今村翔吾のレビュー一覧
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恥ずかしながら歴史に浅く松永久秀の事を良き知りませんでした。著者は『童の神』『幸村を討て』等の歴史の一説を描く事が多いですが、この作品も同様です。それがまた面白い。この本の内容が正しいのではと思ってしまいます。
信長に届けられた弾正の手紙をきっかけに、信長が小姓(又九郎)に弾正の生立ちから語り出します。信長が認めた男のストーリー聞いて圧倒される又九郎。この又九郎は、よくいる安定と安寧を望む普通の男です。しかし、彼が物語終盤に信長と弾正と絡み始め一気に加速していきます。信長と弾正という本物の男達の熱と覚悟に当てられ「一度でいい、男と認められたい」と事態の打開を図るべく奔走する又九郎。この気持ち -
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ネタバレ本の表紙の絵が気に入らないとか、もうそんなことはいい。
平氏も源氏も名前が同じような人物ばっかりっていう愚痴ももう言わない。冒頭から始まる僧侶との琵琶の語り手が誰なんだろうってずっと思っていたらついに来た!
そこからの感情の流れが一気に押し寄せてきてもう耐えられないっと思った。
”祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の~”
語り手が誰なのかいまだ謎なこの平家物語、誰もが空で詠むことができるほどに学生時代覚えさせられたこの冒頭文。
勝者によって歴史が歪んで伝えられないよう、今を生きた人を、勝ちも負けもなく歴史に立ち会った人たちをのちの千年後にも残そうとしたこの冒頭を、大戦の中を潜り -
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「羽州ぼろ鳶組」シリーズ第3弾です。今回もワクワクが止まらず、充実した読書でした。文句なしの安定した面白さです。火喰鳥・松永源吾の侠気と熱い想い、火消集団の信頼関係と躍動、火事場の臨場感、絡む事件、そして源吾の妻・深雪の存在の大きさ‥‥。言うことありません。
今回の新庄藩火消に降りかかる苦難は、まさに内憂外患の様相を呈していました。大きなキーポイントが次の3つでしょう。 火付をした隙に、家の者を皆殺しにして盗みを働く手口の凶悪な盗賊団・千羽一家が江戸に現れる。
ところが、最強の町火消・九紋龍の辰一が率いる「に組」が火事場に乱入、野次馬を皆捕らえる暴挙に出て、ぼろ鳶組も散々な目に遭わさ -
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平家が滅んだものと知りながら読む平家主役の物語は、知盛を知れば知るほど、好きになればなるほど、辛くなってしまう。知盛の優れた戦略に対し、それを上回る切り返しで勝利を重ねる義経。彼らに心酔する教経と弁慶。どす黒い後白河法皇と、それを上回る頼朝。それぞれの性格や思惑が絡まってねじれて、勝ち負けだけでなく、それをどう受け入れるかまでを丁寧に描いている。
知盛が京都に義経を訪ねていくシーンがとても好きだ。昔助けた貴族のご婦人を通じて、天敵とも言える後白河法皇と直接交渉し、義経に邂逅する。それぞれの人物が頭脳を巧みに働かせて小気味いい。戦にかけて天才的な義経が、自らの命を狙う頼朝の意図には全く気づかな