あらすじ
これは、戦の唄。
これは、涙の唄。
これは、希望の唄。
直木賞作家・今村翔吾が描く、夫婦の絆。新聞連載時より話題沸騰の歴史エンターテインメント!
歴史とは、勝者が紡ぐもの――。では、何故『平家物語』は「敗者」の名が冠されているのか?『平家物語』が如何にして生まれ、何を託されたか、平清盛最愛の子・知盛の生涯を通じて、その謎を感動的に描き切る。平家全盛から滅亡まで、その最前線で戦い続けた知将が望んだ未来とは。平清盛、木曽義仲、源頼朝、源義経……時代を創った綺羅星の如き者たち、善きも悪きもそのままに――そのすべて。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最後まで読んで本当に良かったです
こんなの泣いちゃうよ(´;ω;`)
終盤は涙、涙、涙………
平家が滅ぶことは誰でも知っているのに、それでも生きていて欲しいと願ってしまうような展開でした
壇ノ浦の戦いってこんな感じだったんですね
これを中学生の時に読みたかったです( ̄▽ ̄)
もし読めていたら日本史がもっと好きになっていただろうし、古典ももっと好きになれたと思います笑
「見るべき程のことは見つ」
この有名な言葉の意味をこれほどまで深く考察したのは初めての経験でした
ただ教科書を眺めるだけでは想像できない歴史の深さを感じました
人の生き様が胸を打ちます…本当に感動しました
私も彼らのように最期まで生まれてきた意味を問い続けたいです
Posted by ブクログ
歴史は勝者が自己の功績を残すために編纂する。しかし歴史の戦では敗者となり滅亡した平家の物語がここまで語り継がれている。必死に生き続けようとした姿がありありと浮かぶ、私も生きようと思える、平家物語が好きな理由の一つだ。そして物語終盤の西仏がどうなったのかを想像に任せて、それをこの800年が教えてくれるのも粋なことだと私は思う。
Posted by ブクログ
こんな切ない話ある……?
平家が滅びることは明らかなのに、なんでこんなに応援しちゃうの……
平家って悪だと思ってた(平家にあらずんば人にあらず、って言われるくらい調子乗ってたし)けど、めちゃくちゃ好きになってしまったじゃないか………!!
という本。
平知盛かっこよすぎる。季子さまもかっこよすぎる。最高夫婦。
最初から出てくる、西仏に平家物語を伝授する人。私はてっきり菊王丸だと思ってました。まさか季子さまとは……叙述トリックにやられました。本でしか味わえない驚愕。最初からもう一度見直したってゆー……
(今村さんって、本でしか出せないこういう表現を使いながら、まるで目の前に映像が見えるようだから本当すごい。義経と知盛の初の邂逅の時、時が止まったように視線が交わるのとか、映画のようにはっきりとみえました)
教経の最後もかっこよすぎる。誰かのために命を賭して行く姿泣かない人いるのか?
後白河上皇も人間らしくて良いじゃないか。
義経ってやっぱりこんな感じなのね。やべーな天才で素直すぎてやべーな。
そして、全てを見越しながら平家と共に生き、共に死んだ知盛がやっぱりかっこよすぎる。
知章には生きててほしかった……戦争ダメ、絶対。
でも、戦の途中の知盛の「覚えた」とか「みた」とか短い言葉がカッコ良すぎてドキドキしてしまう。なんだこの矛盾。
この本を読んだ後、史実などちょっと調べてまとめてみた。今村さんの創作の部分も大いにあるのかもしれないが、壇ノ浦の戦いで義経を逃すために平家が協力していたとしたら……
天下三分の計をずっと昔に思いついた諸葛孔明マジすげえと思いつつ本を閉じました。
Posted by ブクログ
最高の平家物語を楽しませてもらいました。
学生の頃の日本史程度の知識しかなく、多分に漏れず平家は贅沢三昧で悪、義経や頼朝が正義のような印象を持っていました。
本作を通して平家側から見る一の谷、屋島、壇ノ浦を駆け抜けた一門の生き様にページをめくる手が止まらない。
知盛についてもっと知りたくなったし、最後の頼朝と希子の対決がまた最高に格好良くてたまりませんでした。
Posted by ブクログ
圧巻、圧倒されました!!!
