島田荘司のレビュー一覧
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ネタバレ面白かった。
ロンドン留学中の漱石が、下宿の幽霊もどきに困ってホームズに相談にゆき、そこから一緒に殺人事件の捜査に当たる、って設定からして面白くないわけがない。
密室の中で一夜にして人がミイラになるという殺人事件も、島田荘司ならではの不可能設定だし、漱石視点とワトスン視点で描かれるホームズの様子の違いもユーモラスだし、いやさすがに読ませるなあという感じ。
漱石視点の「ホームズさん」ほんとにやばくてねえ……。ワトスン視点も、漱石視点と合わせるとオイオイって感じで。どちらの文体もこってりしていて島田節全開。
トリック自体にはそこまでの目新しさもないんだけれども、設定と描写の妙で面白さが増している -
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ネタバレ(上巻の感想からの続き)
そして吉敷。
この男はシリーズを重ねるたびに存在感を増しており、しかも言葉遣いも心なしか変わってきているようだ。登場当初は単なる刑事に似つかわしいダンディという設定以外、何の特徴もなかったが通子の登場、上司との軋轢、殺人課での孤立という状況変化を経て、その人と成りがヴィヴィッドに浮き上がってきている。
今回、刑事が冤罪事件を調査するという仲間の手柄を覆す裏切り行為を行うことをやってはならないことを知りながら行うことで、吉敷の刑事辞職という設定を持ってきたのはよかったが、最後の最後で救われることが自分的によかったのか悪かったのか判断がつかない。
刑事を辞めれば通子と -
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ネタバレ吉敷竹史シリーズの第一部完結編とでも云える本書、その中でもとりわけずっと謎めいた存在で登場していた元妻、加納通子との関係への総決算的作品となっている。
加納通子の生い立ちから述べられる本書は今までの『北の夕鶴2/3の殺人』、『羽衣伝説の記憶』、『飛鳥のガラスの靴』、そして『龍臥亭事件』全てを一貫して補完する形で、これらの作品の間に隠されたサイドストーリーを余すところなく、描いている。摑み処のない悪女といった感じの加納通子という女性が、今回ではじっくりと描かれる。その描写は、「業」と表現されるある種呪われた血が流れている途轍もない生い立ちを以って語られるが故に匂い立つほどの存在感を醸し出してい -
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ミステリーとしては物足りない気もするけど、どのエピソードからも御手洗くんの人となりが伝わってきてよかった!
文章も軽めで読みやすく、筆者のユーモアがところどころ入っていてクスッとしてしまった。ケンタッキーフライドチキン…。
数字錠
…御手洗くんの人情が溢れている( i _ i )
映像化したらすごくいいものになりそう。
疾走する死者
…読者への挑戦が少しでも分かったので嬉しかった。確かに他の作品に比べると易しいかも!
紫電改研究保存会
…阿刀田さんのショートショートみたいな不思議な世界観だった。でも言われてみればちゃんと伏線回収している…!なるほど。
ギリシャの犬
…犬好きの御手洗くん -
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ネタバレ時代は昭和39年。クレセント錠とスクリュウ錠で閉ざされた密室というあたりに時代性を感じさせる。
鳥居の左右が、両側の建物に突き刺さっているシチュエーションは、何とシュールなのだろうと思っていたら、京都市の錦市場では、実際にこのような光景を目にすることができると知って驚く。
そのような状況を見事にトリックに昇華させた著者の手腕はさすがである。
そして、そのトリックがわかったと「ユーレカ」とばかりに駆け出して行った大学生の御手洗は若い!
事件のすべてが詳らかになっても、最後に残った難問は容易に解きほぐすことができないように思えたが、これも解決に導いた御手洗は、既に名探偵の片りんを覗かせる。 -
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ネタバレ久しぶりの御手洗シリーズ。
この間それなりに読書経験を積んだせいで、御手洗がカッコ良く見れなくなってたらどうしよう…と若干の不安があったんだけど、ちゃんとカッコ良くて嬉しかった。
派手で強引な真相で島田荘司らしいストーリー。
面白かった。
超有名俳優の息子にして『占星術殺人事件』の読者でもある青年が、鎌倉の独り暮らしの部屋にある日強盗に入られ、居合わせた父親の恋人と父親の秘書が殺されてしまう。太陽が消えこの世の終わりのような様相を呈する世界で、青年はふとこの二体の死体でアゾートを作ることを思い立ち実行する。するとアゾートが動き出し……という手記が、東大教授によって御手洗にもたらせる。
この手