【感想・ネタバレ】茜唄(下)のレビュー

あらすじ

これは、戦の唄。
これは、涙の唄。
これは、希望の唄。
直木賞作家・今村翔吾が描く、夫婦の絆。新聞連載時より話題沸騰の歴史エンターテインメント!

歴史とは、勝者が紡ぐもの――。では、何故『平家物語』は「敗者」の名が冠されているのか?『平家物語』が如何にして生まれ、何を託されたか、平清盛最愛の子・知盛の生涯を通じて、その謎を感動的に描き切る。平家全盛から滅亡まで、その最前線で戦い続けた知将が望んだ未来とは。平清盛、木曽義仲、源頼朝、源義経……時代を創った綺羅星の如き者たち、善きも悪きもそのままに――そのすべて。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こんな切ない話ある……?
平家が滅びることは明らかなのに、なんでこんなに応援しちゃうの……
平家って悪だと思ってた(平家にあらずんば人にあらず、って言われるくらい調子乗ってたし)けど、めちゃくちゃ好きになってしまったじゃないか………!!

という本。

平知盛かっこよすぎる。季子さまもかっこよすぎる。最高夫婦。
最初から出てくる、西仏に平家物語を伝授する人。私はてっきり菊王丸だと思ってました。まさか季子さまとは……叙述トリックにやられました。本でしか味わえない驚愕。最初からもう一度見直したってゆー……
(今村さんって、本でしか出せないこういう表現を使いながら、まるで目の前に映像が見えるようだから本当すごい。義経と知盛の初の邂逅の時、時が止まったように視線が交わるのとか、映画のようにはっきりとみえました)
教経の最後もかっこよすぎる。誰かのために命を賭して行く姿泣かない人いるのか?
後白河上皇も人間らしくて良いじゃないか。
義経ってやっぱりこんな感じなのね。やべーな天才で素直すぎてやべーな。
そして、全てを見越しながら平家と共に生き、共に死んだ知盛がやっぱりかっこよすぎる。
知章には生きててほしかった……戦争ダメ、絶対。
でも、戦の途中の知盛の「覚えた」とか「みた」とか短い言葉がカッコ良すぎてドキドキしてしまう。なんだこの矛盾。

この本を読んだ後、史実などちょっと調べてまとめてみた。今村さんの創作の部分も大いにあるのかもしれないが、壇ノ浦の戦いで義経を逃すために平家が協力していたとしたら……

天下三分の計をずっと昔に思いついた諸葛孔明マジすげえと思いつつ本を閉じました。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本の表紙の絵が気に入らないとか、もうそんなことはいい。
平氏も源氏も名前が同じような人物ばっかりっていう愚痴ももう言わない。冒頭から始まる僧侶との琵琶の語り手が誰なんだろうってずっと思っていたらついに来た!
そこからの感情の流れが一気に押し寄せてきてもう耐えられないっと思った。
”祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の~”
語り手が誰なのかいまだ謎なこの平家物語、誰もが空で詠むことができるほどに学生時代覚えさせられたこの冒頭文。
勝者によって歴史が歪んで伝えられないよう、今を生きた人を、勝ちも負けもなく歴史に立ち会った人たちをのちの千年後にも残そうとしたこの冒頭を、大戦の中を潜り抜けよくぞ現在に語り伝えられてきたことを幸せに思う。
この物語が真実かどうかはさておき、太古の歴史の紐解きのように執筆された今村氏の創作力に、追って眼前で映画のように見せてもらったかのように錯覚するほどの想像力を掻き立てる文面にハラハラし通しだった。
時代小説のいいところは現代小説のような鬱った暗い登場人物がいないこと。イヤミス小説読んで喜んでいる人は一回こういう本を読んだほうがいい。

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2024年09月27日

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ネタバレ

それぞれがそれぞれにあの時代を生き抜いた熱が感じられた。希子の闘いに臨む姿からは、知盛との絆の強さを確認させられた。哀しいけど美しいお話。

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2023年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今村翔吾版平家物語である。おごれる軟弱武家集団の平家が没落していく様(絶頂期から物語が始まるってのも趣味が悪いが)を描いていく。

歴史上の動きがあり、本歌の「平家物語」があるのだから、メタバースでもない限り筋は分かっていて、諸行無常のラストなのだが…。

いやそれにしても、制限と枠がある中でここまで捉え方を変えることができるのかと。一族を大事にする平家と親兄弟とても捨て石にするのが平気な源氏(いや頼朝)、陰湿公家の後白河上皇や、奥州藤原氏も絡む勢力争い。平家にも十分な人材がいて、平家がさらに栄華を極める可能性もあったということ。

鵯越えや那須与一や義経の八双飛びに関する新解釈は見事。フィクションであるからこそ、この解釈は実に面白く…。

語り手の意外な正体や、主人公知盛、サイドキック?の教経の活躍など、ミステリーや智謀・剣豪小説としても抜群に面白い本作。今村翔吾見失うなかれ!

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2023年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・知盛は一の谷の策に「一抹の不安、沓の中に入った一粒の砂の如き」
・義経は小の戦い・中の戦いには長けて見通す力を持っているが、大の戦い=天下にどのような影響を及ぼすかを全く考えていない。
・平家は一族として戦い、頼朝は時代を一人で創った英傑になりたかった。
と言う箇所が好き。

一の谷から壇ノ浦へ… 関門の潮目が原因で勝敗が逆転したと思っていたが、平家からは古参の阿波重能が源氏からは頼朝の浪党梶原景時が寝返り、三つ巴に。そして平家は滅亡を覚悟して総力を上げて義経を逃がした。歴史は勝者が語るものとされるが、作事不詳の平家物語は戦の中で散った者達が何の為に何を想って死んでいったのか、そして生き残った者は如何なる運命を辿ったのかを書き換える事なく伝えていく為に琵琶の音にのせて伝えられた。

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大まかには知っているけれど、詳しくはない平家物語を著者得意の語りで小説化
興味深く読めました

物語そのものの成立を結末にするところは、らしくて上手いですね
上下巻の長編ですが、飽きることなく読めます

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2024年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上下巻の感想
源平合戦で平家側から見た話は初めてです。
平家=悲劇というイメージから教経や希子などがどんな前向きでも暗く感じました。

特に下巻からは滅亡に向かって一直線という感じでこのまま、淋しく終わるかと思いましたが屋島が落ちてからの物語は予想外でした。

結果は滅亡ですが、義経を救う場面や最後の頼朝、希子のやりとりなどは流石だなあと思います。


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2024年01月22日

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