今村翔吾のレビュー一覧
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このタイミングでか!?
という最悪のタイミングで最悪手を打ってくるのは味方陣営である。
敵さんはホクホク顔である。
親子二代にわたって同じく玉砕を命じられながらも、散り際まで足掻く生き様を見せる。
鎌倉時代末期に活躍した楠木正成を父に持つ、多聞丸こと楠木正行は、父が人々から英傑とされることに対して激しい怒りを感じていた。
父は帝のためではなく、家族のため民のために生きることを最期まであきらめなかったのだ。
そして時は過ぎ、次は自らが決断を下す瞬間が来た。
家名や人々の期待を裏切ってでも、世の平和のために北朝に下ることを決断した。
そのために、千に一つの可能性を探り、少しで -
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上巻では「己」としてしか表現されなかった平家物語の語り部が明らかになる。最後の最後に明らかになるのかなと思っていたが2/3くらいで判明したのは意外だった。
屋島の戦いは惨敗、知盛の馬との別れの場が泣ける。
井上黒は波打ち際を駆け抜け、遂にはざぶんと海に分け入り、船を目指して突き進む。ふと気づいた時には、差し伸べられた無数の手に掴まれ、舟に引き上げられていた。
海中から首だけ出す井上黒が、黒曜石の如き瞳で見つめる。この小さな舟では、井上黒を乗せることはできない。それを井上黒も悟っているようで、送り届けたことを喜ぶように小さく嘶くと、浜へと引き返していった。
源平合戦のことは知識がなかったので -
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第41回吉川英治文学新人賞
第8回野村胡堂文学賞
史実に忠実ながらも、今村翔吾さんはドラマティックに創り上げるのが抜群にうまい。
賤が岳の戦いで活躍した7人が、それぞれの視点で語る石田三成とのストーリー。
若かりし日の共に過ごした思い出や仲間意識が、その後の展開をより切なくさせている。
きっと武士同士にも人間的な繋がりがあったのだろうなぁ。
実際は石田三成と七本槍のメンバーの折り合いは悪かったとされているし、小説での三成は知と情に富んだカリスマ的な存在として持ち上げられすぎている気はするけど、三成がどこまで本当に将来を見据えて豊臣家のために奮闘していたのかは気になる。
歴史小説のなかに経 -
ネタバレ 購入済み
くらまし屋人の為に再び無賃働き
二人の女方の歌舞伎役者が、煌びやかに華やかに「娘道成寺」を演じて評判を博していた時代だった。一人は浜村屋瀬川菊之丞、もう一人は天王寺屋中村富十郎である。今回、この歌舞伎にまつわる物語だ。
浜村屋は5年前に菊之丞が亡くなると、主役の後継ぎが年端もいかない若者に代わり、未だ芸も未熟であるため、脇役の優秀な役者が浜村屋を去るなどあり、益々浜村屋は落ち目となった。浜村屋の台所を預かる将之介がこれを立て直そうと、米の先物取引に手を出したが、失敗して大損した。家を売り払って損失を埋めたが、浅草の見窄らしい家宅で稼業をかろうじて続ける始末だった。
そんな時に、浜村屋と天王寺屋との湯島天神の宮地芝居合戦の噂 -
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豊家に仕える五奉行。
長盛、長政、正家、玄以、三成。
それぞれ秀吉との出会い。
守っている、心ざしの奥にある譲れない信念。
まつりの壱 北野大茶会
土木担当 増田右衛門尉長盛
〜あなたの才は泰平にこそ使って下さい〜
まつりの弍 刀狩り
司法担当 浅野弾正少弼長政
〜刀を攫いとうござる〜
まつりの参 太閤検地
財政担当 長束大蔵大輔正家
〜あなたの才はこれです〜
まつりの肆 大瓜畑遊び
宗教、朝廷担当 前田民部卿法印玄以
〜ちょうすく孫十郎〜
まつりの伍 醍醐の花見
行政担当 石田治部少輔三成
〜きっと一人では成せぬような難題を、共に乗り越えてゆく仲間となる〜
このあとに、やってく -
購入済み
歴史・時代小説は、歴史的事実(?)という枠の中での創作という難しさがあると思っています。それも松永久秀という有名な武将を取り上げることは、より枠組みが堅固と言ってよいと思います。
本作は、松永久秀の物語を縦軸に、久秀と織田信長の関係を横軸にしており、信長の一般に流布されている性格等と異なる一面をも書かれていて、良い作品と思います。