今村翔吾さんが紡ぐ物語はロマンがあって大好きです。
今まで平家物語は興味がなかったのですが、こんなにも美しく儚い物語だったとは、、、。自分の無知さに悔やまれます。
単行本版の装丁の仕掛けにも度肝を抜かれました( ; ; )
作品のタイトルも秀逸です。
Posted by ブクログ
学生時代に古典と日本史で齧ったくらいの知識量しかなかったが、とても切なく歴史に思いを馳せられた。
平知盛の想いが壮大で先進的に描かれており、感動した。
Posted by ブクログ
史実だから結末は知っているのに…涙なしでは読めなかった。知盛はもちろん、すべての登場人物に正直さや人としての情があり、物語の中に深く吸い込まれていくような感覚があった。この先もずっと手元に置いておきたい一冊になった。
Posted by ブクログ
平家物語なんて長くて読めないと思っていたけど、作者の力に助けられた
滅びゆく平家の首領の知盛
兄のように慕う教経
滅びゆく中での二人のやりとりに加え敵である義経との出会い
知盛の愛妻の希子様に託された最後の言葉に泣けました 時代小説でこんなに泣けるの滅多にない事でした
Posted by ブクログ
本の表紙の絵が気に入らないとか、もうそんなことはいい。
平氏も源氏も名前が同じような人物ばっかりっていう愚痴ももう言わない。冒頭から始まる僧侶との琵琶の語り手が誰なんだろうってずっと思っていたらついに来た!
そこからの感情の流れが一気に押し寄せてきてもう耐えられないっと思った。
”祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の~”
語り手が誰なのかいまだ謎なこの平家物語、誰もが空で詠むことができるほどに学生時代覚えさせられたこの冒頭文。
勝者によって歴史が歪んで伝えられないよう、今を生きた人を、勝ちも負けもなく歴史に立ち会った人たちをのちの千年後にも残そうとしたこの冒頭を、大戦の中を潜り抜けよくぞ現在に語り伝えられてきたことを幸せに思う。
この物語が真実かどうかはさておき、太古の歴史の紐解きのように執筆された今村氏の創作力に、追って眼前で映画のように見せてもらったかのように錯覚するほどの想像力を掻き立てる文面にハラハラし通しだった。
時代小説のいいところは現代小説のような鬱った暗い登場人物がいないこと。イヤミス小説読んで喜んでいる人は一回こういう本を読んだほうがいい。
Posted by ブクログ
滅びへ繋がる終わりが分かっているだけに辛い下巻
しかし 後半に史実にはない あっと驚く創作が挿入される
救われた
この挿入部分で
辛いはずの主人公の人生が 光輝いた
平家は敗れて滅んだのではない
平家こそ 勝者なのだ
#大河ドラマ以降 義経の人物像が変人・天才になりつつあるが 本当はどうだったのだろうか
Posted by ブクログ
"一ノ谷の戦い"から"壇ノ浦の戦い"そして、平家が滅亡していく様を描いている。
が、平家の戦いは、それで終わったわけではない。
平家最後の戦いが、残っていた。
歴史は勝者が創り上げて行くもの。
その物語のなかで、平家は、きっと悪人として、あるいは富貴に溺れた愚者として、散々な姿で後世に伝えられるだろう。
断じて、それを阻止しなければならない。
戦いの中で散った者たちは、何のために、何を想って死んでいったのか。そして、生き残った者は如何なる運命を辿ったのか。ありのままを後世に伝える。
勝者の都合で、物語を書き換えようとしている者がいる。
決して、そうさせてはならない。
『平家物語』を後世に伝えていかなかなければならない。
平知盛に、それを託された人物は、平家最後の戦いに挑む。
最後の壇ノ浦の戦いの件は、意表を突いた。
物語的には、それもアリかなぁ。
Posted by ブクログ
茜は赤。その唄はつまり赤の歌。
白は源氏、赤は平家。平家の唄は平曲ともいうらしい。
たくさん語り継がれている。
祇園精舎の鐘の声…。
さて上巻でも気になった、平曲を西仏に伝授していたのは誰だったのか。
てっきりあの子だと思っていたら違った。さすがその辺は一筋縄ではいかない。
そしてその人が明らかになり、どんな思いを抱いて歌い継ごうとしたのか。
しんみり切なくて、そこに深い感動があった。
戦いだけじゃない。
