【感想・ネタバレ】茜唄(下)のレビュー

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それぞれがそれぞれにあの時代を生き抜いた熱が感じられた。希子の闘いに臨む姿からは、知盛との絆の強さを確認させられた。哀しいけど美しいお話。

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2023年12月03日

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今村翔吾版平家物語である。おごれる軟弱武家集団の平家が没落していく様(絶頂期から物語が始まるってのも趣味が悪いが)を描いていく。

歴史上の動きがあり、本歌の「平家物語」があるのだから、メタバースでもない限り筋は分かっていて、諸行無常のラストなのだが…。

いやそれにしても、制限と枠がある中でここまで捉え方を変えることができるのかと。一族を大事にする平家と親兄弟とても捨て石にするのが平気な源氏(いや頼朝)、陰湿公家の後白河上皇や、奥州藤原氏も絡む勢力争い。平家にも十分な人材がいて、平家がさらに栄華を極める可能性もあったということ。

鵯越えや那須与一や義経の八双飛びに関する新解釈は見事。フィクションであるからこそ、この解釈は実に面白く…。

語り手の意外な正体や、主人公知盛、サイドキック?の教経の活躍など、ミステリーや智謀・剣豪小説としても抜群に面白い本作。今村翔吾見失うなかれ!

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2023年11月27日

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(上)(下)まとめて。

紛れもなく、大傑作だ。

核となるストーリーを、平家物語の作者がそれを何某かに伝承するという入れ子に収め、さらには、その作者とは誰なのか? 一体誰に伝えようとしているのか? そして"姿を消した"のは一体…? 等といったミステリーの要素を絡めて大きくパッケージングしており、まずリーダービリティが実に高い。
終盤の第十二章に至り初めて、帯の宣伝文句に"夫婦の絆"とある意味が腑に落ちる粋な構成。
戦国ものを中心とした時代小説は確かに装飾しやすい題材ではあろうが、そうだとしても、平家の凋落を組織の愚昧になぞらえたり、主人公の平知盛を旧来の武士の面目に囚われず合理性を優先する進取の英傑として描いたりと、現代社会の枠組みにもそのまま当てはまる形で表現する様は唯々上手過ぎるし、窮地における知盛と経盛の和解や、知盛と三男・知忠の別れ、教経と死を覚悟した海野幸広の結び合い、身命を賭した知盛と源義経の面会、ティーンエージャーに過ぎぬ知章の雄々しくも哀しい最期、一条能保はおろか源頼朝に対してなお一歩も引かず対峙する希子の気魄、さらには教経VS弁慶という稀代のビッグバウト並びに知盛と義経の奇跡の共闘等々、挙げていけばきりがない見せ場は次々登場するし、光景が映像としてまざまざと脳内に浮かび上がってくるドラマの数々に魂を掴まれ、本の中の世界に耽溺するばかりだった。
クライマックス、知盛が彦島で茜船に乗り込むシーン以降は視界が霞みっ放し。
史実を人間味に満ちたエンターテインメントに昇華し再構築するその手腕たるや、タイプは違えど木下昌輝氏や垣根涼介氏を想起した。
そして、齢30代にして人間をここまで描ける今村翔吾氏、凄い。

余談ながら、六甲山系が源平合戦の重要な舞台の一つになっていることに、地元民として静かな興奮を覚えた。

「幾らそこから目を背け、自ら美しく装ったとしても、ただ争うという一点だけで、人はすでに愚かしく、汚らわしい生き物ではないか。それなのに、どうにか醜さを隠そうと、無用な作法や美徳を作る。そのせいで戦は長引き、民は貧困を強いられる。」

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2023年07月25日

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大まかには知っているけれど、詳しくはない平家物語を著者得意の語りで小説化
興味深く読めました

物語そのものの成立を結末にするところは、らしくて上手いですね
上下巻の長編ですが、飽きることなく読めます

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2024年01月31日

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上下巻の感想
源平合戦で平家側から見た話は初めてです。
平家=悲劇というイメージから教経や希子などがどんな前向きでも暗く感じました。

特に下巻からは滅亡に向かって一直線という感じでこのまま、淋しく終わるかと思いましたが屋島が落ちてからの物語は予想外でした。

結果は滅亡ですが、義経を救う場面や最後の頼朝、希子のやりとりなどは流石だなあと思います。


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2024年01月22日

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上巻よりも独自路線が強くなって大分ファンタジー。
義経の、軍事は天才だけどその他は全て欠落した阿呆みたいな人物造形は司馬遼太郎が方向づけたものなんだろうか。
いくら平家が落ち目でも、壇ノ浦の最中に梶原が義経を攻められるほど余裕はないだろうに、とか突っ込みたくなってしまう。
頼朝の人物像がペラペラの悪役で苦悩が伺えないから物足りないのかもしれない。
師盛や業盛や通盛や、平家の若手たちにスポットが当たる感もあってよかったから、もっと彼らの人生を聞きたかったというか。せっかく語り手が希子こと治部卿局であれば、もう少し女性目線があってもよかったなぁ。もう少し心の機微とかあるやろー、って思う。男のヒロイズムと妄想って感じが。

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2023年07月18日

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