島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻では、通子は現在自分が置かれている状況を打開すべく、過去と見つめあい、行動を起こします。様々な悪しき過去を振り切って、行動する通子に強さを見出せるようになります。
そして吉敷も、冤罪事件を解明しようと行動します。上司にたてつく姿はわたしが今まで読んできた吉敷シリーズの吉敷と何ら変わりがありません。
一旦途切れかけた通子と吉敷の運命の糸が、また交差し、結びついていく様もとてもよく描けていると思います。
御手洗シリーズとはまた違った、社会派ミステリとしての本作は、冤罪事件について様々な知識を与えてくれ、現在の日本の裁判システムに疑問を投げかける秀作だと思いました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わりました。
なんて悲しい結末。。。
「Pの密室」の「P」は、ピタゴラスの「P」とは。
読み終えた今は、「parents」の「P」でもあったのかなと思っています。母子。
御手洗の未来がわかってしまう辛さが、よくわかりました。
第一話の「鈴蘭事件」は、すずらんに毒があることを途中で仕入れてしまいました。。。
でも、真の首謀者は……。分かりすぎてしまう潔くんには、辛いですね。
そして、幼少期の友達のえり子。
御手洗を慕う少女でしたが、この事件の真相に自身の考察で辿り着いたのは、すごい。
彼女の人生の執念だったのかもしれませんね。
全体の感想は、御手洗の子供時代が舞台ということもあり、読む前は「少年探偵団みたいなタイプかな」とか思ってたんですが、いやもう、島田荘司トンデモ砲でしたね。
御手洗潔は、幼少期から神がかった知能をもちながらも、複雑な家族環境が彼を形成して「しまった」のでしょうね。深い。
御手洗潔の生い立ちも知れて、これまでの、またこれからの御手洗潔シリーズに深みが出ますね。
後日談はないかもしれませんが、御手洗は今のえり子に会ってあげて欲しい。
きっと、彼女の心のモヤが晴れると思います。
あ、馬夜川にも笑 -
Posted by ブクログ
占星術は詳しく知らないけれど、
「毎日星の動きを追いかけながら暮らしてるとね、この惑星の上でのわれわれのささいな営みには空しくなる」
とつぶやく名探偵御手洗さんには共感できる…
6人(と思われた)の若い娘達の(死体遺棄地点)が東経138度48分と、邪馬台国の卑弥呼が行ったと考えられる亀卜や鹿卜の伝わる神社が東経139度線に乗っていることに関連づけられたり、、相棒の石岡さんが1人で解決しようと京都を奔走し人形作り師の話に入れ込んで名古屋の明治村まで行ったり、、犯人が罪を犯した後に大陸満州で過ごして帰国後も九州に潜んでいたという事実、、時代・歴史や地理に思いを馳せながら読み進めた…
自分はホームズがすきだが、御手洗氏も人間くさい彼のファンという
6人の娘の父が遺したと考えられた猟奇的殺人動機の手記の丁寧な読みを行う冴えた時の御手洗氏と、鬱状態になっている時のソファから2、3日動かない病態との差、ワトソンではないが石岡氏に「淋しくなれば君もいてくれる,ぼくは一人ぼっちじゃない」(名前を売ったり仕事を増やしたりには全く興味がない)という彼の生き方、、も味わいながら
最後まで生まれ年と時刻で性格が決まるという占星術のマークはよくわからなかったけれど、これらのマークと女性肢体の切断の解剖図の挿絵がやはりショッキングなミステリーでした… -
Posted by ブクログ
島田荘司『占星術殺人事件』の詳細なあらすじです。以下は結末まで含む完全ネタバレです。
ネタバレ気にする人は読まないでくださいね。
物語の発端は1936年2月26日です。東京では二・二六事件が起こったこの日、画家の梅沢平吉が自宅の離れにあるアトリエで殺害されます。平吉は後頭部を殴られて死亡しており、アトリエは内側から鍵がかかった密室状態になっていました。外は大雪で、周囲の雪には男と女と思われる二種類の足跡が残されていました。
