島田荘司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
東洲斎写楽の謎を解き明かす歴史ミステリ。
島田氏自身が導き出した独自の考察なのだろうか、これまで著者の御手洗シリーズなどを読んできただけに、江戸時代の浮世絵や歌舞伎などの分野にも造詣が深いことを知り、驚嘆した。実際の考察についても、素人ながら十分説得力があるように思えたし、読んでいて楽しかった。作中にもチラと名前が出てくる高橋克彦さんの浮世絵シリーズといい、私はこの時代の文化とか歴史がすこぶる好きみたい。
にしても、後書きを読むと、というか後書きをつけないといけなかったくらい、現代編のストーリーが中途半端。いろいろ裏事情があったみたいだけど、、、連載時はともかく、単行本として出版する際はもう -
Posted by ブクログ
ネタバレ龍臥亭事件下巻。
島田荘司の本を読むたびにこの人のトリックってトンデモだよなぁと思う。実際にやろうと思っても絶対できんだろ、という。でも、それが全然嫌じゃないのがすごい。むしろ、「待ってました!」という気持ちになる。もはやお家芸だと思う。
それはわくわくするような設定と上巻から下巻にかけて着々と積み上げられてきた情景描写によるものだと思う。ロマン溢れる人里離れた温泉宿、そこにある伝説、謎の死…そういった現実離れした設定にのめりこんでいると、最後トリックがトンデモだったとしてもむしろOKとなる。そういう世界観だから、という感じだろうか。
けなしているように感じるかもしれないけれど、私は島田 -
Posted by ブクログ
”ロシア幽霊軍艦事件―名探偵 御手洗潔―”島田荘司著 新潮文庫nex(2015/01発売)
(イラスト:toi8 2001/10発売 原書房、2004/01発売 講談社ノベルス、2004/10発売 角川文庫もあり)
・・・箱根、富士屋ホテルに飾られていた一枚の写真。そこには1919年夏に突如芦ノ湖に現れた帝政ロシアの軍艦が写っていた。四方を山に囲まれた軍艦はしかし、一夜にして姿を消す。巨大軍艦はいかにして"密室"から脱したのか。その消失の裏にはロマノフ王朝最後の皇女・アナスタシアと日本を巡る壮大な謎が隠されていた――。御手洗潔が解き明かす、時空を超えた世紀のミステリー。( -
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻も600ページ近くあるが、先が気になってスラスラと読めた。
ただ、そのうち200ページ程を実際の事件『津山三十人殺し』についてに割いている。
この事件は日本の事件史上インパクトがかなり強いものなので知ってる人も多いと思う。
そういう人が読むとこの部分はこんなに必要だったのか?と思うかもしれない。
私も途中石岡くんのこととかを忘れて、違うものを読んでる気分になった。
それでも事件についてはおおよそは知ってはいたが、細かいところまでは知らなかったのでなかなか興味深く読めた。
睦雄がしたことはどんな同情の余地があっても許されるものではないと思うが、それを引き起こす原因にもなった周りの差別や村 -
Posted by ブクログ
人魚の挿話が秀逸。妖しくて残酷。御手洗のヒーローっぷりも爽快。
が、ほかの挿話はいただけない。いくら内容にリンクしているとはいえ、長すぎる上に人魚の挿話ほど本筋に厚みを持たせたとも思えない。作者が書きたかっただけ、もしくは内容を水増ししたかっただけという印象。
「こんなことが現実にあるのかな?」と思わせる事件の数々からの、謎解きは見事。ここまで書かれると「え、それに気付かないとかある?」て疑問も吹き飛ぶ……
長ーく長ーく頁を重ねることには魅力を感じない。
例え長くて厚くても、書かれた描写や伏線や挿話が、どれも物語全体の太い骨組みになっていることを期待する。ただ長いだけの大長編はキツイ。
で