あらすじ
石岡が遭遇した、岡山県の村での大量連続殺人事件の犠牲者はさらに増え、村は地獄絵の模様に……。村人の言う“村の業”とか“因縁”とは何か? 言い知れぬ恐怖が支配する深夜、伝説の男の亡霊が現われた……!? 彼による三十人殺しとは? 現代に甦る昭和史の残忍な悪意とは? 御手洗潔の友人・石岡和己が解き明かす五十数年に及ぶ壮大な謎とトリック! 傑作巨編!
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Posted by ブクログ
石岡くんが事件を解き明かす。ちょっと控えめな回答編かとても好ましかった。
ただ事件自体はとても悲しいもので日本の閉鎖地域での同調圧力によるある種イジメのような状態が引き金となっている。
凝った館にふさわしい難解な事件でとても楽しめた。
Posted by ブクログ
石岡君の石岡君による石岡君の為の物語である。
見所は果てしなく、石岡君の葛藤、御手洗の手紙、犬吠里美との恋路(?)、津山事件をモチーフにしたその舞台背景などなど数多あるが、なんと言っても一番は石岡君の推理を龍臥亭の面々や、警察官連中に披露するシーンだろう。
個人的にはそこが一番心配で一番感動したと言える。
お疲れ様。頑張った石岡君。
まぁ、別れの最後まで健康的な腿がどうとかって言ってんなこいつ(笑)とも思ったが。
こりゃ御手洗も呆れて当然だろう笑
「石岡君、今からぼくが言うことをよく聞き、よく考えて欲しい。今日本には、君のような人がとても多い。能力はあるのに自分が無能だと確信し、勝手に劣等感の井戸の底に落ち込んでいるような人たちだ。そして自分の今の位置が、道徳的だなんて馬鹿げた勘違いをしている。こんな勘違いを助長したがるような輩に、決して耳を傾けてはいけない。連中は取るに足らない小物だからね。
劣等感に落ち込むことは、全然美徳なんかじゃない。周囲に迷惑をかける、ただの怠惰さにすぎないんだよ。君たちは揃って、早くそこから這いあがらなくてはいけない。そのための手助けなど、ぼくは決してしないぜ。また、誰にもできはしないんだ。一人でやらなくっちゃね。そのために、ぼくが今君をおだてることもしない。
君に言うべきことがもうひとつある。その場にいる多くの人たちは、まだ君が救世主だということを解っていない。口にも出せずにいる。しかし君の力が発揮されるのを、羊のようにじっと待っている。みな、君の救けを期待して、辛抱強く待っているんだよ。大衆とはそういうものさ。この一件は、君の力が試されている。君は運命にきちんと応えなくていけない。それは君の義務だ。人命がかかっているんだぜ、自分にはそんな力はないなんて勝手な屁理屈をこねて、楽をしないでくれたまえ。
一生井戸の底にじっとすわっていたいのなら何も言わないが、そこだって居心地がいいばかりじゃなかったはずだ。そろそろ立ちあがって、井戸をよじ昇る頃合いだ。君がまごまごしている間に、また人が死んでしまう。必要なら、ぼくのやり方をよく思い出してくれたまえ。繰り返すが、君はもう充分に経験を積んでいる。一課殺人班の若手刑事なんかよりも、今や君の方がずっとベテランなんだ。材料の集め方も、分析の必要性も、直感の大事さも、すべて君は知っている。あと君に必要なものは、自信だけだ。成功することを信じているよ。頑張れ。」
実際起こった事件だけに。
最後に犯人が判明するまで、ドキドキさせられました。
複雑なトリックにも感心しましたし、偶然にも重なった殺人事件により物語に深みが増し、充足感が得られたように思います。
本小説の関連本も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
島田荘司さんの幻想的で非科学的に思われる謎は本当に素晴らしい。そしてその非科学的な謎を論理的に解くのが凄まじい。
上下巻合わせて1000ページを超える超大作だが、長さは気にならなかった。
強いて文句を言うならもうちょっと御手洗も出てほしかったかな...