平知盛主役、平家物語ベースの作品。
上では木曽義仲が登場した。下はいよいよ戦闘怪物源義経の登場。源氏だがある意味、平家物語の主役。でもまあ今回は脇。でもさすが。
平家に立ちはだかる大きな壁として、存在感は抜群。
歴史上有名なこの人をどう表現して、主人公の知盛はどう対応するのか。
とても面白い関りであり、それまで読んできた知盛の人物像からすると納得感があった。
今村翔吾さんは登場人物たちをいつもとても魅力的に作り上げてくれる。
今村さん版平家物語、感情移入したくなる人物たちがいっぱいで、とても楽しめた。
戦いの描写に迫力があり、状況が分かりやすくて、良い。
個人対個人のチャンバラより、集団戦の描写が本当にお上手で、尊敬してしまう。
面白かった。
Posted by ブクログ
平家は驕り過ぎて滅びた。
木曾義仲は粗野で京都人から嫌われ滅びた。
源義経は配下からの讒言で頼朝に嫌われ滅びた。
何となく学校で習った印象はそんなイメージだが色々な本を読むと勝者によるイメージ操作なのかと感じる。特に頼朝についてはあまり良く描かれる事が少ないと思う。
この本を読んでも頼朝は暗躍し最後に登場しただけだが見事な悪役ぶりであった。
平家物語を編み琵琶法師に伝承していくのが各章の最初に描かれているが誰かは判らない。そこが良いミステリになっていて面白い。
頼朝が編もうとしていたのはおそらく吾妻鏡だと思うが、最後は北条氏に乗っ取られることを考えると頼朝が編みたかったストーリーでは無いのだろう。改めて平家物語は面白いと感じた。
Posted by ブクログ
それぞれがそれぞれにあの時代を生き抜いた熱が感じられた。希子の闘いに臨む姿からは、知盛との絆の強さを確認させられた。哀しいけど美しいお話。
Posted by ブクログ
今村翔吾版平家物語である。おごれる軟弱武家集団の平家が没落していく様(絶頂期から物語が始まるってのも趣味が悪いが)を描いていく。
歴史上の動きがあり、本歌の「平家物語」があるのだから、メタバースでもない限り筋は分かっていて、諸行無常のラストなのだが…。
いやそれにしても、制限と枠がある中でここまで捉え方を変えることができるのかと。一族を大事にする平家と親兄弟とても捨て石にするのが平気な源氏(いや頼朝)、陰湿公家の後白河上皇や、奥州藤原氏も絡む勢力争い。平家にも十分な人材がいて、平家がさらに栄華を極める可能性もあったということ。
鵯越えや那須与一や義経の八双飛びに関する新解釈は見事。フィクションであるからこそ、この解釈は実に面白く…。
語り手の意外な正体や、主人公知盛、サイドキック?の教経の活躍など、ミステリーや智謀・剣豪小説としても抜群に面白い本作。今村翔吾見失うなかれ!
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面白かった。泣けるし。下巻は怒涛。
平家物語を作ったのは知盛て、後世に伝えたのが妻の希子という設定。
知盛と義經の最後の関係も。創作でもロマンだー。
登場人物のキャラクターも良い悪いではなくて、皆それぞれ生きている。
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平家物語誕生秘話。なぜ源氏と平家なのか。源家と平家ではなく、源氏と平氏でもなく、源氏と平家。この違いが分かりやすく描かれている。知将と呼ばれる知盛の正に知将の呼ばれる由縁、やはり平家物語は美しい滅びと再生の美学。
Posted by ブクログ
上巻では「己」としてしか表現されなかった平家物語の語り部が明らかになる。最後の最後に明らかになるのかなと思っていたが2/3くらいで判明したのは意外だった。
屋島の戦いは惨敗、知盛の馬との別れの場が泣ける。
井上黒は波打ち際を駆け抜け、遂にはざぶんと海に分け入り、船を目指して突き進む。ふと気づいた時には、差し伸べられた無数の手に掴まれ、舟に引き上げられていた。
海中から首だけ出す井上黒が、黒曜石の如き瞳で見つめる。この小さな舟では、井上黒を乗せることはできない。それを井上黒も悟っているようで、送り届けたことを喜ぶように小さく嘶くと、浜へと引き返していった。
源平合戦のことは知識がなかったので歴史を調べながら読み進めたがこんな壮絶な戦いがあったのかと驚愕した。
