島田荘司のレビュー一覧

  • 奇想、天を動かす~吉敷竹史シリーズ11~

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    ネタバレ

    これシリーズものだったのね。
    でも単体でも楽しめる作品なので
    あまり気にしなくても大丈夫。

    すごく突き刺さる作品でした。
    事件の怪奇さもそうだけれども、
    その殺人の裏には不条理も不条理な歴史が
    隠されていたわけで。

    そんなことしないと、と思う人たち。
    この登場人物の真相を
    よく見てごらんなさい。
    嫌悪を示す人もいるでしょ。
    所詮そういうことなの。

    でもね、便田のようなクソッタレとか
    主任のようなうんこはどうにもならんよ。
    木そのものを見ようとしないやつね。
    こいつらがいる限り人は争うばかり。

    決して解決しても
    満足感は得られない作品。
    ただ、たった一人の刑事が
    その男の悲しき心の内を

    0
    2019年06月07日
  • 展望塔の殺人~吉敷竹史シリーズ7~

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    ネタバレ

    珠玉の短編集である。「法月綸太郎の冒険」に匹敵するクオリティを持つ。
    まず目次を開いて並んだ諸作の題名を見て感じたのは江戸川乱歩死へのオマージュかという事。実際最後の2編は乱歩作品の本歌取りであった。
    最初の1編は「アクロイド殺し」か。
    だが何にも増して驚嘆させられたのはその先駆的題材である。
    昨今巷間を賑わしているストーカー犯罪、キレる若者による突発的犯行。
    “昭和62年”の時点でこの“平成の世”の社会の歪みを予見していたかのようである。
    恐るべし、島田氏、流石は島田氏と褒め称えよう!

    0
    2019年05月19日
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)

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    窓やドアのつまみに糸を引っかけて、外から引き鍵をかける-単純で使い回されたミステリーのお約束のトリック。では、このトリックを使うと宣言してしまうのは?
    5人の作家が同じトリックを使い、まったく別の物語を作り出す。

    物語の中にはたくさんの密室トリックがあふれているけれど、現実の事件ではまず存在しない。手間がかかるし、成功する可能性も高くないだろう。読みながらそう思うことも多々あるし。
    それを逆手に取った『似鳥鶏』の『このトリックの問題点』を始め、それぞれひねりが効いていて、とても面白かった。
    一番気に入ったのが、突如部屋に出現した金の仏像と正体不明の彼女『彩瀬まる』の『神秘の彼女』。男子大学寮

    0
    2019年01月22日
  • 写楽 閉じた国の幻(下)

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    写楽の正体を小説したてで提示した作品。どこまで史実に沿っているのか分からないけれど、物語として引き込まれた。

    0
    2018年11月12日
  • 奇想、天を動かす~吉敷竹史シリーズ11~

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    関東シャカミス課題本。

    のっけから不可解で奇怪な連続、大風呂敷に身を委ねる。読み終えてここまで充実したのは初めてかもしれない。 話はこうだ。浮浪者風の老人が消費税12円に逆上し、店の女をナイフで刺殺した。黙秘の真実を知るため、捜査がはじまる。

    ピエロに巨人、大事故に奇想のオンパレードを地道な捜査(踏み入った場所の歴史的背景を説明するの大好き人間)で徐々に紐解いていく。
    過去の事実を問題提起し、社会派として物語包み込みながらも、メインのトリックは「あぁ…これ大好き」

    とっ散らかった妄想と着想が身を結ぶとタイトルの意味が浮かびあがり、途轍もない感動が待ち受けます。 文句のつけようがない傑作で

    2
    2018年10月29日
  • 占星術殺人事件 改訂完全版

    購入済み

    名作の宿命

    なぜ今まで読んでいなかったのだろう。ミステリー好きなら一刻も早く読むべきである。私は残念なことに,大まかなトリックは,この作品のオマージュともいえる作品から気づいてしまった。当然,犯人も。しかしながら,矛盾や疑問は多く,一つ一つのピースが繋がらない。先を知りたくて一気に読んでしまった。読了後,大きなジグソーパズルを完成させた時のような爽快感を味わった。散りばめられた事実が全て収まるところに配置され,無駄なピースは何一つ無かった。さすがだ。
    又この和製ホームズ,ワトソンの関係には心温まるものを感じ,大好きである。