Posted by ブクログ
(上巻の感想からの続き)
そういった中でも大トリックを仕込んでいるのが非常に嬉しいし、また、菱川幸子の殺害方法が運命の皮肉さを伴っているのが単なる推理ゲームに堕してなく、小説として余韻を残してくれるのがプライドを感じて嬉しい。
連続殺人が続くのも、最後の最後まで御手洗を登場させず、石岡という凡人に解決させることにより、不自然さが無い―よく名探偵がさんざん人が死んでおきながら犯人は貴方だ!と誇らしげに指摘する厚顔無恥さがこの作品には無い。昭和初期の殺人事件に基づいて連続殺人が成されたというのも島田氏がこだわる日本人論、昭和論をほのめかしており、しかも忘れ去られるであろう事件を再認識させてくれたのも作者の真面目さだと思う。
あと最後の最後であっと云わされるミチの正体。こういう演出が心憎い。
この頃の島田氏の創作意欲は衰えを知らず、毎年1~3冊の新作を発表している。恐らくこの作品はその口火となったように記憶している。読んでみてやはりこの作品は新生島田荘司氏の誕生を高らかに宣言しているように感じた。
本当に素晴らしい作家だ、島田氏は。
Posted by ブクログ
面白かった。上巻で二宮佳世が退場したのがこう効いてくるとは。暗闇坂の森さんの例があるから、また物語の導入だけに使われた女性キャラだと思い込んでたら良い意味で裏切られた。
津山事件についてページ割きすぎとは少し思ったけど、樽元の死際の言葉に石岡くんが忠実だったと思えば納得できる。
むかでの間での二回の殺人と小野寺殺しのトリックは、斜め屋敷的な感じもあり島荘ならでは。
ページ数が多いのも、事件の大きいのにも、石岡くんの頑張りにも、全部満足した。おもしろかった。
私御手洗が好きなんだと思ってたけど、そうでもないのかなぁ。助手が事件に振り回されながらも地道に頑張っていく姿に共感するのかも。探偵のような天才的なひらめきはないから……。
石岡君今後もこの調子で頑張れ~!! 御手洗はこの事件について、最後の電報を受け取ってからなんか反応してくれたのかしら……。してあげてくれ~。
ただし石岡君、里美ちゃんにはあんまり男性的な下心を持ってくれるなよ~。30歳近く差があるんだから……頼むよ~。
あのお母さんは娘がどんな男を連れてきても気にしなさそうではあるけれども……。というか里美ちゃんの石岡くんへの気持ちがさっぱり読めん。どうして二回もキスしたの?
島田荘司の描く女性って、どうもぴんと来ないんだよなあ。ミチさんの考え方もどうしてもぴんと来ないし……。吉敷シリーズを読めばわかるようになるのかな。今回出てこないけどレオナさんも、嫌いじゃないけど気持ちがあんまり理解できないというか……。「賢くて」「ピンチから救ってくれた」男性を自分の騎士のように思って好きになる、というパターンなんだろうか? そういう男性に惹かれるのは分からないでもないけど、でもうーん……。
Posted by ブクログ
津山三十人殺しをベースにした一連の殺人事件が結末を迎えます。
下巻は大部分が都井睦雄に関する記述でした。ここは創作ではなく、筑波昭氏の「津山三十人殺し」を参考に、ほぼ事実であることがあとがきに記されています。
津山三十人殺しは有名なので知ってはいたものの、内容はうろ覚え。
このようなことが起こっていたのかと、悲しいような息苦しいような気持ちになりました。
