島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミステリーというか、トリックというか、そこに重点を置けばいささか荒唐無稽な感は否めない。龍神に纏わる描写やエピソードもかなり恣意的なもので、さすがにやりすぎな感はある。わざとなのか無意識なのか、石岡氏と麗羅2人の行程はあまりにだらだらと書きすぎな気もする。
だがしかし、島田さんの確かな構成力と独特のロマンチシズムに溢れ、何よりここに及んで新しい御手洗物が読める喜びが勝ってしまった。
怪獣伝説で終わるはずがないとわかってはいたものの、徐々にあまりに思いがけない方向へ話が進み、読後には人生や時代への皮肉と悲哀と追憶を感じさせられた。石岡氏の独り語りからのこの流れは「異邦の騎士」を思い出した。
感傷 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんとなんと。
中盤の御手洗潔の推理を読みながら、こりゃメチャクチャな設定だ〜、トンデモ本だ〜と思いながら読んでた。
鎌倉とインドネシア、玄関ロビーに土俵、盲目の医者(のような人)、これは後半だけど未開の4階などなどなど。
。。。
でも、それが御手洗潔シリーズですよね。
とんでもないけど、読み進む。
よくあるうんざりするような文が少なく(自分にとっては)、とはいえ、情緒を感じる表現もところどころにある。
石岡先生、流石です。
マンションが他の国に同じ形で存在したことは、綾辻先生の黒猫館の殺人を思い出しました。
眩暈が先かな?
ディテールは異なるけどね。
読み終えても残る疑問が2つばかり。
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Posted by ブクログ
下巻からは怒涛の如く断片が繋がって行きます。懸命に皆生きているけど、運命の容赦の無さが淡々と書かれるのも小説ならではかもしれない。また、かの総理暗殺事件が起きた時のこと、大地震、子供の時に繰り返しワイドショーで流れていた結婚式のシーン、この40年ほどの日本で起きていた出来事も頭に蘇り、読み合わせて行くと背筋が凍る思いもして。最後、とある人物の行動により結末するところで救いもある。小説の醍醐味を味わいました。
最後まで読み終えたところで、感想戦として、気になるところに戻ってまた読み込むのも島田作品ならではのお楽しみ。端から端まで金太郎飴的に堪能しましたです。 -
Posted by ブクログ
文庫版が出てすぐ購入していたものの、永らく積読しておりました。GWのまとまった時間に読書したくなり、ふと思い出した本書。ただ、以前買った本は手元になく、物置きの奥にありそうだと思った矢先、偶然立ち寄った本屋で文庫版が上下揃っていて、その場で購入してしまいました。
それを後悔させない、序盤から引き込まれる文体。上巻の中盤までは合間を縫って読んでいたが、その後は下巻の最後まで一気読みしちゃいました。
島田作品、途中からほとんど読んでおらず、作品の時系列も無視して読んでるところですが、このお話もいいなあ。好きです。
確かに、島田作品は途中からこんなテイストになったかもしれないが、複数のストーリーと犯