誉田哲也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ作者の「武士道シリーズ」は手放しで楽しめたが、こちらは途中から作為がミエミエとなったのが少し残念でした。
まだ若かりし頃の姫川警部補がレイプされて心に傷を抱えながらもある人の支えで立ち直るストーリーは感動的だが、部下の大塚が上司に相談もせず単独行動で殺されたあたりから、【作為】が見え始める。ここで言う作為とは、いちいち登場人物の行動について説明しないと前に進まない状況を言う。こういう目的でこの人はこうしたという説明は、裏返せばそれだけ不自然な行為だからであって、大塚の単独行動もそれに当たる。もっと言えば、ストーリー上大塚が殉職する必要があったから殺された訳ですね。
逆に姫川の天敵「ガンテツ」の存在感を後半から光らせた展開はお見事です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ会話の部分は一人分で改行しているので白地の部分も多く、眠くなる暇がなく読み終えた。軽く面白かった。前作の「ストロベリーナイト」ほどのグロテスクさは薄味。
警察内部の話で紅一点の姫川刑事がいい。それに絡む年上の部下から監察医、そして背景では、組織の闇の部分に落ちていく警官など、前作は衝撃的だったが面白かった。
前置きが長くなったが、その「ストロベリーナイト」の数ヶ月後に起こった事件だ。
多摩川の土手に放置されていたライトバンから左手首が発見された。
だがほかの部分は見つからない。姫川班も動員され、周辺の捜査が始まる。
事件現場は確定したが、捜査は進展しない。
調べていくうちに、建築工事の関係者らしいということがわかってくる。
そして、事件の関係者の生い立ちがそれぞれ一人称で語られる。
身寄りのないものどうしの結びつきや、建設工事の裏や表、過去に地上げ屋のために苦しんだ家族のこと。
極貧の借金生活を清算するために、生命保険を当てに死んだ親を持つ若者のその後。
父親の自殺現場にいて助けられなかった贖罪の意味で若者を援助し、育ててきた過去のある男。
そういった人たちの話が絡んで、複雑な歯車がまわりだし、警察もそれに巻き込まれる。
生活のために命がけで金を工面する生き方。
それを食い物にするやくざ。
そこに生まれていく憎悪。
一方同じ境遇のものが強く結びついて、事件の謎を深めていく。
前作の猟奇的な面は少し陰を潜め、底辺で暮らしている恵まれない星の元に生まれた人たち。
その哀感が漂う生き方が事件を招き、最後にすべてが明らかになる。
捜査本部のお馴染みユニークな人たちは、姫川を中にして面白く、次第にそれぞれの生活も語られる。この息抜き的な空間があり、重い現実と平行して解決へのスピード感が増し、読む速度が上がる。
面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレああやっと気がついた、面白かった誉田哲也の「武士道シックスティーン」は彼の一部だった。
若いのでこれから充実した代表作が出るだろうけれど、今のところ「ジウ」「ストローベリーナイト」に始まる姫川警部補のシリーズがある人という印象。
どちらもちょっと一話だけは読んでみたが、ホラー作家だなと思えるグロテスクでショッキングなシーンが多くある。
ただ人気は主人公にあるのかもしれないし、警察小説としても読みどころがある。
ただ読者は合うか合わないかわかれるところだと思う。
この「あなたが愛した記憶」は題名のソフトな雰囲気とは全く違う内容で、読み始めから少し引き気味だった。
残酷な殺人事件が、同じ形で二件連続で起きる。ここからは警察の分野かと思ったが、そうではなく、背景の事件に絡まる人たちが動き出す。
大人びた高校生の民代が興信所に来て調査員の栄治が父親だという。そして二人の人間を探してほしいという。
これが発端で、関係者のつながりがずるずると引き出される。栄治が知らなかった出来事が次第に明らかになる、つながりというといわば魂(人格)の継承で、宿主になる肉親の体に、消滅前に入り込む。
それぞれに性別年齢は違っても血の繋がりがあり、記憶が残っていく。
調べるにつれて残酷な事実が暴きだされていく。
一つは命の尽きる前に肉親の新しい体に移っていく。そのためには自分と血の繋がった命を絶やしてはいけない。
そういった犯人の目的のまわりで、不意にそのことに気がついた関係者の悲運や懊悩なども絡めてなかなか酷な運命が展開する。
この魂の継承(輪廻の一端というか)が 新しく目標になった肉体を持つ人間の意識と現実を結んでいく発想はさすがだと思うが。
ただ小説を読む楽しみの一環は主人公の魅力だったりストーリーの面白さだったりする。
ここではあまり魅力的な人物はいない。事件も稀なケース(どこかで読んだような)がそれに繋がる人々の忘れていた過去が蘇るところもなにか予想通りで新味がない。
面白かったかと言えば、どこにでもあるホラー小説の一つのようで、親子や異性愛の話もそこそこで、気味悪い思いだけが残った。