これまでも、島田さんの描き出す「日本人論」は鋭く核心を突いていると感じていましたが、ここでもその本領を発揮しています。
私が幼少の頃から、なんとなく感じ続けていた「日本人」というもの、そして「田舎」というものの、感覚では分かるのだけどうまく言葉にできない本質を、うまく言い当てられたような気がしました。
そして石岡君、御手洗からの助言に助けられたところはあったにせよ、自力でよくがんばりました。
ミチ親子を助けるために体を張る姿は格好良かったです。
Posted by ブクログ
大傑作。昭和初期の犯罪史に興味がある人に最適。津山事件のくだりはどこかで読んだ覚えがあったが、『津山三十人殺し』のほぼ完全な引用だった。すごく書きたかったことが明確で、トリックとか謎解きは、ただのエッセンスに感じる。
あと、この話の続編が、またさらに感動的でたまらない。途中で気付く人は気付くのだろうけど、気付かずに読めて驚きが押し寄せてきたので幸せだった。
Posted by ブクログ
龍臥亭事件という作品が自分のなかで大好きで、思い入れの深い作品なのは、石岡さんが、事件を解決したいと深く願い、他には誰も頼れないとなんとか自分の頭で必死に、本当に必死に考え、推理し、ボロボロになりながらも、事件の謎を解いていく姿が描かれているから。
御手洗潔という超人の活躍をその傍で振り回されながら見守るしかない石岡さんの姿はそこにはなく、必死な凡人のもがきが私の心を打ちました。
霧のなかの幻想的な舞台にて行われる犯人との格闘、そして終幕、石岡さんの手による真相披露が描かれる第12章からエピローグにかけては、御手洗シリーズ屈指の名シーン名場面の連続でした。
Posted by ブクログ
長かったです。
それにつきますね。
この作品は無理に真相を暴こうとしても
無駄骨になる作品なので
おとなしく読んだ方がいいですよ。
しかし、とある多人数殺人事件は
悪しき習慣の蓄積だったんですね。
確かにあの人は鬼畜だったけれども
よく読むと無関係な人には
鉄槌を落とさなかったのです。
そう、落としたのは
けなしたものだけ。
そして現代の犯人に関しては…
一番悲しい事実が出てきましたね。
そして真相部分にも悲しいものが…
皮肉にも…
御手洗なき事件でしたが
なかなかおもしろかったです。
Posted by ブクログ
石岡くんのリハビリ?だけど、最後まで読んでるとなんだか切なくなってしまった。石岡くんなりに一生懸命な解決しようとするその姿に思わず、頑張れと応援しながら読んでいました。
Posted by ブクログ
援助交際が大々的に取り上げられていた矢先に犬坊里美と石岡くんの恋愛要素を描く辺り、何気に時代に迎合している要素も描いている島田荘司の抜け目のなさと、御手洗からの手紙が冴える一作。
歴史モノに逃げると作家は才能の虎穴を囁かれるけれど、私としては、その虎穴の象徴が犬坊里美って気がしないでもない。
ラストシーンの印象も含め、面白かった今作を最後に、ここで私は以降の長編作品には手を伸ばさなくなった。
Posted by ブクログ
長い大作。御手洗が居ないけど人気のある評価の高い作品らしい。読んで納得。
石岡くんらしい形はとても好ましい。
出てる事件はどれも実在したものでびっくりだった。島田荘司の作品は結構実在した事件を下敷きにしたものが多いけど虚構と現実の境が曖昧で、実話をなんと上手く小説として組み込むのだろうと感嘆する。
この話の石岡くん、40代前半かな?
