今村翔吾のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
作者のコメントにある通り、第1シーズンは終わりとのことで、ラストに相応しいオールスターの総力戦で、ファンとしては大満足。
上巻で慎太郎、藍助という新米鳶に興味を持ったが、そこに慶司も加わり、過去の源吾や勘九郎を彷彿とさせるあたりは流石の一言。黄金世代や新米にスポットが当たっているが、第2シーズンではその間の世代、与市、銀治、燐丞にも活躍の場を与えてほしい。
今回の話でつくづく思ったのは、例えば警察は守りながらも敵を殲滅するために攻めに転じることができるが、火消は守りであり、決して攻めることはない辛い職業だということ。だからこそ、より感動が高まるのだと思う。 -
Posted by ブクログ
「羽州ぼろ鳶組」の9冊目。
今回の舞台は大坂。毎日仕事に通っている界隈も含めて物語が描かれるのは楽しいね。
滅多に起こることがない炎の旋風“緋鼬”が大坂の町を蹂躙する中、京都から淀藩火消・野条弾馬が呼び寄せられ、“緋鼬”を見た弾馬は風を読み切ったその仕業にこれを抑えるには有能な風読みが必要と考え、頼まれた源吾が星十郎らを伴って大坂へ向かうという出だし。
序盤は、暦を巡る星十郎と土御門の因縁や弾馬が“蟒蛇”と呼ばれるようになる経緯が語られ、ゆるりゆるりと話が進む。
源吾らが大坂に着き、実際に“緋鼬”の猛威に晒されては、その狂暴さになす術がなく、面々は大きな挫折を味わうことに…。
が、元幕府天文方・山路連貝軒に後押しされた星十郎が吹っ切れてからはいつも通りの一気呵成。
反目しあう大坂火消を一計案じて一堂に集め、それらに向かって鋭く叫んで見得を切る源吾。妻と息子の顔を思い浮かべながら身を捨てて“緋鼬”を止める覚悟に、今回も涙なしでは読めないぜ。
加えて、火消として“緋鼬”退治に一役買う山路連貝軒、京と大坂を往復し手に入れた「魃」で火を消して回る武蔵、駿馬を駆ってあっという間に武蔵を運ぶ弾馬の配下の花村祐、ひとつにまとまった大坂火消もそれぞれに個性豊かで見せ場たっぷり。
首尾よく“緋鼬”を抑えた後、下手人に襲われた山路を助けようと竹光で立ち向かう星十郎にもまた泣ける。酒の力を借りずに火に立ち向かった弾馬も紗代とうまくいったら良いな。
一橋の動きが不可解と思われたが、終わってしまえば一橋に土御門も加わった三つ巴だったことが知れ、次巻以降どんな話になるのだと思わされる。
そうした不穏さの中だからこそ、終章、束の間の穏やかな日の夫婦の会話に癒された。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ遂にくらまし屋シリーズも追いついてしまいました
ちょびっと悲しいw
それにしてもどんどん面白くなっていくなー
今回は赤也が自分の過去にケリをつける回
そしてぼろ鳶ちょい見せ(今回は秋仁)と表紙でちょいネタバレも健在w
虚の3人の達人で最後の1人、九鬼も登場
井蛙流の奥義もめちゃめちゃかっこいい技名と共に炸裂
しかしながら3人の達人や炙り屋との闘いに不安を感じた平九郎は遂に師匠の磯江虎市を探す決意をする
という赤也の想いや3人の絆にいや茂吉とお春を加えた5人の絆にほろりとさせつつ、今後の四つ巴の闘いに向けて風呂敷を広げまくった今作でした
んー次作へのつなぎ方がとんでもなく上手いのが今村翔吾さんなんだよなー
楽しみすぎ! -
ネタバレ 購入済み
リアルな戦国の世
多聞丸達は大名になるために頑張っていますが、その夢を叶えるのは大変です。
しかし、百姓の秀吉は大名になり、天下人になっているので叶えられない夢ではありません。
大名になると言う夢を言えるのはリアルな戦国の世だなと感じますし、裏切りもまたリアルと思いましたね。 -
Posted by ブクログ
ぐぬぬぬぬ
やってくれたなぁ!今村翔吾さんよぉ!