    0
    2018年06月19日
  • ゴーグル男の怪(新潮文庫)

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    原発。いま、日本人が一番真剣に考えなければいけないことの一つ。
    もちろんミステリーとして楽しめたけれども、被爆についてのシーンは結構衝撃的でした。なんとなく終了させていい問題じゃない。

    0
    2018年05月16日
  • 透明人間の納屋

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    ネタバレ

    面白かった!
    母子家庭で怒ってばかりの夜の仕事をする母親を持つ「僕」と隣の印刷会社の「真鍋さん」に、宇宙の話などいろいろなことを教えてもらい、真鍋さんは僕のすべてだった。
    真鍋さん所有の謎の機械は、透明人間を作る薬製造機だと知った僕は・・・
    最初、SFの話かと思ったが、最後は全然違った。
    僕の一言で一人で「外国」へと旅立った真鍋さん。
    26年後に真鍋さんから届いた手紙には、驚くべき真実が記されていた・・・
    それを読んだ母も涙する・・・・

    これだけ、前半と後半で小説のイメージが変わるのは初めて。こんなどんでん返しもあるのかと、新鮮でした。

    0
    2018年01月14日
  • 飛鳥のガラスの靴~吉敷竹史シリーズ14~

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    おそらく初めて読んだ吉敷シリーズ
    だったように記憶している。

    御手洗シリーズから入り、吉敷シリーズに
    手を出してみるかと思って読んだ本。

    この本に入り込んだことで、
    吉敷シリーズの他作品を追うことになったし
    島田氏の著作を買い集めることになった。

    今回再読して、前回、夢中になって
    読んだ時のことを思い出した。

    吉敷の通子への愛、すれ違い、
    謎めいた事件との絡み合いが
    吉敷シリーズの魅力だと思うが
    本作でもそれを強く感じる。

    作中強く現れるのが、吉敷の
    刑事としての使命感・職業観で
    誰に褒められるのでもなく、
    給料・出世のためでもなく
    上司や同僚に白い目で見られながらも
    事件解決へ愚直

    0
    2017年09月24日
  • 名探偵傑作短篇集 御手洗潔篇

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    ネタバレ

    これまで割りと数多くの探偵ものを読んできたけれども、今昔問わずででも御手洗潔が一番好きだ。聡明な謎解きと石岡君に対するツンデレ。また石岡君のもどかしさにもムズムズしながらも惹き付けられる。

    0
    2017年09月23日
  • 星籠の海(上)

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    ネタバレ

    【あらすじ】
    瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。奇怪な相談を受けた御手洗潔は石岡和己とともに現地へ赴き、事件の鍵は古から栄えた港町・鞆(とも)にあることを見抜く。その鞆では、運命の糸に操られるように、一見無関係の複数の事件が同時進行で発生していた――。伝説の名探偵が複雑に絡み合った難事件に挑む! 二〇一六年六月四日公開、玉木宏主演映画『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』原作

    【感想】

    0
    2017年08月05日
  • 星籠の海(下)

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    ネタバレ

    【あらすじ】
    織田信長の鉄甲船が忽然と消えたのはなぜか。幕末の老中、阿部正弘が記したと思われる「星籠」とは? 数々の謎を秘めた瀬戸内で、怪事件が連続する。変死体の漂着、カルト団体と死体遺棄事件、不可解な乳児誘拐とその両親を襲う惨禍。すべてが一本の糸で繋がる驚愕の真相を、御手洗潔があぶり出す! 二〇一六年六月四日公開、玉木宏主演映画『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』原作

    【感想】

    0
    2017年08月04日
  • 奇想、天を動かす~吉敷竹史シリーズ11~

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     今では当たり前になってしまいましたが、消費税がはじめて導入されたときは、価格にプラスしていくらかお金を払うことが不自然で、結構戸惑いました。本の値段のところに「+悪税~円」などと表記する気骨のある出版社があったりもしました。
     その消費税が導入された1989年、消費税分12円が足りないと言われた老人が、請求した店の女性を刺殺する事件が発生します。逮捕された老人は完全黙秘に徹します。当初、消費税という新しい制度が理解できない老人の単純な衝動殺人に見えた事件には、実は壮大な歴史的背景がありました。踊りながら列車から消えるピエロ、列車を持ち上げる巨人、歩く首なし死体等、本当に面白い小説とはこういう

    1
    2016年08月16日
  • 写楽 閉じた国の幻(上)

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    写楽とはだれか?