女子高生にドギマギしてるのはちょっと引くけど石岡くんだから許そう。
Posted by ブクログ
龍臥亭事件下巻。
島田荘司の本を読むたびにこの人のトリックってトンデモだよなぁと思う。実際にやろうと思っても絶対できんだろ、という。でも、それが全然嫌じゃないのがすごい。むしろ、「待ってました!」という気持ちになる。もはやお家芸だと思う。
それはわくわくするような設定と上巻から下巻にかけて着々と積み上げられてきた情景描写によるものだと思う。ロマン溢れる人里離れた温泉宿、そこにある伝説、謎の死…そういった現実離れした設定にのめりこんでいると、最後トリックがトンデモだったとしてもむしろOKとなる。そういう世界観だから、という感じだろうか。
けなしているように感じるかもしれないけれど、私は島田荘司のそういう所が素晴らしいと思う。
Posted by ブクログ
下巻も600ページ近くあるが、先が気になってスラスラと読めた。
ただ、そのうち200ページ程を実際の事件『津山三十人殺し』についてに割いている。
この事件は日本の事件史上インパクトがかなり強いものなので知ってる人も多いと思う。
そういう人が読むとこの部分はこんなに必要だったのか?と思うかもしれない。
私も途中石岡くんのこととかを忘れて、違うものを読んでる気分になった。
それでも事件についてはおおよそは知ってはいたが、細かいところまでは知らなかったのでなかなか興味深く読めた。
睦雄がしたことはどんな同情の余地があっても許されるものではないと思うが、それを引き起こす原因にもなった周りの差別や村の独特の閉鎖性も本当に罪深いことだと思った。
作者はそういうことを訴えたかったのだろうな思えるほどこの睦雄の部分は力が入っていたように思う。
石岡くんは途中頼りなく思えるところももどかしいところもあったけど、最終的には事件を解決して前に進めるようになったようで良かった。
お疲れさまと心から言いたい。
あとは、吉敷シリーズとちょっとリンクしていたらしいがそっちのシリーズは未読なので解説読むまで気づかなかった…。
Posted by ブクログ
津山事件のことが詳しく書かれている
津山事件はインパクトがあったので以前から知っていたが
他の事件は猟奇的なのに知らなかった
御手洗からの手紙は石岡への愛が感じられるのに
石岡がネガティブ過ぎてイライラした
最終的には石岡も御手洗の気持ちを分かっていたようだが
里美ちゃんもやっぱり育子さんの血を引く娘さんなのだな
Posted by ブクログ
御手洗潔シリーズ、10作目。上下巻の長編。
今作は御手洗本人はほとんど出て来ず(手紙だけ)、石岡くんが完全なる主役。もう少し御手洗の助言もあるのかと思いきや、石岡くんがほぼ自力で事件を解決するという展開は意外かつ感動。やればできる子なんだな、石岡くんも。
題材はかの有名な津山事件。と言いつつ、事件の名前くらいしか知らなかったので、まさかノンフィクションレベルまで引用しているとは思わなかった。確かにフィクションにしてはやけに生々しい描写だなぁと思っていたから、ほぼ実話と後で知って、驚愕と同時に納得。作中で起こった見立て殺人よりも興味深く読めた。ただ、一部の人名、地名は仮名にしてあったとしても、ここまではっきりと描いてあれば仮名の意味もないわけで、となると、完全なるノンフィクションならまだしも、フィクションの事件と織り交ぜるのはいいものかと老婆心ながらも心配になる。昭和の初期とは言えど、まだまだはるか昔とは言い難い。内容が内容なだけに、フィクションとノンフィクションの描写のバランスが危うく感じてしまった。とは言え、一読の価値ある大作だとは思いますけどね。
Posted by ブクログ
一気に後半も読み終わった。後半になると話が昭和犯罪史の様相を呈してきた。昭和初期に実際に起きた猟奇的事件の見立て殺人と言う落ちに、複数犯という解決は少し無理があるような気がするが、意外性と言う意味では十分楽しめた。
ただ、その昭和犯罪史の同じ説明が何度も出てきたり、後半の延々200ページにわたる津山事件はルポとしては面白く読めるがこれがいくら主人公?の心情を描くためとはいえ、ここに挿入される必要があったかは疑問。綿密な取材の後はわかるが、架空の物語に実話を挿入するには無理があるし、これはこれで別個の作品にした方が良かったのでは?
ともあれ、迫力満点の筆力で、因習にとらわれた村とそこで起きる連続殺人事件を見事に描き切ってある。ほかの作品も読もう。
Posted by ブクログ
悲しいとしか言えない。
龍臥亭事件を読んで胃が痛くなった。
物語と関係ないわけじゃないけど、石岡君の美人なら何をしても許される的発想がすこし怖いなと思った。
美しくないと同情しないのか…?
