今村翔吾のレビュー一覧
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ネタバレ今村翔吾版平家物語である。おごれる軟弱武家集団の平家が没落していく様(絶頂期から物語が始まるってのも趣味が悪いが)を描いていく。
歴史上の動きがあり、本歌の「平家物語」があるのだから、メタバースでもない限り筋は分かっていて、諸行無常のラストなのだが…。
いやそれにしても、制限と枠がある中でここまで捉え方を変えることができるのかと。一族を大事にする平家と親兄弟とても捨て石にするのが平気な源氏(いや頼朝)、陰湿公家の後白河上皇や、奥州藤原氏も絡む勢力争い。平家にも十分な人材がいて、平家がさらに栄華を極める可能性もあったということ。
鵯越えや那須与一や義経の八双飛びに関する新解釈は見事。フィク -
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文句なく面白い。ようやく理解を得た家老が倒れ、代役の若殿は、我儘でケチ。一方江戸では、放火のどさくさで残虐な盗みを働く盗賊団が暗躍。なぜか、江戸一の火消しと言われた「九紋龍の辰一」が、他の火消しを捕えるという謎の行動に出て、ぼろ鳶を邪魔する。肝心の奉行は丸切り役に立たないという四面楚歌。こんな中でも、わずかなヒントを頼りに少しずつ難題を解き、最終的には解決を見る。今回は辰一の存在がピカイチ。ストーリーのスパイスになっているのはもちろん、主人公の反面教師としての役割を果たし、最終的にはジンテーゼに至る快感。勘定小町の冴えも、物語を豊かにしている。ややできすぎの感がなくもないが、一旦忘れて純粋に楽
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大江山の鬼退治という童話のような伝説ともなっている話を、リアルでありながらファンタジックに、生き生きと描いた小説。
平安時代。
中央集権が進み、宮中文化が栄えた平安時代は、平和でも安心できる世でもなかった‥?
安和の変が起きた962年に物語は始まります。
京の都にも、ほど近い地域にも、「童」と呼ばれる、朝廷にまつろわぬ者たちがいた。「童」というのは、子供という意味ではなく、鬼、土蜘蛛、夷、滝夜叉、山姥などをまとめて蔑んで呼ぶ言葉。
一方的に蔑む権力者に対抗して、乱が起きたのだが、あえなく鎮圧される。
安倍晴明は、皆既日食を凶事と断じ、ゆえに恩赦が出るように事を運ぶ。じつは童と通じていて、囚わ