うちは三姉妹なもんでね
父と娘の話に弱いのよ
しかも嫁入りの話とあってはもうあかん
的確に弱点を突いてきました
なかなかの策士ですわ
そして今回もシリーズ通してのお楽しみ「ぼろ鳶シリーズ」のちら見せかあるんですが、それとは別に田沼意次ががっつり登場してきました
ついに両方のシリーズにまたがる登場人物の爆誕です
こちらの今後も楽しみ
様々な関わりを見せる今村翔吾さんの2大シリーズですが、あちらが陽とすれば「くらまし屋稼業シリーズ」は陰の物語と言えるのではないでしょうか
徐々に明かされる登場人物の暗い過去や悲しみ、くらまし屋に依頼する人たちもそれぞれに悲しみを抱えているように思えます
そしてそこから逃げるためにくらまし屋に頼るのです
「ぼろ鳶シリーズ」が人の強さを描いているとすれば「くらまし屋稼業シリーズ」は人の弱さに焦点をあてている
そんな風に思えます
ただし今村翔吾さんが見据えているゴールはどちらも同じなのではないか
そんな気がするのです -
Posted by ブクログ
とんでもなく上手いわー
ウィッキーさんによると本作が出されたとき今村翔吾さんまだデビュー2年目とかですよ
とんでもなく上手いわー(2回目)
もう最初から結末は分かっていて読み始めるわけですよね
くらまし屋の3人は必ず成功するわけですから
今後そこを裏切ってくるというパターンもあるかもですが
さすがにシリーズ3作目でそれはないでしょうからね
しかも今回は表紙で虚の若き天才剣士榊惣一郎との対決があることもバラしてしまっているし
まあおそらく引き分けになるであろうことも読めるわけです
その分かってる結末に向かって緊張感をだんだんに高めていく過程がもう
とんでもなく上手いわー(3回目)
くらましの方法をちょっとづつ明らかにしてくとことか
最初にくらまし屋に敵対する勢力を全て明かした上でそれぞれの思惑を待ち構える側である道中同心の篠崎瀬兵衛を通してちょっとづつ明らかにしてくとことか
そうして読者は瀬兵衛と一緒に緊張感を高めていくわけです
瀬兵衛と読者のドキドキがMAXになったところで…!
とんでもなく上手いわー(4回目) -
ネタバレ 購入済み
新しい視点からの戦国絵巻!!
2022年6月読了。
新しく見付かった一次史料等も織り込ませて、「もう書く事が無いだろう」と云うくらいに沢山の小説や映画で取り上げられてきた秀吉~家康の時代を、全く新しい発想・視点から描き出した、大変に優れた連作短編集である。
確かに「賤ケ岳七本槍」自体は有名だが、その一人一人に着目した小説は意外と少なかったかもしれない。
その七人の青春時代(出逢い)から人生や様々な想いに至るまでを緻密に描くことで、実はその七人と密接な関係に有った「八人目」の石田三成を、鮮烈なイメージで浮かび上がらせる、この着想が先ず素晴らしかった。
主題の七人も、それぞれ複雑な事情やコンプレックスを抱えて何とか生き延びてきたが、過去を振り返る時には必ず傍には佐吉(=三成)が居て、「今にして思えば…」と感慨を持つ者や、「あの時自分が賛同してあげたら…」と後悔する者も居て、最後には「佐吉が、この日本と云う国に本当に必要だと云うもの」とは…が浮かび上がってくる結末には、気宇壮大な理想が表され、感嘆せずには居られなかった。
勿論、現実に石田三成がそんな「日本の未来は〇〇〇〇が良い」とまで考えていたとは、全く思わないが(その時点の南蛮国にすら欠片も無い思想)、何かと評価を貶められがちな彼であっても、これだけの事を実行し、後世の事まで考えていたのかもしれないと云う歴史小説ならではの浪漫は、読者の心を掴んで離さないだろう。
歴史小説の世界を全く新しい視点で照らし、「まだまだ我が国も(歴史も)捨てたもんじゃない」と思わせてくれた作者には、最大級の賛辞を送りたい。
「幸村を討て」はかなりミステリーの要素が強かったので、本書は「これぞ新しい時代の歴史小説だ」と万人にお奨め出来る作品だと強く思った。