男だなと実感する。
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ネタバレ?→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→石岡さん、津山事件知らないの?びっくりだわ。あんな有名な事件を知らないなんて。だから御手洗登場しなかったんだ。だってさすがに御手洗が津山事件知らないって不自然だし、津山事件を知ってる御手洗ならあっさり看破する事件だったし。石岡さん、昭和の事件、知らなすぎだよ。
Posted by ブクログ
再読。陰で活躍していたあの人の独白と最後には頭が下がる。こういう気骨はもう過去の物なんだろうなぁ。
真犯人には作者にやられた感…術中に嵌まってた~。 動機には面食らうが、この恐怖は当事者だからこそで止められないのかもしれない。因縁という言葉が作中よく出てきたのも頷けた。
Posted by ブクログ
あまりに有名な、現実に起こった「あの事件」をモチーフとした作品。これは超大作。なんといっても「龍臥亭」が凄すぎる。これはぜひ、訪れてみたいような館だなあ。
密室?トリックもさながら、動機には唸らされたなあ。ひとつひとつは単純そうに思えても、複雑に絡み合った様がなんともいえず魅力的。後半に入ってからは一気読み間違いなしの作品。しかし御手洗……あの電報だけで解れってのはあまりに酷な話でしょう(笑)。
ちなみに個人的には、見立て殺人?のユーモアがかなり好きだったりも。この解釈にはかなり笑えた。だから鳥の絵だったのか……(爆笑)。
Posted by ブクログ
御手洗潔シリーズ。(?)
今回は石岡和己が探偵役です。
御手洗が石岡に優しい手紙を出しています。
そこも結構重要な見所ですヨっ!!
お話し自体は津山三十人殺しが題材になってます。
調べてみるとかなりそのまんまです(笑)
相変わらず上下共分厚いですが、
私は面白くてサクサク読めました。
石岡探偵も結構様になっているのでは??
Posted by ブクログ
上巻で見え隠れしていた津山三十人殺しが下巻では主役になっていた!
あまりに詳細で、その章が明けたのち、関係者の名前や関係性を若干忘れかけていたほど。
以下ネタバレ
龍臥亭がもぬけの殻になってたところは幻想小説めいて怖かった。石岡くんがとにかくふにゃふにゃしてるので、いい具合に不安さが増した。
全編通して私はとにかく幼女の無事を祈っていて、4歳の子を連れて夜中に百度詣する母親にマジでやめてほんとやめてと石岡ばりに懇願していた。
もうクライマックスシーンとか言わんこっちゃなさすぎて…
石岡くん、ボロボロになりながら頑張ったなぁ。再現実験してたとき、思ったとおりになるかどうかハラハラしていたのは新しい感覚。確かに名探偵たちってなんであんな自信満々に再現できるんだろ。
旅館ものの推理小説読んだあとにちょいちょい気になる「あそこの家、これからどうすんだろ」問題。私としては夫を殺され情夫がえらいことをしでかした女将さんが最後まで割と平気な顔してたのがちょっと怖かった。これからどうするのか気になるな…。
石岡くんが長男を疑ってたのと同じくらい私は女子高生を疑っていましたよ。
最後までちょっと気持ちが悪い石岡おじさんでしたが、大冒険を経て石岡くんをやや好きになった私なので上巻ほどのムズムズ感はなくなんとかギリスルー。
Posted by ブクログ
龍臥亭事件というよりは都井睦雄の真実。
この都井睦雄の真実が本編(?)より遥かに面白かった。
石岡さんが謎を解いたというよりは、
謎は勝手に解けていった感じ。
そりゃ御手洗潔が出てこないはずだなと思ったり。
いわゆる真犯人も唐突且つ不自然に退場した彼女で、まあ、そりゃそうだよなって感じ。