平吉の死後、アトリエから奇妙な手記が発見されます。その手記には、平吉が「アゾート」と呼ぶ究極の女性を作り出そうとしていたことが書かれていました。アゾートとは、六人の若い女性から身体の各部分を切り取り、それぞれの最も優れた部分を組み合わせて、完全な美しい女性を作り上げようという恐ろしい構想です。平吉は占星術にもとづいて、どの女性から身体のどの部分を取るかまで計画していました。
この手記が後に起こる事件の重要な伏線になります。平吉が殺されたにもかかわらず、その後、手記に書かれていた計画そのものを実行したかのような猟奇殺人が起こるからです。
梅沢家には多くの女性が関係していました。その中でも重要なのが、平吉の娘たちです。一枝、知子、秋子、雪子、時子、礼子、信代らが事件に巻き込まれていきます。特に時子は、平吉と前妻・多恵との間に生まれた娘で、この複雑な家族関係が事件の動機に深く関係しています。
平吉殺害からしばらくして、長女の一枝が一人暮らしをしていた自宅で殺害されます。一枝は後頭部を殴られて死亡していました。さらに一枝は殺害された後、性的暴行を受けたように偽装されていました。体内からは男性の精液が検出されたため、警察は男性が一枝を襲って殺害した可能性を考えます。
その後、平吉の手記に書かれていた「アゾート計画」を現実に再現するかのような大事件が起こります。平吉の家族である六人の若い女性が次々と犠牲になり、遺体が日本各地から発見されます。
遺体には共通する特徴がありました。それぞれの身体の一部が切断されていたのです。そして、その切断された部分は平吉の手記に書かれていたアゾート計画と対応していました。
そのため警察は、平吉が生前に書き残した「六人の女性から身体の一部を切り取り、究極の女性アゾートを作る」という計画を、誰かが実際に実行したのだと考えます。
遺体は日本各地に分散して捨てられていました。1936年当時にこれほど広範囲へ遺体を運搬するには大変な労力が必要です。犯人自身がすべてを行ったと考えると、かなり大掛かりな犯罪になります。
以下、ネタバレです。
この事件を占星術師である御手洗潔が解いていきます。
一枝殺害事件に関係していた警察官の竹越は、事件当日に一枝と会ったと考えていました。しかし実際には、そのとき竹越が会っていたのは、すでに殺されていた一枝本人ではありませんでした。一枝を殺した犯人は、その後、一枝になりすまして竹越の前に現れていたのです。また、6人の女性を殺したのも同一人物でした。
その人物が時子です。
時子は一枝を殺害した後、一枝になりすまして竹越と接触します。そして竹越と性的関係を持ちます。その結果、竹越の精液が一枝の死体に残ることになります。これによって、警察から見ると「一枝が殺される直前まで生きており、その後、男性に性的暴行を受けて殺された」という状況が作られます。
竹越自身は、自分が一枝殺害に関係してしまったのではないかと疑われる立場になります。時子はこの竹越の弱みを利用します。そして竹越を脅迫し、後の犯罪に協力させることになります。
他の5人の娘を殺した時子は、彼に遺体の運搬をさせます。つまり、全国各地に遺体を運んだのは、竹越です。竹越は自分が事件の犯人として疑われることを恐れ、時子の命令に従うことになります。
しかし、この事件にはさらに大きなトリックがあります。
実は、世間や警察が考えていたように「六人の女性が殺された」わけではありません。
実際に殺害された女性は五人です。
では、なぜ六人分の遺体が存在したのでしょうか。
それは、時子が五人の遺体を切断し、身体の各部分を組み替えることで、六人分の「身体の一部を欠いた遺体」を作り出したからです。
つまり、一人につき一体の遺体があるように見せながら、実際には複数の遺体から身体の部分を組み合わせていました。そのため捜査側は「六人が殺害された」と考えてしまいます。