    その人物がその年の江戸に来ているのか
    その確証もないまま執筆を開始したという作者のあとがきを読む限り、
    ほんとうにその勘と執念だけで掴み取ったんだなぁ、と深い感動に包まれます。

    以前いちど挫折してるから
    読んだタイミングが良かったのかもしれない。

    主人公の佐藤同様に
    私も相当に打ちのめされていた時期でした。
    なにもかも酷く打つ手なしだと感じていたから
    やりたいことに対しても
    これになんの意味があるんだ、対価の保証はないって感じでとても苦しかったけれど

    半ばで佐藤の息子が幻となって
    「パパ、こっちでいいんだよ」(だったかな?)方向性を示唆する部分など
    むしろ私が勇気付け

    0
    2016年07月25日
  • 写楽 閉じた国の幻(下)

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    写楽とはだれか?

    その人物がその年の江戸に来ているのか
    その確証もないまま執筆を開始したという作者のあとがきを読む限り、
    ほんとうにその勘と執念だけで掴み取ったんだなぁ、と深い感動に包まれます。

    以前いちど挫折してるから
    読んだタイミングが良かったのかもしれない。

    主人公の佐藤同様に
    私も相当に打ちのめされていた時期でした。
    なにもかも酷く打つ手なしだと感じていたから
    やりたいことに対しても
    これになんの意味があるんだ、対価の保証はないって感じでとても苦しかったけれど

    半ばで佐藤の息子が幻となって
    「パパ、こっちでいいんだよ」(だったかな?)方向性を示唆する部分など
    むしろ私が勇気付け

    0
    2016年07月25日
  • 星籠の海(下)

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    全体的にとても読み易く、色々な話が混ざり合って
    とにかく飽きさせない。

    こんなバラバラの物語がどこでつながるのだろう?
    と期待感を持って読み進められるのも良かった。

    ガソリンの焼死女性の話が、もっと絡んでくるのかと
    私の女の部分がとても期待したのだが、そこはあまり食い込んではこなかったのがちょっと残念(^-^;

    しかし、御手洗先生の話では、今まで読んだ中ではこれが一番面白かった。
    榎木津礼二郎も好きだが、こういうタイプ好きだなぁ(*^-^*)

    0
    2016年05月29日
  • 星籠の海(下)

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    今回は緻密な推理というより、あわただしく大胆な推理だった。馬車道のシーンが少なかったのは残念だったかな。

    0
    2016年04月24日
  • 星籠の海(下)

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    筆者の著者『写楽』なんかを思わせる、ミステリー+歴史ミステリーになっている。ロマンを感じる。潜水艦にも、歴史にも、その長い歴史ありきの瀬戸内海にも。いつもの御手洗シリーズとは少し趣が違うので、上巻でちょっと戸惑ってた自分が嘘みたいに、下巻でのあまりに美しい、謎が解けていくさまに、結構感動した。

    0
    2016年04月22日
  • 眩暈

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    『だからウロボロスなんです。蛇が尻尾をするすると飲み込んでいくと、すぽんと異次元の空間へと消滅する、そういう現象を思惟的に結論しても、さして意味はない。何故なら現実にそういうことは起こらない。

    海の水の総量が茶匙何杯であるかを知ることが可能かと問われれば、明らかにイエスであり、明らかにノーでしょう。

    脳の機能を物質レベルで解明したという時、これが何を意味するかといえば、ほかならぬ脳自身がこれを理解したということです。これはパラドックスなのですよ。

    自分自身とは、永久に握手はできないのです。』

    島田荘司は重たいけど面白いなぁ。

    そもそも島田荘司は重たいので避けてきたけど、そろそろ本気で

    0
    2016年03月05日
  • ネジ式ザゼツキー

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    久しぶりに再読。「タンジール蜜柑共和国への帰還」と、事件の関連が素晴らしいです。そして最後の推理で驚く。こういうことなのか!と驚くけれども筋が通っていてうむむってなるこの感じがいいです。

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    2016年02月10日