島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
龍臥亭事件という作品が自分のなかで大好きで、思い入れの深い作品なのは、石岡さんが、事件を解決したいと深く願い、他には誰も頼れないとなんとか自分の頭で必死に、本当に必死に考え、推理し、ボロボロになりながらも、事件の謎を解いていく姿が描かれているから。
御手洗潔という超人の活躍をその傍で振り回されながら見守るしかない石岡さんの姿はそこにはなく、必死な凡人のもがきが私の心を打ちました。
霧のなかの幻想的な舞台にて行われる犯人との格闘、そして終幕、石岡さんの手による真相披露が描かれる第12章からエピローグにかけては、御手洗シリーズ屈指の名シーン名場面の連続でした。 -
Posted by ブクログ
ホームズにドップリハマっていた中学時代に読んで、いい意味で度肝を抜かれた作品^^
漱石視点で見る新しいホームズ像と、お馴染みワトソン君の伝記スタイルで描かれる旧来のホームズ像の落差が、面白おかしく描かれています。
英国留学中の漱石が、宿で夜な夜な「出ていけ〜」と亡霊に囁かれたことをホームズに相談したのをきっかけに、名探偵の活躍譚に一役買う、というパロディ。
中国で呪いをかけられた男が一晩でミイラになってしまう、という謎にホームズ&ワトソンと漱石が挑むんですが、
漱石くん、どんだけホームズのこと嫌いなの?
てツッコミたくなるような、変人ホームズがこれでもかと登場します。
ホームズの活 -
Posted by ブクログ
ながーーーーーーーーい。
これは読むのが遅い人には
「涙目クラス」な作品でしょう。
1000ページ近いミステリーなんか
初めて読みましたわ。
だけれどもそんなにお堅い
ミステリーではないですし、
歴史背景とかも知ることができるので
総合的には面白い作品です。
しかし、長さがネックなのは
確かです。
しかもその要素のいくつかを押さえないと
楽しめない「読まざるを得ない」作品です。
ある意味著者の策ですね。
感服いたしました。
ちなみに怪物の正体は…
これはある程度勘が冴えていれば
わかるかも…
法則どおりフィクションの生物じゃありません。 -
Posted by ブクログ
中世の吸血鬼伝説(エリザベート・バートリ)、上海の頽廃、嬰児誘拐、砂漠でのハリウッド映画「サロメ」ロケとその戯曲・・・さまざまな地域の、たくさんの物語が並列で語られる。
分厚い!
しかも肝心の探偵は終盤まで出て来ない!
(石岡さんも出て来ないが、レオナが出て来る)
途中何度となく「わたしは今、何の本を読んでいるんだろう?」という疑問を持つ程の、惑わされ様だ。
しかし最後にそれがちゃんと収束される快感があるので、御手洗シリーズが好きなら分厚いのを乗り越えて読んで欲しい。
御手洗さんの登場シーンが、王子様なのも見物。
今回もあれだけヒントをもらいながら、ほとんど謎は解けなかったのが口惜