島田荘司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
謎の絵師写楽の正体は?
実在する歴史上の謎に対し、小説の体をとりながらも、作者の膨大な下調べと長年の考察による新説をぶち上げる。このような小説を読むのは初めてかもしれない…
自分は写楽について知識がないので、これが写楽論争に一石を投じ得るものなのかは分からないが、
読んでいる限り状況証拠もいくつかあるしとても面白いと感じた。もちろん小説家ならではの創造力がその合間を埋めているのはわかっているが。
なによりこのようなチャレンジングな小説を読んだのが初めてなので単純に感動した。
実在しない絵師をでっち上げて完全フィクションを作ったのならこんなに感動しなかったろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ御手洗はストックホルム大の教授になっているが、非常に島田荘司らしい作品。
現実とは思えない内容の物語を、血なまぐさい現実に落とし込む。解説では最大のカタルシスは「ビートルズの代表曲がベースになっている」と判明するところだと言っていたが、自分はやはりスペースコロニーの中だというところだと思う。
スキップする大人たち、三メートル近いひまわり、南北方向にはなぜ直線道路がないのか、といった謎が一気に一つにつながる。まさしく"奇想"だ。
そしてここまでが第一部といった感じだろうか。
第二部は、切られた首にネジを組み込まれた死体。
仰角45度で接射され、二つの穴を開けた三発の弾丸に関する推理が面白く、想像もつかないネジの理由に関してもこれしかないと思わされる。
魅力的な謎に、グイグイ読ませる物語、そして謎を一つ残らず解明する大胆な解決。
この頃の島田荘司の作品の中では一つ抜きん出ている。これは大満足。 -
購入済み
島田荘司さんが提言する本格ミステリーの定義として「最初に幻想性のある謎が提示され、最後にその謎が論理的に解決される」というものがありますが、本作で提示される謎は凄いです。何しろ自殺する理由などこれっぽっちも無い人たちが、その建物の屋上に水を撒きにいくと何故か次々に頭から飛び降りてしまうというものなのですから、尋常ではありません。その内容から「ロウモン街の自殺ホテル」や乱歩の「目羅博士」を想起させまして、それらの作品は実は秘密の抜け穴があったりとかファンタジー性の強い解決だったりとか、ちょっと本格ミステリーと呼ぶには厳しい内容なのですが(そもそもロウモン街の方は実話ベースなので仕方がないのですが)、果たしてこの魅力的な謎にどのような解決方法を見出すのかという点が本作の肝となっております。ただ、この作品、ユーモアミステリーと銘打たれておりまして、その謎のおどろおどろしさから考えると意外なほどライトなタッチの文章で、この飛び降り事件の他にもサンタクロースの衣装が盗まれたり、仏具屋の親父がロールスロイスを買ったりとか、何だか下世話なサイドストーリーが色々と絡まりながら進んでいき、最後に登場した御手洗(まだ日本にいる頃の若い時代の話となっております)が一見何の関係もなさそうなそれらの事象をまとめて解決していくという筋立てとなっております。この御手洗が登場するとすぐに事件が解決してしまうので、終盤にならないと出て来ないところとか、メイントリックになっている物理現象とかは、何だか今までの御手洗もののセルフパロディのようにも思えて、そういった点でも楽しめる内容となっております。