誉田哲也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
青春とは、こんなにも眩しく、切ないものだったのか。
青春小説は、私の好きなジャンルのひとつです。
若者が何か一つのことに夢中になり、汗を流しながらひたむきに努力する姿。
それほど美しいものはないと、私は思っています。
けれども、そんな時間はほんの一瞬。
30代、40代になると、体力も気力も、そして自由に使える時間さえ、どんどん減っていきます。
だからこそ、学生のうちに夢中になれるものを見つけ、全力で打ち込めた人は、本当に幸せなのだと思います。
…自分がそれをしてこなかったぶん、余計にそう思ってしまうんですよね。
この小説は、剣道に打ち込む高校生の女子ふたり――香織と早苗を描いた青春小説です。
驚くほどに恋愛要素は皆無。にもかかわらず、いや、それだからこそ、読んでいてとても爽やかな気持ちになれる一冊です。
けれど、これはスポーツの世界。つまり「勝負」の世界でもあります。
いくら剣道が好きでも、試合をすれば必ず勝ち負けがついてくる。
性格も剣道への向き合い方も正反対の香織と早苗。
それでも「剣道を愛する気持ち」は同じであり、彼女たちはライバルであり、同士でもあります。
そんなふたりが、互いを意識し、ぶつかり合いながらも成長していく姿が描かれています。
私は剣道の経験も知識もまったくありません。
それでも文章を追っているだけで、道場の緊張感や気迫がビシビシ伝わってくるのです。
これは、主人公・香織というキャラクターの存在感によるところが大きいと思います。
彼女はまるで戦場の女兵士。ページ越しにも、身体から放たれる“殺気”が伝わってくるようでした。
この小説のもう一つの魅力は、二人の関係性をはじめとする“人との関わり”の描き方にあります。
それぞれの家庭環境、部活仲間との付き合い、師弟関係……。
さまざまな立場の人たちとの関係性が丁寧に描かれ、物語に厚みを持たせています。
人は人との関係の中で成長していく――。
作者はそんなことを伝えたかったのではないか。そう感じずにはいられません。(深読みしすぎだったらごめんなさい)
香織が早苗の剣道を「技」としてだけでなく、「存在」として認めたとき、彼女は真の意味で強くなれた気がしました。
ちなみに、この小説を書いたのが男性作家なんですよねぇ。
女子同士の微妙な距離感や、思春期ならではの心の揺れ動きが、あまりにもリアル、、、。
なぜこんなに女心がわかるのか?!
それだけで、尊敬です!! -
Posted by ブクログ
時系列が異なる複数の視点から最終的に1つに繋がる物語。登場人物が多く女性の登場人物ばかりということもあり、章を跨ぐ度にどんな人物かを読み進めながら補完していく読みづらさがあった。
軽快な会話と強さを持つ登場人物を中心に物語が進んでいくため、シリアスな場面もそう感じさせずに楽しめる良さがあったが、作中で頻出する「ドミナン事件」の詳細が描かれず、それは「ボーダレス」という前作を読んでいないとわからないことが一切触れられない点は告知の仕方も悪ければ補足もないことが残念だった。
家族、兄弟の在り方を加藤姉妹を中心に描かれ、軽快なテンポで読み進められる点はプラスで、結末の結び方次第では個人的に良作の可能性があったが、話の風呂敷を広げた割にはこの「アクトレス」しか読んでないから回収出来ないのか、そうでないのかを判断できない点はマイナスなためこの評価。