あらすじ
楠木正行は、南朝に与する楠木党の強さを誇示し、北朝の厭戦(えんせん)気分が高まったところで和議を進める策をとる。正行の指揮のもと、北朝に降ることを前提とした戦に勝ち続けるが、事態は思わぬ方向に傾きはじめ……。朝日新聞連載の歴史巨編、堂々完結。
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Posted by ブクログ
日本史は中学の歴史までしかきちんと勉強したことがなく、後は興味ある時代の小説を少々読む程度。NHK大河すら全く観てない。なので知識は少なく、あっても間違ってたり誤解してたり…。
楠正成・正行親子のこともそう、父正成は有能な武将だったが、子正行はそこまでではなかったイメージだった。野球で言う長嶋親子、野村親子がダブっていたかもしれない。
とんでもない誤解だった。この本を読んでから史実を少々調べてみても、小説ならではの虚飾部分を除いても、正成に劣らぬ奮闘ぶりを示したのが正行なのである。
その正行を題材に今村翔吾が小説を描いたとなれば、そりゃもう間違いなく面白い。その期待を裏切らない傑作である。歴史小説は結末が分かってしまう(史実を曲げるIF系はもう歴史小説ではないと思う)ので、そこだけが残念だが、多聞丸(楠木正成)と楠一門の活躍を上下巻900ページ以上に及んで描き、退屈させないどころか、ページ繰る手を止めさせず、残りページ数を惜しませ続ける。
アクションや戦場シーンの迫力、吉野での政治対話の読み応え、日常生活の穏やかな描写、どこもここも読み所である上に、その配置がまた巧みで、緩急のリズムが素晴らしい。その上に、敵役、悪役に至るまで人物が全員魅力的なのも良い。高一族や北畠親房までが、どこか憎めない人物として描いているのは特筆すべき特徴と思う。
今村翔吾作品は今のところ、どれも傑作なんだが、この本は一つ抜けてるかも知れない。飯森山も金剛山も吉野だって家から日帰りで行けるところ、なんなら大原(桜井の駅)は実家から徒歩2分。こんなに身近にいる史上の大英雄。非常に遅まきながら、楠正行・多聞丸のファンになった次第である
Posted by ブクログ
今村将吾さんの本が大好きです。
その中でも、南北朝時代を題材に出してくれたことが嬉しかったです。護良親王や楠木家、北畠顕家など歴史の教科書には残らない人物に光を当ててくれたことありがとうです!
正行が父の正成に託されたように、弟に楠木家を託していくこと。楠木党の信念、成し遂げたかったこと、後村上帝の想い、胸が締め付けられるような想いでしした。
戦いのない世を作るために、自らがやらねばならぬと戦いをする道を選ぶ。誰よりも平穏の世で生きることを求めたのに、その世を作るために命を散らしてゆく。
素敵な作品に出会えました。ありがとうございます!