島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フォローしている方のレビューを読んで久しぶりに読みたくなった。
実際に読んだのは単行本だが、文庫本しか登録出来なかったのでこちらでレビューを書く。
雑誌掲載が1985年~1987年なので、もう四半世紀も前の作品なのだが良い作品は何度読み返しても時代が古くても楽しい。
この頃の御手洗が一番好き。傲岸不遜でクセが強く周囲を振り回すという、いかにもな探偵キャラクターなのだが彼をフォローする石岡の存在もあって楽しく見守ることが出来る。
「数字錠」
3つの数字を組み合わせたリング状の錠前がネックとなり二人の容疑者を逮捕出来ないと嘆く刑事。しかしトリックは斜め上。現代ではルール上できないだろうが。
だ -
Posted by ブクログ
島田荘司、第二の代表作。
12円の消費税のために、ボケ老人が店主の女性を刺した。あまりにもつまらないこの事件に、ある男の魂が詰まっているだなんて誰が思うだろう。
島荘の名にふさわしい現実離れした謎と、露わになる奇想。そこに浮かび上がる、一人の韓国人の人生。
「この事件を通じ、天が自分に何かを語ってくるような気がした。昭和という時代、そして日本人の過去の罪、あるいは今も犯しつつある罪、また、この人種の本質、といったものではあるまいか。警察官である自分に、これに気づけ、そして把握しろ、天がそう促している気がした。」
奇想、天を動かす。読み終えたあとに見ると、このタイトルもなんと意味深いことだろ -
Posted by ブクログ
ネタバレ御手洗はストックホルム大の教授になっているが、非常に島田荘司らしい作品。
現実とは思えない内容の物語を、血なまぐさい現実に落とし込む。解説では最大のカタルシスは「ビートルズの代表曲がベースになっている」と判明するところだと言っていたが、自分はやはりスペースコロニーの中だというところだと思う。
スキップする大人たち、三メートル近いひまわり、南北方向にはなぜ直線道路がないのか、といった謎が一気に一つにつながる。まさしく"奇想"だ。
そしてここまでが第一部といった感じだろうか。
第二部は、切られた首にネジを組み込まれた死体。
仰角45度で接射され、二つの穴を開けた三発の弾丸に関す -
購入済み
島田荘司さんが提言する本格ミステリーの定義として「最初に幻想性のある謎が提示され、最後にその謎が論理的に解決される」というものがありますが、本作で提示される謎は凄いです。何しろ自殺する理由などこれっぽっちも無い人たちが、その建物の屋上に水を撒きにいくと何故か次々に頭から飛び降りてしまうというものなのですから、尋常ではありません。その内容から「ロウモン街の自殺ホテル」や乱歩の「目羅博士」を想起させまして、それらの作品は実は秘密の抜け穴があったりとかファンタジー性の強い解決だったりとか、ちょっと本格ミステリーと呼ぶには厳しい内容なのですが(そもそもロウモン街の方は実話ベースなので仕方がないのですが
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