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源平合戦の新解釈。
通常はどうしても清盛、頼朝、義経と戦でのことしか思い浮かばないが、そして先日のNHK大河「鎌倉殿の十三人」のキャストの姿が蘇る。清盛息子の知盛その家来とも言うべき教経(壇ノ浦で2人を抱き抱えて海に入ったことは朧気には頭の中に)、妻・希子さんとの行動が本当に愛の唄だと思う。
作家、今村翔吾には勢いがある。
Posted by ブクログ
・知盛は一の谷の策に「一抹の不安、沓の中に入った一粒の砂の如き」
・義経は小の戦い・中の戦いには長けて見通す力を持っているが、大の戦い=天下にどのような影響を及ぼすかを全く考えていない。
・平家は一族として戦い、頼朝は時代を一人で創った英傑になりたかった。
と言う箇所が好き。
一の谷から壇ノ浦へ… 関門の潮目が原因で勝敗が逆転したと思っていたが、平家からは古参の阿波重能が源氏からは頼朝の浪党梶原景時が寝返り、三つ巴に。そして平家は滅亡を覚悟して総力を上げて義経を逃がした。歴史は勝者が語るものとされるが、作事不詳の平家物語は戦の中で散った者達が何の為に何を想って死んでいったのか、そして生き残った者は如何なる運命を辿ったのかを書き換える事なく伝えていく為に琵琶の音にのせて伝えられた。
Posted by ブクログ
読むのに時間がかかりましたが、読んでよかったです。語り部が誰か、わたしの想像とは違ってましたが、なるほど…と納得できる方でした。
今村先生の話は敗者の目線で描かれるものが多くて童の神のような悲しい終わり方をするのではないかとドキドキしながら最後の方は読み進めましたが、そんな感じではなくてホッとしました。
この話はフィクションですが、敗者を語る物語が間もない頃からこうして残っているのですから、この話で語られているようなことがあってもおかしくない気がします。壇ノ浦の合戦の裏事情は驚きでした。
今まで源氏目線で見ることが多かった源平合戦ですが、この話で平氏の側にも色んな魅力的な人たちがいたのを知れてよかったです。
Posted by ブクログ
大人になるまでに見聞きしたものは全て源氏が善で、平氏が悪のものばかり。
一昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」と本作品を読んで両家への印象が全く変わりました。
それぞれの立場で物事を見る重要性を改めて感じました。
平家メチャクチャカッコいい。そして、家族の絆が強い。
多くの人に平家の良さを知ってもらう素晴らしい作品です。
Posted by ブクログ
上巻を「静」とするなら、下巻は「激」でした。
激しい戦の場面が続きます。
それは、平家が滅亡へと向かう道です。
大局を見据えた知盛の想いが伝わってきました。
今村先生の歴史小説は、とても理解しやすく、源平合戦に忠実なため、歴史の勉強になりました。
そして、感動しました。
Posted by ブクログ
大まかには知っているけれど、詳しくはない平家物語を著者得意の語りで小説化
興味深く読めました
物語そのものの成立を結末にするところは、らしくて上手いですね
上下巻の長編ですが、飽きることなく読めます
Posted by ブクログ
上下巻の感想
源平合戦で平家側から見た話は初めてです。
平家=悲劇というイメージから教経や希子などがどんな前向きでも暗く感じました。
特に下巻からは滅亡に向かって一直線という感じでこのまま、淋しく終わるかと思いましたが屋島が落ちてからの物語は予想外でした。
結果は滅亡ですが、義経を救う場面や最後の頼朝、希子のやりとりなどは流石だなあと思います。
Posted by ブクログ
平家の滅亡を描く平家物語。公家化が進んだ平家が、清盛が亡くなることで、一気に滅亡へと突き進むのは当然のように思っていたのだが、読み終えた今、そうでないことを知る。
勿論、この小説の解釈も実際のところ、正しかったかどうかはわからないが、違う見方をすることで、歴史を何倍も面白く感じることができるのは間違いない。
こんな感想を千年後の現代に投稿させた作品についても、頼朝はさぞ悔しかろうか。今村翔吾さんの独特な解釈が溢れる次回作も期待したい。 ★4.0