島田荘司のレビュー一覧
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まず、この本光文社から出てるの?という意外さ。
それから、旧約聖書の話なのに宇宙の話から始まるのかよ、というこのワクワク感。
木星の可能性だよメタンだよ、と、こちらの困惑などお構いナシに話を展開していく。いえ、わたしは宇宙大好きなので嬉しかったのですが。
それはカフェで主人公ザッカリがガールフレンドに意気揚々と語るお話に過ぎなくて、要するに、木星人と地球人が分かり合えないのと同様、彼らもアスペルガーとして他の人々と馴染めずにここにいるのだ、という前置きなのでした。
ここ――「エデンの園」。一定以上の知能を持つアスペルガー症候群の高校生を集めた学園。
資金だけは出してくれる、親類縁者に見捨て -
Posted by ブクログ
下巻では、通子は現在自分が置かれている状況を打開すべく、過去と見つめあい、行動を起こします。様々な悪しき過去を振り切って、行動する通子に強さを見出せるようになります。
そして吉敷も、冤罪事件を解明しようと行動します。上司にたてつく姿はわたしが今まで読んできた吉敷シリーズの吉敷と何ら変わりがありません。
一旦途切れかけた通子と吉敷の運命の糸が、また交差し、結びついていく様もとてもよく描けていると思います。
御手洗シリーズとはまた違った、社会派ミステリとしての本作は、冤罪事件について様々な知識を与えてくれ、現在の日本の裁判システムに疑問を投げかける秀作だと思いました。
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Posted by ブクログ
昭和五十七年の秋、高沢秀子という老婦人が御手洗潔のもとを訪ねてくる。世間話程度に彼女がはじめたのは、親友である折野郁恵という女性の話だった。榎本武揚の子孫であり、ロシアの皇帝陛下からの贈り物であるセント・ニコラスの長靴を受け継いだ、というエピソードを持つ女性だ。そんな彼女の様子が今日おかしかった、と秀子は御手洗たちに語る。雨を見たことによるショックで倒れて救急車で病院に運ばれた、というのだ。しかも息子夫婦はそばにいたのに救急車に同乗しなかったらしい。秀子の話を聞き、御手洗は大事件のにおいを嗅ぎ取る。
ということで本作は、何十億の価値があるかもしれないセント・ニコラスのダイヤモンドの靴をめ