島田荘司のレビュー一覧

  • 涙流れるままに(下)~吉敷竹史シリーズ15~

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    吉敷は死刑囚の妻の訴えを聞いて40年前の殺人事件を調べなおし始めた。洗い直すうちに元妻の通子の忌わしい過去にぶち当たる。通子と吉敷の思いはどうして…不覚にも泣いてしまった。吉敷竹史シリーズの中で最高傑作ではなかろうか!

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    2021年04月21日
  • アトポス

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    ハリウッドに現れる血で爛れた怪物...頭の後ろがえぐり取られる連続猟奇殺人...人間が届くはずもない場所に刺さった死体...どこかですり替えられた"本物の"首...
    物語を引き立てる魅力的な挿話を挟みながら、これらの謎を論理的に解決していく。
    どんな謎が出てきても島田荘司は必ず論理的に説明をつけてくれるから安心できる。
    無理矢理感がないとは言わないが、それをも補う筆力が島田荘司にはある。
    必読の一冊。

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    2021年03月12日
  • 龍臥亭事件(下)

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    島田荘司さんの幻想的で非科学的に思われる謎は本当に素晴らしい。そしてその非科学的な謎を論理的に解くのが凄まじい。
    上下巻合わせて1000ページを超える超大作だが、長さは気にならなかった。
    強いて文句を言うならもうちょっと御手洗も出てほしかったかな...

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    2021年03月11日
  • 龍臥亭事件(下)

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    ネタバレ

    (上巻の感想からの続き)
    そういった中でも大トリックを仕込んでいるのが非常に嬉しいし、また、菱川幸子の殺害方法が運命の皮肉さを伴っているのが単なる推理ゲームに堕してなく、小説として余韻を残してくれるのがプライドを感じて嬉しい。

    連続殺人が続くのも、最後の最後まで御手洗を登場させず、石岡という凡人に解決させることにより、不自然さが無い―よく名探偵がさんざん人が死んでおきながら犯人は貴方だ!と誇らしげに指摘する厚顔無恥さがこの作品には無い。昭和初期の殺人事件に基づいて連続殺人が成されたというのも島田氏がこだわる日本人論、昭和論をほのめかしており、しかも忘れ去られるであろう事件を再認識させてくれた

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    2021年02月17日
  • 龍臥亭事件(上)

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    これは新たなる島田氏の代表作だと云っても過言ではないだろう。『秋好事件』のノンフィクションタッチがこの作品でいかんなく発揮されており、島田氏がただ単純にノンフィクションを書いたのではないことも判った。
    巨匠にして新たなる手法を生み出す、この貪欲さは新本格第1期組の、なかなか新作を出さない輩共に見習って欲しい姿勢である。

    『津山30人殺し』をモチーフに、というかそのものを題材にかの御手洗潔のパートナー、石岡和己を主人公にして陰惨な連続殺人事件を繰り広げるというこの設定からして斬新だ。最初は単なる横溝正史へのオマージュだと思っていたが、いやいや、やはり島田氏、オリジナリティー溢れる作品となってお

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    2021年02月17日
  • 眩暈

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    ネタバレ

    1995年。何回目かの再読。
    いきなりデカイ活字で驚く。連綿と手記が続く。事件は1983年。とっても昭和。再読だし懐かしく読む。この頃の御手洗くんはエキセントリック。
    大風呂敷を敷いてむりやりたたむ。稲村ケ崎。インドネシア。

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    2021年02月01日
  • 毒を売る女

    購入済み

    ずっと探していました。

    毒を売る女の内容を15歳の時に読み
    46歳になっても内容が印象的でまた読みたかったのですが、当時の記憶がなく
    作者、題名もわからないままでした。
    やっとそれらしき題名を見つけたので、
    購入しました。
    まさに、読みたかった本でした!!
    当時の印象通り、最高の内容です。

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    2021年01月08日
  • 改訂完全版 斜め屋敷の犯罪

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    トリックのせいなのかいまいち評価されていない感がありますが、御手洗シリーズの中で一番好きな作品です。後半のスピーディな展開がいい。

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    2020年08月30日
  • 御手洗潔と進々堂珈琲(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    島田荘司さん2冊目。凄いぞこのシリーズ!京都大学にある進々堂、2月に行きたいと思っているが、何とドンピシャ本屋で進々堂の文字を発見し衝動的に購入。予備校生のサトルと京大生の御手洗の回想により話しが進む。全ての話がインパクトがあり、ノスタルジーを醸し出し、本当に素晴らしかった。アメリカンパブの美紗、学習障害の店員、IQが低い重量挙げの選手、朝鮮人姉弟、ウィクルの老人と美人ダンサー、全てが圧倒的に面白かった。御手洗のパーソナリティはとてもいいね。以前読んだ「占星術殺人事件」も御手洗さんだったのね。

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    2020年08月11日
  • ロシア幽霊軍艦事件―名探偵 御手洗潔―(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    『アナスタシアは少なくとも2人の男性に愛されていた、そこにロシア皇女としての力と気品を感じるのである。』ロマノフ王朝最後の皇女アナスタシアの数奇な人生を余すところなく描写した。ロシア帝国のボルシェビキは皇帝ニコライ二世の目前で皇女達を凌辱した上で殺害した。この遺恨を胸に生き延びたアナスタシア。彼女が日本軍人と共に箱根の芦ノ湖に巨大な軍艦と共に現れるミステリーの真相は奇跡としか言えない。ボルシェビキに凌辱されてできた子どもの遺恨が時空を超え、憎悪と愛情が噴出する。幽寂とした中に一閃を感じ取れる傑作だった。

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    2020年08月11日
  • Pの密室

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    ネタバレ

    御手洗潔5歳と小学2年の時の事件。幼馴染の橘えり子さんとひょんなことで知り合った石岡君が聞き書きしたというお話二本。御手洗の生い立ち、その人格の基礎となるような出来事などが分かるような内容ながらミステリとしてもきっちり構成された二作。とても面白かった。ただ、石岡君、鈴蘭事件の発表の仕方といい、なんというか関係者に何の了解もなくどんどん書いちゃってるの大丈夫なの……と思ってしまった。御手洗もスウェーデンでびっくりなのでは。まあ、そんな細かいことは気にしないのかな、彼……。
    あと、鈴蘭事件の出だし、里美のボーイフレンド?の刑事との関係にやたらとこだわる石岡君、相当アレでは。君たち、キスとかしたの?

