ったシーンが一番格好いい!!
Posted by ブクログ
太平記で有名な楠木正成の息子、正行(多聞丸)の鮮烈な生涯を、ハードカバー上下巻の大ボリュームで描いた作品。上巻序盤こそ「これ、読み切れるか?」というほど内容が入って来なかったが、ヒロインが出て来る辺りから一気に面白くなってきて、後はあっという間だった。
大楠公、小楠公を大河ドラマにーという動きもあることから、改めてブームが来るかも…。
Posted by ブクログ
もっと、と、期待してまして。
あとは。
ラストを取っておこうかと思ってましたし。
でも。ラストはわかっているし。
あたためてしまった分…期待が大きくなってしまって…。
峰條山観音殿ふもとの桜。
波陣、杜陣、蕾陣。
濤陣、叢陣、花陣。
〜蕾陣は、峰矢陣から生まれたものだ〜
〜確かにある光〜
〜約束の春〜
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一気読みしてしまうわ。今村さんの描く正行はムチャクチャ魅力的。そして、私の頭の中では近藤正臣さんの北畠親房、くせ者やったねえ。とても面白かった。しかし、南北朝はこれで終わる訳でなく、まだ40年以上続くのが面白い
Posted by ブクログ
久しぶりに歴史小説を読みましたが、抵抗なく読める文章力と構成はさすがの腕前だなと感嘆しました。話の本筋ではないかもしれませんが、死者の無念に生きてる者が意味を持たせすぎるとそれはもはや幻想のようなもので、それが多くの人間を動かしてしまう怖さを感じました。