そして、このトリックの最大の目的は、時子自身を犯人候補から消すことでした。
時子は、自分自身も六人の犠牲者の一人として死んだように見せかけます。つまり、六人の死体の中に時子の遺体があると思わせるのです。
もし時子が生きていれば、六人の女性のうち一人だけが行方不明になっていることになり、当然、彼女自身が疑われます。しかし「時子も殺された」と思わせることができれば、時子は犯人ではあり得ないことになります。
こうして時子は、自分自身を被害者にすることで、犯人として追及される可能性を消してしまいます。
この事件では、さらに平吉の手記が巨大なミスリードとして働いています。
警察は「アゾート」という言葉に引きずられます。六人の女性を殺害し、身体の部分を切り取って一人の完璧な女性を作ろうとしたという平吉の異常な計画があまりにも強烈だったため、後に起こった殺人事件もその計画の実行だと考えてしまいます。
しかし、実際には「完成したアゾート」は存在しません。アゾートは犯人が作った巨大な煙幕だったのです。
そして40年以上が経過し、1979年、事件に興味を持った石岡和己は、天才的な推理力を持つ御手洗潔にこの事件を持ち込みます。
御手洗は、これまで誰も解決できなかった占星術殺人事件を死体の欠落していた部分という視点から解決し、実際に京都で暮らしていた時子からの自白も得ます。
時子は父親の平吉も殺害していました。さらに一枝を殺し、一枝になりすまして竹越を利用します。その後、他の女性たちを殺害し、遺体を切断して身体の各部分を組み替えます。雪の上に残された男と女の足跡も、複数の犯人がいたように見せるための偽装です。
しかし、時子がなぜそこまでして犯罪を実行したのかという問題があります。
その背景には、梅沢家の複雑な家族関係があります。前妻の多恵を捨て、また多恵や自分に辛くあたる梅沢家への復讐でした。
時子は自分が犠牲になったように見せることで、長い間、社会から姿を消します。
年月が流れ、時子は再び母親の多恵と関わることになりますが、ここで時子は、自分が母親のために起こしたと思っていた犯罪が、結局は母親を幸福にしたわけではなかったことを知ります。自分が長い年月をかけて実行した巨大な復讐と偽装は、取り返しのつかない多くの犠牲を生んだだけでした。最後に時子は、御手洗さんと石岡くんに手記で全てを告白して、死を選びます。
御手洗シリーズの原点のようなこの作品。
後続の作品のように御手洗潔と石岡くんのキャラが立っているわけではありません。ただ、御手洗潔の優しさは、すでにこの作品から現れていて、私は好きです。
ミステリ界の御手洗潔とフィリップ・マーロウは、2人とも優しい名探偵ですよね。
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Posted by ブクログ
ネタバレ南に少し傾いた、ピサの斜塔がくっついた奇妙な屋敷。雪の降る北海道で起こる密室殺人に、探偵御手洗潔と石岡が挑む。
まず、御手洗は最後の方にしか出てこないのね!早く出てこい、とワクワクしながら待ったわ。
御手洗が来てから殺人起きとるやないかーい!と思ったらフェイクで安心した。
変な性格や解決編は見事で、これぞ御手洗潔だなと味わえた。
一方注目のトリックだが、とんでもトリックで笑ってしまった。無理がありそうだけど、納得はできるし、その発想すげぇな!と。傾きは関係しそうと思ったが、屋敷ごと発射台になってるとは!素直に面白いトリックだと思った。
1人目の足跡の件、雪を降らす発想、これは考えに至りそうでもっと考えればよかった。2人目のつららドリル発射は無理やね笑
前回の占星術で読みにくいのでは?とビビっていたが、全然そんなことはなく、全体的に読みやすい仕上がりになっていたと思う。
最後の菊はわかりにくいので絵が欲しかった。
探偵もの、館もの、連続殺人、自分のお気に入りにピンズド!