【感想・ネタバレ】涙流れるままに(下)~吉敷竹史シリーズ15~のレビュー

あらすじ

警視庁捜査一課刑事・吉敷竹史は、夫の冤罪を主張する老婦人に出会う。その恩田事件とは、昭和33年に盛岡で起きた一家惨殺事件だった。吉敷は単身、再捜査を開始! ところが、盛岡・釧路で対面した関係者はなぜか、別れた妻・通子と因縁の深い人ばかりだった……。日本の冤罪事件に、職を賭した一人の刑事と、元妻の凄絶な過去! 奇才が放つ感動巨編!

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Posted by ブクログ

吉敷は死刑囚の妻の訴えを聞いて40年前の殺人事件を調べなおし始めた。洗い直すうちに元妻の通子の忌わしい過去にぶち当たる。通子と吉敷の思いはどうして…不覚にも泣いてしまった。吉敷竹史シリーズの中で最高傑作ではなかろうか!

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2021年04月21日

Posted by ブクログ

下巻では、通子は現在自分が置かれている状況を打開すべく、過去と見つめあい、行動を起こします。様々な悪しき過去を振り切って、行動する通子に強さを見出せるようになります。

そして吉敷も、冤罪事件を解明しようと行動します。上司にたてつく姿はわたしが今まで読んできた吉敷シリーズの吉敷と何ら変わりがありません。

一旦途切れかけた通子と吉敷の運命の糸が、また交差し、結びついていく様もとてもよく描けていると思います。

御手洗シリーズとはまた違った、社会派ミステリとしての本作は、冤罪事件について様々な知識を与えてくれ、現在の日本の裁判システムに疑問を投げかける秀作だと思いました。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(上巻の感想からの続き)

そして吉敷。
この男はシリーズを重ねるたびに存在感を増しており、しかも言葉遣いも心なしか変わってきているようだ。登場当初は単なる刑事に似つかわしいダンディという設定以外、何の特徴もなかったが通子の登場、上司との軋轢、殺人課での孤立という状況変化を経て、その人と成りがヴィヴィッドに浮き上がってきている。

今回、刑事が冤罪事件を調査するという仲間の手柄を覆す裏切り行為を行うことをやってはならないことを知りながら行うことで、吉敷の刑事辞職という設定を持ってきたのはよかったが、最後の最後で救われることが自分的によかったのか悪かったのか判断がつかない。
刑事を辞めれば通子と暮らせる、しかし刑事をしなければ悪は倒せない、この二律背反の状況の中、自分としてはやはり辞職をして通子との暮らしを選択して欲しかった、吉敷の、例えば探偵としての第2のスタートを見たかったという気持ちがあり、これにはちょっと肩透かしを食らった感がある。
しかしよくよく考えてみると、一方では御手洗潔というエキセントリックな探偵を配しているので、もう1つの探偵物は不要なのだった。吉敷シリーズとこれからも付き合っていくことを考えれば今回の選択は正しかったのだ。

今回、この600ページ前後の上下巻では島田氏の語りたいテーマがかなり網羅されているように思う。
冤罪事件、組織改革、記憶もしくは脳に対する研究。
これらをモチーフに通子と吉敷のストーリーを仕上げる手腕は相変わらず凄まじさを感じる。人物を語ることに重きを置いたこともあり、不可能犯罪的要素は薄められてはいるものの、やはり最後で切断された首の問題、殺人現場の不具合を論理的に解明するあたりは島田本格面目躍如といった感じだ。

最後に用意された吉敷の鬱屈感を一掃する実の子との対面と警部昇格の知らせは盆と正月が一度に来たようなもので吉敷シリーズの第一部フィナーレを飾るに相応しい幕切れだった。
しかし、通子の業はまだ続く。恐らくはまたもや暗鬱な日々が二人に訪れることだろう。
だからこそ、中年を過ぎた二人に似つかわしい甘いやり取りもまた許せるというものだ。

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2021年06月03日

Posted by ブクログ

吉敷刑事の元妻通子の過去に、冤罪事件が絡み合ってかなりの重厚な作品となっている。かなり思うものは多い。
元々、御手洗潔のシリーズより吉敷刑事のシリーズのほうが好きなのだが、通子の過去というファクターが加わって興味を増した。

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2021年02月20日

Posted by ブクログ

吉敷シリーズ。読むのが本当に辛い、苦しい、重い。ここまで主人公達を追い詰めなくてもいいんじゃないかと思う。ラストがあるから読後感はいいけど、今後読み返すとしても、下巻の後半のみ。それ以前は読み返したくならない。最後で、嫌なのを我慢して読んだ甲斐はあったと思えるけど、あんまり人には勧められない。せっかくの冤罪などのテーマが、性的描写の多いせいで読者に伝わらないのじゃないかと思ってしまいます。

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2009年10月04日

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