島田荘司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
自殺したピエロは密室から姿を消し、首無し遺体は突如として動き出す。そして天に向かって飛び跳ね脱線する列車…
奇天烈な事件の数々に解決の糸口すら見出せない。どうしたらこんな難解な謎が解けるのだろうか。物語の主人公はもちろん、読者ですら同じ思いを抱いてしまう本書。少しずつその謎が解き明かされ、全貌が明らかになる展開に、ミステリー特有のワクワク感を楽しむことができました。
本書はそんなミステリーでありながら、冤罪や戦中日本が起こした暴挙などに目を向ける社会的な側面もあります。解説を読むにむしろこの社会的な側面こそ重視されたようですが、ミステリーと社会性が絶妙にマッチした作品でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ島田さんの歴史ミステリはほんとにおもしろい。
2月革命でロマノフ王朝は終わりを迎え、ニコライ2世の末娘アナスタシアは悲惨な運命を辿る。
そんな中出会った日本人と共に、ドイツのドルニエDoxで芦ノ湖に降り立つ。
愛する人とベルリンではぐれ、以降アナアンダーソンとして生き、アナスタシアの真偽裁判が行われ、認められずに生涯を終える。
ボルシェヴィキによる虐待やイパチェフ館で行われたとされる虐殺は読んでてほんとにしんどかった。
ロシア革命や、アナスタシア論争のことは全く知らなかったけど、フィクションとしておもしろく読めた。
幽霊軍艦のパートもとてもワクワクした。湖に巨大軍艦が現れるなんて、これぞ -
Posted by ブクログ
ネタバレなるほど。島田荘司らしい、ドラマチックで派手なストーリーだった。タイトルも含めて。
吉敷シリーズの傑作をつまみ読みした中で、本作品が一番好き。
浮浪者が12円の消費税を払いたくなくて女店主を発作的に刺した、という一見下らない事件の、隠された背景に迫るストーリー。いわゆるホワイダニットになるのかな。
真相が明かされたところで、浮浪者が女店主を刺した、という事件の表層は変わらないんだけど、昭和の闇の犠牲になった哀しく壮絶な背景は、読み応えあった。
死体が消えただの轢断死体が歩いただの白い巨人が云々だの、昭和三十二年の北海道札沼線に起こった奇天烈としか言いようのない事件は、これさすがに合理的な説明 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
鮎川哲也先生への献辞があるのは、鎌倉が舞台だからかな。
御手洗と石岡くんの大立ち回りって珍しい。私が今まで読んだものだと「舞踏病」くらいのような気がする。
小学生のガールフレンドがいるのかとからかったり、女の子とお茶をしたり、お互いの浪費癖についてお婆ちゃんに言いつけあったり、2人が楽しそうで良かった。やたら抜け道に詳しい御手洗もすごいな。自分では知らなかったらそんなに覚えられないと思うんだけど…。
江ノ電と北朝鮮の下りも面白かった。なんというか、作家の先生って本当にいろんなことに精通しているんだなぁと…。
鎌倉を走り回る「UFO大通り」とは対照的な安楽椅子探偵もの「傘を折る女 -
Posted by ブクログ
ネタバレ御手洗シリーズを刊行順に読むというのがなかなか大変で、手に入ったものから、なるべく刊行順になるように読んでっているのだけれど、この「龍臥亭事件」が御手洗渡欧が初めて明らかになる話なのかな。
石岡くん45歳と思うと、確かにちょっともう少しばかりしっかりしていてもいいような。御手洗は50近くなって日本を飛び出したのかと思うとそれもまたすごい。天才は環境を変えることをいとわないんだなあ。ちょっと見習いたいような気もする。
上巻は二宮佳世という女性のオカルトじみた話から始まり、石岡君が岡山の貝繁村に連れていかれるところから始まる。面白い!
明らかに津山30人殺しをモチーフにしているけど、なかなかそれ -
Posted by ブクログ
御手洗ものにしては地味な印象ではあるんだけど、じんわり暖かい読後感で、名作だと思う。
御手洗の人間性、弱いもの、子どもへのあたたかさ、美紀ちゃんへの「もし自分が父親だったら〜してあげる」という独白、全部好ましい。ヒーローだなって思う。
ところでダウジングって迷信的な、こっくりさんとかそういうものの仲間だと思ってたんだけど、水道管の関係では結構最近まで現役だった技術らしいことを、今回調べて知って驚いた。
シヴァルヴィ館のクリスマスは、私がまだシリーズを読み進めていないので、御手洗が突然どこか外国らしきところで知らない外国の人とお喋りしてて驚いたりした。面白かったけどね。御手洗、親いないんだね -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった。
タイトルの「御手洗潔のダンス」、どんな意味があるのかなと思ったらほんとに踊ってて笑ったわ。
どれもおもしろかったけど、「山高帽のイカロス」と「ある騎士の物語」が島田荘司らしい派手なトリックで面白かったな。
派手でギョッとするようなトリックに物語をつけて面白く読ませるの、島田荘司ならではって感じ。
「山高帽のイカロス」
電線に引っかかった「空飛ぶ男」の死体が見つかって…っていう話。ロープ!電車!「疾走する死者」を彷彿とさせる。
「ある騎士の物語」
バイクの使い方!妙にローカルな話だなと思ったけど、なるほど武蔵野線…。あの手紙の臨場感、冒険感おもしろかった。すごい。
御手洗の -
Posted by ブクログ
ニコラス・メイヤー(ほんとうはマイヤー)の"7 percent solution" (『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』)と、ちょっと設定が似たところがあって、初めのうち漱石パートは、え、そこまで行っちゃう?……と、ちょっと居心地の悪い思いをした。
謎解きのあたりは、正典オマージュもあり。
で、そこらへんまでは、さほど乗れなかったんだけど、最後のテムズ河畔の場面にぜんぶ持ってかれた。とてもすてきだった。月9のシャーロックもそうだったけど、なんやらわけわかんないこともホームズがバイオリン弾くとみんな帳消しになるのなんなんだ(笑)かっこいいぞ。
紙切れの謎は、うやむ