島田荘司のレビュー一覧
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ネタバレ歴史に疎い私でも、興味がそそられる内容で夢中になり、仕事の隙間時間に2日で上下巻読んでしまった。
既読の再読であったが、何度読んでも御手洗シリーズは面白い。
話の展開が御手洗シリーズは最高。
最初は島に流れ着く謎の死体たち
次は女優を目指す女と流される男と看護学生の話
この二つが全く話が変わるのであるが、それぞれがまたかなり興味をそそられる内容になっている。いつかどこかで繋がるんだろうとドキドキしながら読み進めるも、今度は大学教授と歴史の話、そして造船所の社長と飲み屋の母を持つ子供の話になり、最後の最後で全てが繋がっていく。
それぞれの登場人物の描写が繊細で、とても感情移入しやすい。情景が浮か -
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松崎レオナが精神科医と話す冒頭から話はエリザベート・バートリー伯爵夫人の物語へ。読み応えのある「長い前奏」の先にはレオナ主演の映画「サロメ」のロケ撮影風景が始まり……
全ての謎を解き明かす御手洗に酔いしれるシリーズ屈指の逸品!!→
めちゃくちゃ面白い!!979ページと言ういわゆる「鈍器本」なんだけど、読みやすい文章、見事なキャラ立ちでいつまでも読んでいたくなる。
特に、バートリー夫人の話は最高……最高だよ!
冒頭のレオナも合間に挟まる中国の人魚も心臓の血を吸う描写も、全部!全部島田御大は回収するから!!!→
もう、安心して読んでくれ!
750ページぐらいまでは全体に靄がかかっていて不安にな -
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つい先日、あるTV番組で伊根の舟屋を観た。
今の日本にもこんな舟屋があるなんて知らなかった。
伊根ブルーと言われる海の透明さに驚き、舟屋の並んでいる光景に何故か郷愁を感じた。
…で、この「伊根の龍神」が積読になっているのを思い出し速攻で読む。
石岡先生と麗羅が、伊根の舟屋に泊まりUMAだろうと思われる怪物を見ようとするまでは軽快な感じで進むのだが、この伊根に伝わる海の守り神が龍神という伝説だろう…と思われたが。
1970年のよど号ハイジャックや拉致事件などに触れつつ進んでいくのは、工作員絡みでもあったのだが、最後の最後になり御手洗登場でさらさらっと全ての謎を解いてしまう。
南吉さんの人生 -
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ネタバレ中年刑事が連続放火と幻の女の謎を追う内に、大都市東京が抱える孤独や歪み、ひとりの女の悲哀に満ちた人生が浮かび上がる。
わずかな手掛かりを元に、幻の女の身元を捜査する過程は、古き良きトラベルミステリーのようで心踊るものがあった。
女の姿がはっきりした像を結び始める頃には、どこかこの女の境遇に同情し、シンパシーを感じ始めていることに気づかされた。
主人公もその想いを抱いていて、彼と共になんとかこの女の罪が見過ごされ、このまま捕まらないことを祈ってしまった。
女の動向には東京という大都会の性質のようなものが隣り合わせで存在していたし、事件にも深く東京が影を落としている。
現代社会が生 -
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ネタバレ島田荘司の作品にハズれなし。素晴らしいホームズ・パスティーシュなだけでなく、夏目漱石のユーモア溢れる文体までそっくりに書いていて、尚且つしっかりと本格ミステリの醍醐味を味わえるのだから恐れ入る。
謎がとても魅力的。密室状態の部屋で死体が一瞬でミイラ化、外からの侵入は不可能、果たしてトリックは如何に? ミステリ好きなら涎が垂れるであろう。私は垂れた(笑)。
巻末のエッセイは島田さんの少年期のエピソードが知れて興味深かった。私も世代は全く違えど、小学生の頃の愛読書は江戸川乱歩の少年探偵シリーズだったので共感である。
本作を「総ルビ版」として再刊行した意義についても触れられており、推理小説 -
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世田谷区成城。世間では高級住宅街というイメージが強い場所だが、そのはずれ、〈私〉は、世間のイメージからはほど遠い建売住宅が密集した地域に住んでいる。成城学園前駅方向は小高い丘になり、丘の中腹から高級住宅街がはじまる。だから私は、荒んだ気持ちを抱えながら、そのあたりを『丘の上』と呼んでいる。〈私〉と同じように〈丘の下〉に住むとある老人がいて、認知症の疑いもあるその老人は奇行を繰り返していた。老人の真意とは――「一章 丘の上」
ということで、本作は独立した短編としても読める三つの短編と、その短編が繋がり、ひとつの大きな輪をつくる「終章 網走発遙かなり」の全四章で構成された物語になっています。