Posted by ブクログ
「御手洗が去った後に鬱々としていた石岡君が、一念発起して依頼人と二人旅か~やるじゃん石岡君(*^ω^*)」
と、旅行の目的(悪霊祓い…)は置いといてほのぼのしていた序盤から一転。イッちゃってる同行者(女)に導かれるままに、一路西へと向かう二人。もちろんロマンスのロの字もなく、ひたすら真っ暗闇の行程にビビる石岡君がおかしい(笑)。
曰く有りげな元旅館に二人が転がり込んでからは、展開がまあ早い早い。
【密室状況に次々と転がる銃殺体のオンパレード!】
からの、
【悍ましい死体装飾】(*_*)ひいいい
幾らなんでも過剰過ぎるんじゃないですかううう…(泣)とページの端を摘まみながら読み進めていくと、どうやら戦前の猟奇殺人に酷似した殺害方法だということが判明。
被害者を量産しながら、事態は加速度的に展開していきます、が。
御手洗探偵、結局出てこないじゃないの\(^^)/石岡君ドンマイ
助手史上稀に見る(関口君もいい勝負かな(笑)自己評価の低いワトソン・石岡君が、起死回生の推理披露!警察官達がそろって石岡君に「教えて下さいよ~」ってやるシーンは、悶絶するくらい嬉しかった(笑)。「え、説明?何を?」なんて、空っとぼけるんじゃなく、素で言ってるんだからな~愛しいわ!笑
トリックそのものは、作中でくどいくらいに仕掛けのある部分の描写をしてるので簡単に見当がつきます。
ただ、犯人はちょっと意外でしたね。ネタバレになるので言及しませんが、アンフェアな点もあります。
とはいえ、今作のハイライトは、やはり事件そのものではなく実際に起こった「津山事件」を題に取ったことでしょう。
下巻の後半で語られる津山事件の犯人・都井睦雄の生涯と、つぶさに語られる犯行当夜の状況。当時不治の病とされていた肺結核を理由に、それまで懇意にしていた女性達から拒絶されたことに腹を立てた故の凶行が、淡々と語られます。
もちろん、無辜の人々まで手にかけた彼に同情の余地は一片もない、と私自身は断じるのですが、ほんの一人でも彼に救いの手を差し伸べる人がいたらどうなっていただろうと考えてしまいました。
殺害方法や動機はもちろん、村の因習や偏見も恐ろしいと思ったのですが、読んでいて一番ぞっとしたのが、事件には何の関係もない善意の第三者の証言でした。
「彼は、世間で言われとるような人じゃあない。あの人は優しい、本当にええ人じゃった」
これが、三十人の村人を情け容赦なく殺戮した殺人者に対しての評価です。凄まじい地獄絵図を一夜にして描いた男の持つ別の一面性が訥々と語られるのですが、その穏やかな語り口に、何故か命乞いする人々の描写よりも胸を引き絞られました。人間失格の「……神様みたいないい子でした」にも震えたけど、この一文も凄いなあ。
捜査が進むにつれ、明らかになってくる「三十人殺し」との類似性に着目した石岡。やがて、彼は「好色の人非人」として忌み嫌われた三十人殺しの下手人の意外な真の姿に触れる。
時を経て繰り返される大量殺人は、果たして彼の意思を継いだ何者かの仕業なのか?
Posted by ブクログ
下巻では半分くらいが睦雄の話。
睦雄の大量殺人事件というよりは、
偏見、差別について考えさせられる話。
額に書かれた7の数字。
1度盗まれ、装飾されて再び現れる死体。
阿部定事件から、徐々に謎に迫って行く石岡。
本当に狙われている人物を知り、彼女達を守るために奮闘する。
意外な犯人と、幽霊の正体。
Posted by ブクログ
長かったなー
読んでる間に間延びしてしまった。
本格は長すぎると謎に対する情熱が薄れていくと感じた。
半分は、津山事件のノンフィクション。犯人の名前とか、事件の経過は事実だと途中で気付いた。