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    2020年07月31日
  • 龍臥亭事件(下)

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    ネタバレ

    面白かった。上巻で二宮佳世が退場したのがこう効いてくるとは。暗闇坂の森さんの例があるから、また物語の導入だけに使われた女性キャラだと思い込んでたら良い意味で裏切られた。

    津山事件についてページ割きすぎとは少し思ったけど、樽元の死際の言葉に石岡くんが忠実だったと思えば納得できる。

    むかでの間での二回の殺人と小野寺殺しのトリックは、斜め屋敷的な感じもあり島荘ならでは。

    ページ数が多いのも、事件の大きいのにも、石岡くんの頑張りにも、全部満足した。おもしろかった。
    私御手洗が好きなんだと思ってたけど、そうでもないのかなぁ。助手が事件に振り回されながらも地道に頑張っていく姿に共感するのかも。探偵の

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    2020年07月30日
  • 占星術殺人事件 改訂完全版

    ネタバレ 購入済み

    面白かった

    あっと驚くトリックでそのまま爽快に終わる、のではなくあれだけの事を成し遂げながら何ひとつ思い道理とならず悲しみの中を孤独に生きてきた犯人への憐憫が尾を引き、すっかりそちらに引き込まれてしまった

    平吉の手記が偽物、までは予想してたんだけどトリックは全然わからなかった。面白かったです。

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    2020年07月28日
  • 灰の迷宮~吉敷竹史シリーズ8~

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    25年間くらいの積ん読本。表紙の絵をよく見ずに『灰色の迷宮』かと勝手に勘違いしていた。足で稼いで推理していく、刑事物。『点と線』を思い出した。

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    2020年07月19日
  • 占星術殺人事件 改訂完全版

    ネタバレ 購入済み

    先に読みたかった

    30代の私は、金田一少年で本トリックを知ってしまっていました。それでもとても面白かった。

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    2020年06月22日
  • 天に昇った男

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    旅先で読むことになり、読みやすい薄さにも関わらず時間をかなり費やしてしまった。
    梗概にも書かれてあったが本作は島田作品の中でも異色の物で、作者本人でさえあとがきで全く予想外に生まれた副産物であると述べている。内容的にはミステリではなく云うなれば幻想小説のテイストを含んだ中間小説とでもなるだろうか、不思議な読後感の残る作品である。
    そして私はこのような作品に弱い。
    島田ミステリに通底する弱者への真心とロマンシズム、これが一貫して物語のBGMとして流れ、進んでいく。最後には珍しく悲劇的な結末で無機質に締められ、読者の心には冤罪に対してのほろ苦さが色濃く残る。
    最後に門脇春男は救われたのか、それは判

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    2020年03月10日
  • 水晶のピラミッド

    購入済み

    名探偵、大不調

    シリーズでも、もっとも不調な御手洗の
    姿が記憶に残る一冊。

    実際ヘンクツな面は色々な作品でも出てき
    ますが、鬱々とした描写が続くのは珍しい
    のでは?

    解決も一捻りあったり、ピラミッドの不思議
    を御手洗が石岡くんに解いて見せたり、色々
    豪華。

    それでも真相が解ると見えてくる登場人物
    の背景なども印象深い

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    2020年02月09日
  • 踊る手なが猿

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    『展望塔の殺人』のように御手洗、吉敷に頼らない短編集でサスペンス・倒叙物・幻想文学・時代物とそれぞれヴァラエティに富んでいる。
    新宿地下街図を「踊る手なが猿」になぞらえた奇抜な発想が見事な表題作、正統派トリック物から一転して意外な真相にいたる「Y字路」もいいが、何といっても最後に収められた「暗闇団子」が白眉だろう。こういう切ない恋愛物を書かせたら島田荘司氏は抜群に上手い。一瞬泡坂妻夫かと思った。これが読めて私は倖せだよ。

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    2020年01月21日
  • ネジ式ザゼツキー

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    初めて読んだミステリー小説でした
    高校生のとき、文庫本で1,000ページくらいあって分厚いのに、大学受験が終わって時間があったので選びました。

    こういう発想がすごい好き。
    眩暈も読みましたが、やっぱりザゼツキーの方が好き。

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    2019年07月24日
  • 奇想、天を動かす~吉敷竹史シリーズ11~

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    ネタバレ

    舞台は平成元年春、ボケた浮浪者が導入したばかりの消費税3%を巡って店員ともみ合いになった末に刺殺した――と週刊誌をしばらくの間だけ騒がして終わりと思われた事件は、薄皮1枚1枚剥がした先に昭和三十二年に起きた北海道の列車内の怪事件と繋がっていく、と言うストーリー。はじめチョロチョロ中パッパ、中盤で提示される5つの事件はまさに奇想天外。

    犯人は冒頭で現行犯で捕まっており、これは最後まで覆ることはない。よって平成の刺殺事件の動機と昭和の事件のトリックがメインの謎として描かれる。ピエロの死体消失トリックは(これ金田一少年の某事件を彷彿させるなぁ…)と思ったらまさにその通りで占星術に続いてやってくれた

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    2019年07月19日